幼少期 第百三十六話
劉備の質問を聞いて全員が集まっている事を確認した子供達は劉備に報告を行う。
それに劉備も答えていく。
「みんな集まっているよ、玄ちゃん」
「これでまた準備体操をやるんだよね?」
「そうだよ。じゃあみんな、私の動きを真似して体操してね?」
こうして午後からのマラソンに備えた準備体操が始まり、全員が無事に準備体操の全てを終わらせたところで劉備が全員に声を掛けた。
「よし、これで準備体操は終わり!さあ走るよ!」
この劉備の声掛けに子供達も応じていく。
「わかりました!」
「頑張ります!」
「今回は五番以内にはなりたいなぁ……」
こんな子供達の声を聞きながら劉備がマラソンを始めていくタイミングを見定めていき、ちょうど良いタイミングになったと判断したところでスタートの合図を出した。
「じゃあみんな、始めるよ?出発!」
この合図と共に飛び出していった劉備、そんな劉備を追い掛けるように次々と出発していく子供達。
こうして始まった午後からのマラソンも、誰一人として怪我する子供が出ない安全な状況のまま夕方まで行われ、日が沈み始めたところで劉備が子供達に今日のマラソンの終了を伝えていく。
これに子供達も二つ返事で応じる。
「もう夕方になっちゃったね。それじゃ今日の長距離走はこれで終わりにしようと思うんだけど、みんな良いよね?」
「はい、大丈夫です」
「うん、終わりで良いです」
「今日はこれ以上は走れそうにないからここで終わりにしてくれて助かったまであります」
ここまでの子供達の言葉を聞いた劉備はふむ、と言って一呼吸置くと声を上げる。
「……さて、ここまで一言も喋っていなかった憲兄ちゃん、あなたはどう考えていますか?」
こうしていきなり名指しされた簡雍は数秒間むせたあとで劉備の問い掛けに答えていく。
「ゲホッ、ゴホッ……。突然話し掛けるなよ、驚いたじゃねぇか」
「だって憲兄ちゃんってば、一言も話さないで完全に気配を消していたんだもの。そんな事をされるとどうやってでもこの話し合いに参加させたくなっちゃうわよ」
「いや、いちいち俺に話を振らなくても良いんだよ」
「それは駄目よ。だって憲兄ちゃんがこの中で一番の年上なんだもの。絶対に話を振らないといけないでしょ?」
「いやいや、そういうのは本当にいいから……」
しばらく続いた似たようなやり取りに劉備は話題を変えないとひたすら同じような話が続く、そう判断して多少強引に話題を変える。
「……いつまでもこの話をしているわけにはいかないので憲兄ちゃんに聞きます。今日はこれで終わりにしますか?」
劉備はそう尋ねると真っ直ぐに簡雍を見ていった。
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