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BRACKDOG

作者: なとは


brack dogは廃坑に居た。 厳密にいえば、その中の7番線路の上部にある、石炭や工具を運搬するための小型通路に。言うまでもないが漆黒の闇と静寂が、不安のためシンメトリーに連鎖する気分になるが、bdの問題はもっと別の大きな問題によって、少なくとも不安と表現されるような状態ではなかった。

その可愛らしい小顔を支える、白い細首が縄によってつながれていたからだ。

もう一方の縄先は、この廃坑に入って来た(bdが五分前まで´獲物´と呼んで仲間と笑っていた)男が持っていた。 小型通路は下に吹き抜けていたから、bdは落ちないよう四肢を左右の壁に上手に引っかけ、呼吸するので精一杯だった。


男が縄を少し引くと、キュウ、とbdのノドが鳴り、乱れた呼吸が二人の間に木霊こだました。

さらに男の投げたナイフを躱すため何度か体勢を変えると、ついに、bdは、男に大股を広げて、黒い安布の短パンの前部のチャックがピンと立っている事が二人の間の周知の事実となり、bdの身体のパーツの中で最も大きく膨張していた左右の太ももが、ピクピクと、震えだした。

男は自分の持っている縄先を手ごろな位置の鉄パイプにつなぐと、帰っていった。

この時、筆者とbdは奇しくも、同じことを思っていた。

そう、男は帰っていったのだ。


その後、3時間26分12秒のbdの事は書くに値しないので省くが、なぜかというとなにも変わらなかったからだ。 呼吸も態勢もロープの先も大きく変化しなかった。

それでも記述することがあるとするならば、太ももを滴る汗がパンツに染み出し、短パンの薄い生地を、ポタポタと、10メートル下に長大に続く線路の、3087本目の木板に103回落ちたという事だけだろう。

続きを書き始めるのにふさわしいのは、やっぱり、さっきの男が戻っていた部分からだろう。


男が戻ってきた時、bdがまだそうしていることに、男は何の反応も示さなかった。

男はどこからか持ってきた3mほどの鉄パイプを、bdの短パンのチャックに器用に当てて、寝かせた。

すると、bdは、少し、目を小さくすると、短パンの下から滴る水滴の量が一時的に増えた。

ポタポタポタポタ、と下の線路に落ちていき、膝を少しずつ閉じようとしている。

男は伝えた。 落ちると、死ぬと、首のロープは、4,5mほどしかない、とbdはそんなことは知っているつもりだったが、泣きそうな顔になりながら、また少しづつ、太ももを開いた。

沈黙!


ここで筆者の意見を言わせてもらうと、この気まずい沈黙はbdのせいだと思われる。

太ももを閉じると落ちやすい体制になると知っていながら、そんな馬鹿な事をしてしまい、お互いに´気遣う´という、悪しき風習、つまり相手をテンプレートとして捉えて、魂の対話を拒否してしまう状況を二人に強いた。そのせいで、この後の二人の事は、書くに値しないことだらけになってしまった。

もし、bdに自分が小説のキャラクターだという自覚があったのなら、こんな展開にしなかっただろうに。











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