表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
研究の成果  作者: 奈那美
2/3

第二話

200個も…ヒトミは気が遠くなるような気がしながらも、終業時間までになんとか200個ひねり出した。


オフィスからの帰り道、ドーナツショップに入ったユカリとヒトミは、それぞれドーナツふたつとコーヒーを買い席についた。




「どう?200個出た?」、


「なんとか…だけど、これって企画の…でしょう?私の好きなものリストアップしても、意味ないんじゃ?」


「じゃあ聞くけどさ。ヒトミが10歳の時に、好きだったものって何だった?」


「え…10歳…なんでまた急に。たぶんマンガとかアニメとかだった気がするけど」


「ほら。まだ10数年しかない経ってない時の記憶もうろ覚え。じゃあ反対に、50歳になる頃には、何に興味を持ってると思う?」


「え~?そんなの想像もつかないよ。50歳かあ。子供とか?でも子供なら結婚してるってことで。じゃあ旦那様とか。でも今現在カレシもいないし。全く想像もできないよ、そんな先のこと」




「でしょ?だから『今のヒトミ』なのよ。今の自分のことなら、わかるでしょ?」


「そりゃ、今の自分のことなら。でも…売れそうなって言われてるよ?私の興味があるもので、売れるにつながりそうな物、ない気がする」


「それは、わからないじゃない?だから、まずはそれを探るためのとっかかりが、『今のヒトミの興味があるもの』なのよ。ヒトミが欲しいものは『日本中でヒトミだけ』が欲しいわけじゃないでしょう?きっと他にも、何人か欲しいと思う人がいて。ヒトミもやってると思うけど、気に入ったものは友達とか家族に勧めちゃう。それで広まっていく…こともあるのよ」




「そうなのかな…でも、そうかも。確かに友達が持ってて、いいなとか欲しいなって思うときもあるし。反対に、私が持っているもので、友達に『どこで買ったの?』って聞かれたものもある」


「ね。ではまずは…リストを見せて」


「はい…これ」


「え~と…アイスにハイヒール、オフショルダーネックのTシャツに…なんだかバラバラなような一貫性があるような」


「えへへ…」


 「褒めてないって。でも200個も、ダブりなしで出したのはすごいと思うよ。じゃあ明日は、これをジャンル分けして」


「明日?今、じゃなくていいの?」


「あんたここでやるつもり?別にいいけど、私はつきあわないよ?」


「あ…ゴメン」


「じゃあまた明日ね」




それから毎日のように、終業後の『ユカリさんのアドバイスタイム』が続いた。




ジャンル分けから絞り込み。


関連ワードと発展づけ…初めのうちは、宿題をこなすだけで精一杯だったヒトミだが、徐々に方向が定まり形が見えてきだしてくると、慣れてきたのと面白さが出てきたのとで調子があがり、宿題から半歩、一歩先を読んだような案を、出せるようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ