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番組のネタ出し~黒歴史小説公開ショー~

「それじゃあ、次は~……」


 またしても両手をグルグルと高速回転させ始める菜々美。

 腕が疲れないのだろうか。


「はい、しゅーくん! 次はしゅーくんの番だよーー!」


 俺が挙手する前にズビシッ! と両手で指差されて促されてしまう。

 って、まだなにも浮かんでないんだが……。


「ちょ、ちょっと待ってくれ……まだアイディアが浮かんでない」

「しゅーくん! そんなことじゃマネージャー失格だよぅー!」


 と言われても、もともと俺は一般人なのだ。

 そう簡単にいいアイディアなど思いつくはずもない。

 そもそも、これはマネージャーとしての仕事の領域ではないのではなかろうか。


「うーむ……」


 なんかないものか……。

 悩むものの逆にますます思いつかなくなってしまう。


「……おにぃ……瑠莉奈にとてもいい考えがある……これは、おにぃの協力なしには成り立たない案……」

「瑠莉奈? な、なんだ、それは……?」


 なんだか嫌な予感がするが、なにも思いつかない俺はその案を訊くしかない。


「……おにぃのノートパソコンの奥深くに封印されているテキストファイルに書かれた黒歴史小説を脚本にして……瑠莉奈たちが寸劇をやる……」

「ぐあぁ!? なんでその存在を知っている!?」


 俺はラノベ作家を目指していたことがあるので、過去に応募した原稿がいくつかノートパソコンの奥に眠っているのだ。


「……以前、おにぃにノートパソコンを借りたときに発見した……もちろんSDカードとUSBメモリーにコピーして大事に保存してある……」


「があああああ! 消してくれ! 頼む! 瑠莉奈ぁあああ!」


 俺は妹に対して情けなく哀願する。


「……いや、意外と面白くもあった……将来的には瑠莉奈は声優としての活動も考えている……だから、演技の勉強もしておきたい……」


「いやでもしかし! もっと題材はあるんじゃないか!? なんでよりによって俺の黒歴史小説をチョイスする!?」

「わー! しゅーくんの書いた小説読みたいーー! 絶対に読みたいーーー!」

「あたしも読みたいっ!」


 激しく拒絶する俺だが、菜々美も二三香も乗り気だった!


「ちょ、俺にも拒否権というものが!」

「……おにぃ……妹の願望を前にして兄に拒否権なんてない……」


 ひどい!

 でも、瑠莉奈はこうと決めたら絶対にやり遂げる性格なのだ。

 メチャクチャ頑固なのである。


「しゅーくん! 絶対にこれナイスアイディアだよー! 演技の勉強にもなるし、ファンのみんなもしゅーくんの書いた小説を絶対に読みたいって!」


 菜々美は興奮したように両手をグルグルと回転させていた。


「あたしも賛成っ! 話題性抜群だしっ!」

「……おにぃ……覚悟を決めるべき……瑠莉奈たちのため……尊い犠牲になるべき……」


 有無を言わさぬ圧力をかけられる。


「し、しかし……」

「……おにぃ……かわいい妹の願いを聞けないの……?」


 瑠莉奈からジッと見つめられる。


「しゅーくん! お願い!」


 菜々美は両手を回転させたまま迫ってくる。


「あたしからもお願いっ! 絶対に面白くなるってっ!」


 二三香も両手の拳を固めて強く請けあう。


 むう……。


 まぁ、三人がここまで頼むのなら……仕方ない。


「……わかった」


 ここまで三人が望むのなら、それに応じるべきだろう。


「……さすが、おにぃ……なんだかんだで頼りになる……」

「ありがとー! さっすが、しゅーくん!」

「これで番組にバリエーションが出るねっ!」


 まぁ、確かに寸劇……というかミニドラマはいいアクセントになるかもしれない。

 しりとりよりは盛りあがるだろう。


「よーし! それじゃ、ほかにもいろいろとアイディアを出しておこうー! 今の菜々美ちゃんはやる気マックス! 埼玉パワーがみなぎってるー!」


 菜々美の両手グルグルは止まらない。

 よく疲れないな……。


 ともあれ――。

 そのあとも四人でいろいろとアイディアを出していった。

 まぁ、あとはどれも定番というかありきたりなものばかりだったが……大喜利とかクイズとか。


菜々美「応援よろしくねー!」

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