番組のネタ出し~しりとり~
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ホテル内の高級寿司で決起集会という名の豪華な夕食をとった俺たちは、再び部屋へ戻ってきた。
「しゅーくん! みんなー! さっそくアイディアを出しをしようーー! 番組でどんなコーナーをやるか決めようーーー!」
菜々美は両手をグルグル回しながら俺たちに促す。
ちなみになんで両手をグルグル回しているかの意味はわからない。
テンションが上がっているときの菜々美の行動について考えるだけ無駄というものである。
「みんな! どんどん意見言ってねー! なんでもいいからー!」
菜々美の両手の回転がさらに早くなる。
高速風車(あるいは観覧車)状態である。
「……それなら、まずは瑠莉奈から……」
まずは瑠莉奈が挙手した。
「はい、瑠莉奈ちゃん! どんなアイディアー!?」
菜々美は両腕の回転を止めてズビシッ! と両手で瑠莉奈を指差した。
なんなんだ、この珍妙なポーズは。
まぁ、いいか。気にしないようにしよう。考えるだけ無駄なんだから。
ともあれ、瑠莉奈だ。
どんなアイディアなのか兄としても気になる。
みんなが注目する中――瑠莉奈は無表情のまま口を開く。
「……しりとり……」
……しりとり?
「しりとりって、あの普通のしりとりか?」
思わず俺が訊き直してしまった。
「……おにぃ……それ以外になにがあるというの……?」
瑠莉奈は不機嫌そうな表情で(といっても俺にしかわからないぐらいの変化なのだが)、俺を睨んでくる。
「い、いや、すまん」
しかし、いくらなんでもしりとりっていうのは……。
そう思う俺であったがて――。
「ナイスアイディア! ナイスアイディアだよ、瑠莉奈ちゃんーーー!」
菜々美は絶賛していた。
なんでだ!
「それなら面倒なことなにも考えなくていいし! 時間も消費できるし! グッドアイデアだよー!」
いいのか、それで。
「……おにぃはもっと妹の意見を尊重すべき……というより妹の存在というのものを尊ぶべき……」
瑠莉奈から圧力をかけられてしまう。
この目で見られると、弱い。というか、けっこう怖い。
割と目つき悪いからな、瑠莉奈。
「……応援、よろしく……」