三者三様アイドル模様
「しゅーくん、どう? わたしたちのかわいさをあますところなく撮れたー!?」
「……撮られることの快感を覚えてしまった……」
「こ、こういうの、けっこう、悪くないかもしれないわねっ……!」
途中から吹っ切れたのか、菜々美だけでなく瑠莉奈と二三香も恥ずかしがることなくちゃんとポーズを撮ってくれた。
「ああ。おかげで、いい写真がたくさん撮れたぞ」
撮れたての写真フォルダを確認してみる。
うむ。いずれも、たいへんかわいく撮れている。
「しゅーくん、見せて見せてー!」
「……見たいような……見たくないような……」
「ああもう、なんか急にまた恥ずかしくなってきたわよっ!」
三者三様の表情を浮かべながら、俺のところへ集まってきた。
「ほら。まあ、こんな感じだ」
俺は撮った写真を指でスライドさせながら、次々と三人に見せていく。
「おおー♪ けっこうかわいく撮れてるねー♪」
「……むう……瑠莉奈じゃないみたい……」
「……こんなノリノリでポーズとったつもりないのにっ! 恥ずかしいっ!」
ニコニコと笑みを浮かべる菜々美。
不思議そうに写真を見つめる瑠莉奈。
頭を抱えつつ顔を赤くする二三香。
なんだかんだで三人とも満足しているようだ。
自分たちがかわいく撮れているんだから、女子として嬉しくないはずがない。
「えへへ~♪ どう、しゅーくん? わたしたち三人でアイドル活動できそうかなー?」
菜々美は瞳をキラキラさせながら訊ねてくる。
「あ、ああ、そうだな。この三人でユニットを組んだら人気になるだろうな」
菜々美以外にもアイドルはいろいろと見てきているが、この三人組グループなら人気が出るだろうと思えた。
なんといってもバランスがいい。
天真爛漫暴走爆発美少女菜々美。
口数の少ないクール系妹美少女瑠莉奈。
体育会系健康的美少女二三香。
これはなかなかよい布陣であると言えるだろう。
それぞれキャラも立っているし。
「三人って、やっぱりバランスいい気がするんだよね! どうせならコンビよりもトリオのほうが幅が広がるし!」
すでに菜々美は今後も見据えた戦略まで考えているようだ。
って、一昨日までは芸能界をやめるって叫んでいたのに。
急激にやる気を取り戻したようだな。
「もちろん、しゅーくんが全面的にサポートしてくれることが前提だからねー!」
菜々美は俺のほうを見て念を押してくる。
このまま菜々美に引きずられていくと、どんどん話が進んでいってしまいそうだ。
でも、まぁ……写真をあらためて見てみても、三人はかなりの美少女である。
菜々美がかわいいのはわかっていたが、瑠莉奈と二三香がここまで化けるとは……。
衣装とメイクの力もあるだろうが、やはり素材がいいのだろう。
「……おにぃ……あとで瑠莉奈にも写真を……」
「あ、あたしにもっ」
かわいく写っている自分自身にふたりも満更ではない。
これは大きくふたりの気持ちが芸能活動に傾いただろう。
「よーし! 神寄さんを驚かせちゃおー! もっと完成度を高めるから、みんな協力して! あと、神寄さんにも早く来てもらえるようにするー!」
菜々美の芸能魂に火がついたらしい。
ほんと、思い立ったら暴走というタイプだな、菜々美は。
……なんにしろ菜々美のやる気が戻ったのなら、それはそれでいいか……。
そのあとも俺たちは菜々美の『メイクアップ作戦』に協力して瑠莉奈と二三香のアイドル度を向上させていった。なお、途中からは軽くダンスの振りつけとかも学ばされていた。
菜々美「みんなー! 応援よろしくねーーー!」




