表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/85

埼玉勾玉ガールズ

※※※


 コーヒーをゆっくり飲んでから再び三十分ほど散策。

 ホテルの部屋に戻ってきた俺の視界に入ってきたのは――。


「じゃーーーん! どうっ!? しゅーくんっ! 瑠莉奈ちゃんも二三香ちゃんもすっごくかわいくなったでしょーーーー!?」


 菜々美はライブのときのようなアイドル衣装をまとっていた。そして、手を(白い手袋を装着した完全なライブスタイルである)バッと後方に勢いよく向ける。


「……お、おにぃ………」

「しゅ、修人ぉっ……!」


 そこには同じくアイドル衣装をまとって、恥ずかしそうに身をちぢこまらせる瑠莉奈と二三香の姿。


 菜々美とお揃いだが、みんな胸元が開いており露出度が高い。

 あと、腋の下も露わだ。それと、臍も。


 テレビでお馴染みの衣装なのだが、リアルで見るとかなりキワドイ。

 そして、メチャクチャかわいい。輝いて見える。というか、実際に衣装がキラキラしている。


「ほらほら、ふたりともー! 胸を張らないとだめだよー! せっかくのかわいい衣装なんだからー! かわいさを全力アピールする! プロ意識足らないよーー!」


 衣装を着たことでアイドル魂が刺激されたのだろう。

 菜々美は部屋の隅にいたふたりに手を伸ばして強引に立たせた。


「はい! それじゃ、さっき練習したようにポーズをとる! いくよー!」


 菜々美が真ん中、瑠莉奈が左、二三香が右にポジションをとる。

 まずは、菜々美が――。


「わたしたち埼玉勾玉(さいたままがたま)ガールズです! わたしはリーダーの玉瀞菜々美!」


 菜々美は万歳するように両手を高らかに伸ばした。


 続いて、瑠莉奈が――。


「…………越草瑠莉奈……です……」


 瑠莉奈は右手でピースサインを作って顔の横に持ってくる。


 よくアイドルがやる横ピースサインというやつだ。

 嫌々やっている感がモロに出ていた。


「戸川二三香ですっ!」


 二三香はヤケクソ気味に横ピースサインを作って(瑠莉奈と対になるような左手ピースである)、ビシッとポーズをとる。


 これは……なんというか反応に困るな。

 いや、まぁ、かわいいのだが……。


「しゅーくん! リアクションが薄い、薄いよー! そんなことじゃマネージャー失格だよーー! ここはわたしたちを絶賛して気分を盛り上げないとダメーーー!」


 菜々美からも厳しい指導が飛んだ。

 すっかりアイドルモードである。


「……わ、わかった。……三人とも、すごくかわいいぞ!」

 

 実際、三人はかわいい。

 なので、全力で褒め讃える。


「もっと! もっとだよ、しゅーくん! 大絶賛してよーっ!」


 厳しいな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ