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「しゅーくんとイチャラブ~♪ しゅーくんとイチャラブラブラブ~♪」


 謎の歌をゴキゲンで歌いながら菜々美は俺に腕を絡ませて歩いていく。

 部屋でイチャラブどころか、すでにイチャラブしすぎである。


 ホテルの人や客にもチラチラと見られている。

 中には「あれ放送事故の……?」みたいな囁きも聞こえてくる。


 こんなところ週刊誌の人とかに見られたら激写されるんだろうなぁ……。

 まぁ、ホテル内なので、その心配はあまりないかもしれないが……。


 というか、これからはそういうことに気をつかわないといけない暮らしになるのか?

 俺についても週刊誌にあることないこと書かれるのだろうか……。


「しゅーくんとイチャラブ♪ イチャイチャラブラブラブ~♪ ラブラブラブラブ~♪」


 しかし、菜々美は珍妙な歌を楽しげに歌い続けるばかりだった。

 強メンタルすぎる。


「……やっぱりアイドルは露出狂……」


 瑠莉奈の意見に同意である。

 これがスポットライト症候群というやつか。


 ともあれ。俺たちは部屋に戻ってきた。


「しゅーくん♪ お風呂に入って一緒にイチャラブしながら寝ようね♪」

「……もうおにぃのことは煮るなり焼くなり……千切りにするなりしてくれていい……」


 さて、ハイパーピンチタイム突入である。

 もう妹は助けてくれない。孤立無援だ。


「もうわたしとしゅーくんの邪魔をする人は誰もいないよぉ~♪ とことん愛しあえるよ~♪ はぁはぁしちゃう~♪ はぁはぁはぁ~♪」


 萌豚社長みたいに息を荒くする菜々美。


 萌豚社長の場合はキモさが数倍に膨れ上がるが、菜々美の場合はハァハァしてる顔でもかわいいから反則である。ほんと、美人って得だな……。


「しゅーくん♪ しゅーくぅん♪ お風呂の前にしゅーくんの匂いを堪能するね♪」

「はっ? えっ、ちょ――」

「しゅーくん満喫ターイム♪ まずはしゅーくんを捕獲ー!」


 菜々美は両手をガバッと広げると俺に真正面から抱きついた。

 そして――。


「くんくん♪ すーはーすーはー♪ あふぅう♪ しゅーくんの匂いぃ~~~♪」


 菜々美は俺の胸に顔を押しつけて匂いを嗅ぎ始めた。


「な、菜々美っ! ちょ、そんなっ……や、やめっ」

「くんくんくん♪ すーはーすーはー♪ ふわぁあぁあ~~♪ やっぱりしゅーくんの匂いって心が落ち着くし満たされるよぉ~♪」


 犬か。

 やっぱり菜々美は俺の想像の斜め上をいく変態になってしまっている。


「…………うわ…………」


 さすがの瑠莉奈も引いている。

 やめて! 汚い大人を見るような瞳を兄に向けないで!


 妹から軽蔑の眼差しを向けられるのはキツい。

 萌豚社長じゃないので、これをご褒美だとは思えない。

 つくづく恐ろしい業界である。


「しゅーくん! 他人の目なんて気にしてちゃ大物になれないよー!」


 他人というか身内(妹)の目なのだが。


「…………じー…………」


 そして、瑠莉奈はますます俺たちに対して冷たい瞳を向けてくる。


 一時は菜々美の味方になったかと思ったが、あまりにもあんまりも菜々美の暴走っぷりに元の瑠莉奈に戻ってくれたようだ。


「むうぅ……! でも、負けないもん! 世間からのバッシングには慣れてるもん!」


 まあ、菜々美ほどのトップアイドルともなるとアンチも多数いる。

 SNSでも菜々美を批判するような書きこみは散見される。


「……高級寿司の恩義があるので……とりあえず永世中立妹になる……」


 なんだ永世中立妹って。スイスか。


「それじゃ、お楽しみ開始だよーーー! 嗅覚を満たしたら次は触覚の番だよーーー! ハイパー頬ずりターーーーイム!」


 ほんと、アグレッシブだな菜々美!

 って、本当におまえは犬か!


 菜々美自らの頬を俺の頬に押しつけると、勢いよくこすりつけてきた。

 ひぃい! なんという柔らかさ! トップアイドルからの頬ずり! 頭が沸騰する!


「……もう見ていられない……これ以上は瑠莉奈のメンタルがもたない……ちょっと外に出てくる……」


 瑠莉奈は呆れたように言うと俺たちから遠ざかり、そのまま部屋を出ていってしまった。


「やったよ! しゅーくん! 愛の勝利だよ!」


 いや、呆れられただけだ。

 どちらかというと敗北だ。


菜々美「面白かったら評価してねーーー!」

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