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動画配信という道

「やっぱりふたりのバカップルっぷりは面白いですねぇ~♪ こういう路線で売り出すのもありかもしれませんねぇ~♪ しゅーくんさんもついでに芸能界デビューしませんか~? もうここまで名前が知れ渡っているのなら、いっそこの状況を逆手にとるのもありかと~♪」


 そんなことをしたら菜々美のファンから刺される!

 というか、俺が芸能界デビューなんて無理がありすぎる!


「そうだよ、しゅーくん! わたしったちのラブラブっぷりを全世界に発信しようよ! あっ、そうだ! 今流行の動画配信者になろっかー!」

「いや死ぬから! 俺絶対に菜々美のファンに殺されるから!」


 菜々美のような異常な強メンタルと一緒にしないでほしい。

 絶対に毎日のように殺害予告されそうだ!


「……動画配信には瑠莉奈も興味がある……」

「それはいい考えかもしれませんね~。菜々美ちゃんの暴走のせいで地上波での起用は難しくなりましたから~。動画配信ならば、多少炎上してもいいというか~、むしろ炎上したほうが話題になってアクセス数増えますしね~」


 さすが神寄さんというかなんというか。商機は逃さないってことか。

 汚い大人の考え方ではあるが。


 あとは確かに、菜々美が地上波に出演するたびに暴走放送事故リスクがあるんじゃなぁ。

 いきなり俺への愛を叫び始めるということは、俺にとってもリスクである。


 そして、今これだけ注目を集めているところで動画を配信したのなら、すごい視聴者数になるだろう。


「これは思わぬところで、これからの方針が決まりましたぁ~♪ ちょうど弊社としても動画配信系アイドルについて考えていたところなんですよぉ~♪ 菜々美ちゃんの地上波での謹慎期間の有効活用と瑠莉奈ちゃんのデビューを兼ねて動画配信は、とっても面白そうです~♪ これならしゅーくんさんも学業と両立しながらマネージャー活動できるんじゃないですかぁ~♪」


「いやいやいやっ! ちょっと待ってくださいっ! なんで瑠莉奈がデビューすることに決まってるんですか!」


 あと俺がマネージャーをすることまで。

 ほんと、神寄さんは強引だ。


「……おにぃ……瑠莉奈は楽して稼ぎたい……」


 そんな無表情でダメ人間発言をされても……。

 兄としては悲しい。でも、俺も楽して稼ぎたい。

 ……って、俺たちダメ兄妹じゃないか。


「大丈夫! 瑠莉奈ちゃんなら絶対に人気アイドルになれるよー!」


 菜々美は両手の拳を固めて力説する。


「ぶひぶひぃ! 僕も保証するよ!」


 萌豚社長から保証されても不安になるだけだ!

 むしろあんたは不安原因のひとつだ! 


「若さは大いなる武器ですからねぇ~♪ 早ければ早いほどチャンスを生かすことはできますよぉ~♪ 現役女子高生動画配信者というだけで大いなるアドバンテージになると見てます~♪ しかも、今話題沸騰の越草修人の妹ともなれば~」


 むしろ瑠莉奈にまで危害が及ぶ気がしてならないのだが……。


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