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エキセントリックワールド

「ふふふ~♪ これで弊社は安泰ですねぇ~♪ 菜々美ちゃんと瑠莉奈ちゃんがコンビを組んだらすごい売上になることは確定的に明らかですぅ~♪」


 このままではふたりが馬車馬のごとく働かせられてしまう!

 こんなデンジャラスな業界からは一秒でも早く離れるべきな気がするのだが……。


「お給料はたっぷり出しますので~♪ ぜひぜひ~♪ しゅーくんさんもふたりのために働いてくださいねぇ~♪」


 ニコニコニコニコニコニコニコ。


 圧のある笑顔でお願いされてしまう。

 このままでは俺たち三人揃って芸能界の闇に飲みこまれてしまいそうだ。


「しゅーくと瑠莉奈ちゃんんが一緒なら心強いよぉ♪」

「……罵るだけでお金がもらえるのなら、そんなに悪くないかもしれない……」


 だんだんマズい方向へ行っている気がしないでもない。

 でも、将来設計的には悪くない選択なのか……?


 今の時代、真面目に学校に行って大学を卒業しても生涯安泰というわけではない。

 菜々美の所属する芸能プロダクションは最大手だし、上場企業である。

 その社員になれるのなら、悪くないのでは……?。


「ふふふふ~♪ 菜々美ちゃんと瑠莉奈ちゃんのマネージャーとして働いてくれるのなら特別手当も出しますよぉ~♪ ウハウハな生活できちゃいますよぉ~♪」


 神寄さんがニコニコしながら、こちらに近づいてくる。

 なんという圧力。このままでは承諾してしまいそうだ。


「…………ぜ、善処します……」


 とりあえず踏みとどまった。

 そうだ。人生において大事な決断は時間をかけて考えねば。

 安易に決めてはダメだ。


「案ずるより産むがやすしだと思いますよ~♪ そして、チャンスというものは一瞬だけなんです~♪ 待っているうちに逃げちゃうものなんですよぉ~♪」


 そう言われると一理あるかもしれない。

 さすが大手芸能プロダクションの敏腕マネージャー。

 しかし、こんなブラックというかダークというかエキセントリックな業界に入るのは勇気がいる。


「怖くない、怖くないですよぉ~♪」


 だから、その笑顔が怖いんですって!

 絶対に表と裏がある。

 というか、その裏の部分をこの数時間で見すぎている。


「ふひぃ、そうだぞぉ、怖くないぞぉ~♪ ご褒美がたくさんの業界だぞぉ~♪」


 萌豚社長も加勢してきてるけど、めちゃくちゃ逆効果だ。

 いろいろな意味で、この業界はエキセントリックすぎる。


 こんなところに足を踏み入れたら、俺まで変態になってしまいそうだ。

 あの純真な菜々美まで変わり果ててしまったからな……。


「しゅーくん! わたしはピュアだからね! 身も心もピュアピュア!」


 なぜか両手の指を組みあわせてハートマークを胸元で作りながら主張する菜々美。


 どんなときでもアイドルであり続ける姿は、ある意味でプロフェッショナルである。

 もう菜々美にとってオンもオフもないのかもしれない。骨の髄までアイドルなのだ。


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