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エスカレートするカオス

 まさか謝罪行脚一発目で、いきなり偉い人に罵声を浴びせる場面を見ることになるとは思いもしなかった。芸能界怖い。


「ハァハァハァ……! 他社の社長たちも菜々美ちゃんが罵れば絶対に許してくれるよぉ~! 我々の業界ではご褒美だから! がんばってねぇ、菜々美ちゃんっ! はふはふはふぅ!」


 マジか。

 俺の思っている以上に偉い人は特殊性癖の持ち主だらけなのか。


「一流の経営者さんは一流の変態紳士淑女さんでもありますから~♪」


 神寄さんが言うと説得力があるかもしれない。

 というか、この人もかなりの変人だしな……。


「…………瑠莉奈ごとき凡俗では、この世界で生きていくのは大変そう……」


 早くも瑠莉奈は芸能界の恐ろしさと厳しさを知ったようだった……。


 兄としては、こんな危険な世界というかアンダーグラウンドデンジャラスワールド~には行ってほしくないところだ。


「それでは、萌豚社長さん~♪ まだまだ謝罪行脚は続きますので~、また改めて~♪」

「うん、うんっ! 僕はもうオッケーだよぉ~! ……って、ところでだけどさぁ! そこのふたりは何者くんと何者ちゃんっ?」


 立ち上がった萌豚社長は、俺と瑠莉奈に視線を向けてきた。


「あ、はい、申し遅れました~。こちら弊社のマネージャー見習いであり菜々美ちゃんが結婚を約束していた越草修人くんと、その妹の瑠莉奈ちゃんですぅ~」


「ふがっ!? 菜々美ちゃんが叫んでいたあの婚約者ぁあああああああああああああああ!? ジェラシィイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 萌豚社長は俺を血走った目で見ながら絶叫する。

 危うく「ひぃい!?」と叫びそうになった。


「そして、妹ちゃんメチャクチャかわいいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!? プリティィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーー!」


 本当になんなんだこの人は。


「……こちらをキモい目で見ないでほしい……」


 ちょ、瑠莉奈! 偉い人に向かってなんて発言を!

 しかし――。


「我々の業界ではご褒美ですぅううううううーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 とことんダメな人だ!


「ふふふふ~♪ 瑠莉奈ちゃん、かわいいですよねぇ~♪ 菜々美ちゃんが騒動を起こしたおかげで思わぬダイヤの原石を見つけてしまいましたよ~♪」


「いいよ! この子すごくいいよぉ! この子クールなのにかわいい! ナチュラルに僕を罵ってくれたのもいい! 才能あるよぉ!」


 俺の妹に対してそんな興奮しないでほしい。


「……キモイ、キモすぎる……」


 そんな萌豚社長に対して、さらに蔑みの言葉をつぶやく瑠莉奈。


「ぶっひぃいいーーーーーーーー! 『キモい、キモすぎる』いただきましたーーー!」


 歓喜する萌豚社長。


「むぅう……アイドルとして一般人の瑠莉奈ちゃんに負けるのは複雑な心境だよぅ……」


 そして、悔しがる菜々美。


 ……もうこれ以上この場をカオスにしないでほしい。


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