生命の危機
「……ありがたいな、本当に、ありがたい……ありがたや、ありがたや……」
信仰を深めた俺はまたしても菜々美を拝んでしまう。
「むうぅ~! またそうやってわたしを拝む~……! わたしは信仰の対象としてじゃなくて恋愛対象として見てほしいのに~……!」
菜々美は頬を膨らませて怒っているが、そんな顔もかわいい。尊い。
「……おにぃ……キモッ……」
キモイよりもキモッのほうがダメージがデカいからやめてほしい。
なんで妹って兄に対してドSになるんだ。ドМに目覚めてしまうからやめてほしい。
「やっぱり、しゅーくんにはショック療法が必要かなぁー……! よーし! えいっ!」
「うぷぁ!?」
いきなり菜々美は抱きついてきた。
しかも、俺の顔面に巨乳を押しあてる位置で。
さらには――。
「ぎゅう~~~~~~!」
「んぷぷぷぷぷぷぷっ!?」
思いっきり抱きしめてきた! うぐあ、窒息する!
巨乳で圧迫されて死ぬ! 巨乳死する! なんだその情けない死に方は!
「しゅーくん! わたしを偶像崇拝するのはやめて! 生身のわたしを感じて!」
「んぷぅ! んぷぅ!」
さらに強く抱きしめながら、激しくお願いしてくる菜々美。
この状態では声を発することができない。
「……不健全ポイント……3……5……7……」
その間、瑠莉奈から無慈悲なポイント加算がされていく。
一方で、俺のライフポイントはどんどん減っていった。
「しゅーくん! お願い! わたしを見てぇ!」
「………んぶっ…………」
酸素が欠乏し、俺の意識は遠のいていく。
……そうか、ここが極楽浄土か……。
天国って、巨乳の中にあったんだな……。
「……あれ? しゅーくん、しゅーくぅん!?」
「……おにぃ、死んだ……?」
暗転する視界の中、菜々美の慌てる声と瑠莉奈のあまり残念でもなさそうな声が聞こえたのだった――。
巨乳死エンド……ではなく、まだまだ続きます。