幼馴染アイドルと混浴タイム
☆★☆
「……はぁはぁはぁ……はぁはぁはぁ……はぁはぁはぁはぁ……」
俺は息も絶え絶えになっていた。
死ぬかと思った(社会的な意味で)。
いろいろな意味でピンチだったが、耐えきった。
よくやった俺。自分で自分を褒めてあげたい。
「むうう~……しゅーくん手ごわすぎるよぉー……」
すまんな。俺は常人とは違うんだ。
「……おにぃ……キモイ……」
なんで妹ってすぐに兄のことをキモイって言うの?
兄も傷つく生き物だからやめてほしい。
「ともかく、気を取り直して! しゅーくん! お風呂に入ろうー!」
菜々美は桶から湯をすくって、俺に付着した泡を流してくれた。
なお、髪まで洗ってもらった。至れり尽くせりである。
湯船には、いい具合に湯も満ちている。
「もうこうなったら、煮るなり焼くなり好きにしてくれ……」
お風呂に入るというなら煮るに近いか。
「えへへ~♪ しゅーくんとお風呂お風呂お風呂~♪」
菜々美はゴキゲンモードである。
まぁ、ここまで喜んでもらえるのなら、それはそれでいいのかもしれない。
俺は立ち上がると、そのまま湯船に入った。
なお、タオルは腰に巻いたままである。
ここだけは絶対防衛圏である。死守する。
「ふう……いい湯加減だ」
昼間から入る風呂は格別だな……。
昨日の今頃は、まさかこんなふうな今日を過ごすとは夢にも思わなかった。
「しゅーくん♪ それじゃ、わたしも入るねー♪」
菜々美はそのまま俺と向かいあわせになるようなかたちで、湯船に浸かった。
まさかトップアイドルになった幼馴染と混浴する日が来るとは……。
菜々美と混浴できる権利をネットオークションにかけたら、すさまじい額になりそうだ。
「……おにぃはこれで生涯菜々美ちゃんファンから命を狙われることになった……このことが露見したら釜茹でにされると思う……」
物騒なことを言わないでほしい。石川五右衛門か。
まぁ、実際にこの事実をファンに知られたら命が危ういかもしれないけどな……。
というか今もネットとかすごい騒動になっているんだろうなぁ……。
菜々美のツイッターとかも大炎上状態だろう。
「えへへ~♪ しゅーくんとお風呂~♪ しゅーくんとお風呂~♪」
こんなふうに悠長に風呂に入ってていいんだろうか。
まぁ、菜々美がメチャクチャ嬉しそうだからいいとするべきか。
かわいいは正義。
しかし、本当にかわいいな……。
テレビ越しに見るよりも、さらにかわいい。
破壊力が違う。もうこれ人間国宝レベルだろう。
金色の等身大菜々美フィギュアを作って安置すれば、そのまま寺を開けそうな次元である。