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妹ポイントカード

 菜々美は俺の両腕を掴んだまま移動し始める。

 意外と力が強いので、俺はそのまま引っ張られていってしまった……。


「……おにぃ……瑠莉奈も不健全チェックのために同行する……」


 なんだその不健全チェックというやつは。

 でも、今の俺にとって唯一頼れるのは瑠莉奈だけだ。

 密室に菜々美とふたりっきりだけとか、絶対によくない。


「むむぅ~……本当はふたりっきりがいいんだけどなぁ~……ま、いいかぁー。ともかくお風呂タイム~♪ ふんふふ~ん♪」


 菜々美は鼻歌混じりに俺を引きずっていった。

 なんというパワフルアイドル。


「お風呂♪ お風呂っ♪ お風呂~~~♪」


 浴室は、かなり広い。十人くらい入れそうな檜風呂だ。

 やっぱりアイドルの泊まるホテルは俺たち庶民の泊まるようなものとは違う。


「しゅーくん背中流してあげるね~♪ ほらほらぁ脱いで♪」

「む、無理だ」


 菜々美にそんなことさせられるわけないだろ!

 ファンにそんなことが知れ渡ったら風呂どころか東京湾に沈められることになる。


「……おにぃと菜々美ちゃん……不健全……」

「しゅーくんと一緒にお風呂に入るのは不健全じゃないもん!」


 瑠莉奈のつぶやきに対して、菜々美は光の速さで抗議する。


「……あとでふたりには瑠莉奈お手製のポイントカード『不健全ポイントカード』を進呈する……それが三十ポイントたまったら、ふたりを不健全と認定する……」


 瑠莉奈はポイントカード作りが趣味であり、これまで俺はつきあわされてきた。


 これまでに『妹ゴキゲンカード』(俺の行動によって瑠莉奈が喜んだ場合にポイントが押印される)や『妹フキゲンカード』(俺の行動にって瑠莉奈が怒ったときにポイントが以下略)などを渡されたことがある。


 もともとは無表情で感情の起伏に乏しい瑠莉奈が、感情を表現しやすくするために俺が開発したカードだった。しかし、今では発行元は瑠莉奈になっている。


「……ちなみに今回の一緒にお風呂という不健全なイベントによってポイントが四つ押されることになる……」


「むぅぅ……瑠莉奈ちゃん厳しいよぅ……」


 でも、これはいいアイディアかもしれない。

 俺たちが健全を逸脱するたびに瑠莉奈がチェックしてくれるのだ。


 さすがは我が優秀な妹。有能である。

 実際、瑠莉奈は頭がよい。いつもテストで全教科高得点なのだ。


「ともかく! しゅーくん、お風呂だよ! 絶対にお風呂ー! 断固としてお風呂タイムだよーーー!」


 お風呂バーサーカーと化した菜々美は俺の服に手をかけ脱がしにかかった。


「きゃーっ!」

「女の子みたいな声出してもだめーーー!」


 俺は悲鳴を上げたが、そのまま強引に菜々美によって全裸にされてしまった。


「……おにぃ…タオル……」

「お、おう……」


 瑠莉奈のナイスアシストによってギリギリ健全は保たれた。

 持つべき者は優秀な妹である。


「……おにぃには『あとで妹にスイーツを食べさせるポイントカード』を進呈する。今のでポイント3つ加算……」


 さすが優秀すぎる妹。抜かりがない。

 ともあれ俺は瑠莉奈の渡してくれたタオルを腰に巻いた。


瑠莉奈「……面白いと思ったら評価ポイントを……」


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