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トンデモナイ提案

「……瑠莉奈、お邪魔……?」


 瑠莉奈から冷たい視線を向けられる。

 しかし、今の俺にとっては生命線である。


 もし瑠莉奈がこの場にいなくて俺と菜々美のふたりっきりだったら、いろいろな意味で歯止めが利かなくなるだろう(もう本当にいろいろな意味で)。結果として、俺は尊死どころかショック死しかねない。


「……頼む、瑠莉奈……俺のことを守ってくれ……」

「……そんなこと言われても……」


 今度はジト目で見られる。


「むぅ~……しゅーくん、もっとわたしと向きあってよぅー!」


 菜々美は頬を膨らませて不機嫌アピールをしてきた。

 子どもっぽい仕草だが、絶世の美少女アイドルがやるとすさまじい破壊力である。


「うぁあ! 尊い!」


 俺は逆に勢いよく顔を逸らした。

 こんなものを直視したら命がいくつあっても足らない。


「って、しゅーくん、なんでわたしから勢いよく目を逸らすのっ!?」

「……す、すまん……いや、まぁ、その……菜々美はメチャクチャかわいいからな……」


 テレビ越しだけでも破壊力がすごいのに、現実で――しかも、至近距離でだなんて――とても耐えられるわけがない。


 しかも、俺に対して好感度はMAXなのだ。

 ずっとこんな生活をしていたら、いつか間違いが起こらないとも限らない。


 これを耐えるのは健全な青少年男子にとっては、すさまじい苦行である。

 俺が菜々美のことを尊いと思っているから、なんとかなっているが。


「……おにぃの奇行を目の当たりにして、妹の瑠莉奈としてはどういう反応をしていいのかわからないのだった……」


 今日だけで妹からの好感度がだだ下がりだ!


「……むぅう~……ほんと、しゅーくんは難攻不落だね……! 忍城みたい! でも、障害があればあるほど燃えてくるよ! 絶対にしゅーくんをわたしにメロメロにしてみせるもんっ!」


 さすがトップアイドル。へこたれない。

 この負けん気の強さがアイドルの頂点にまで至った理由のひとつだろう。

 菜々美は、ただ美少女というだけではないのだ。


 ほんと、俺なんかとは釣りあわない。


「……おにぃは本当に果報者……菜々美ちゃんと幼なじみというだけで全ての運を使い果たしているといっても過言ではない……」


 俺も同感である。


「とにかく! しゅーくん! とりあえず、お風呂に入ろうー! もちろん一緒に!」


 そして、菜々美はとりあえずでトンデモナイ提案をしてくる。

 いったい、どういう脳味噌をしているんだろうか……。


「とりあえずで出す選択肢じゃないと思うんだが……」

「わたしお風呂大好きだもん! オフはいつもお風呂タイムだもん! だからしゅーくんと一緒にお風呂に入るんだもん!」


 本当に思考がぶっ飛んでいる。

 脳味噌の回路が無軌道すぎる。


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