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モブ女よ、傍観できると思うな

モブ女よ、傍観できると思うな 蛇足

作者: 夏雲の影


ユーフェミア:平民の特待生。

サイラス:王太子。

フィランダー:隣国の王太子。

メイナード:宰相子息。

マクシミリアン:騎士団長子息。



*****



「よっしゃあ大団円ッ。これで万事解決。一番断トツでやべぇの引き取ってくれて感謝感激雨霰ッ!」

「ユーフェミア。何をブツブツ言っている?」

「あ、王太子殿下。女神もといハンナ・ナイセル侯爵令嬢に感謝の念を捧げておりました」

「おお、そうか。ハンナ嬢には私もいつか礼を言いたいと思っている」

「それはそうですね。僕もいずれ謝意を伝えたいと思っていました。ハンナ嬢のお好きなものは何でしょうかね」

「え~? 止めときなよ~。俺達がプレゼントしたもの使ってもらえると思う~? ジェラルド様にすぐ没収されるどころか握り潰されるよ~」

「俺もジェラルド様ならやりかねないと思うけどよ。やっぱり俺も彼女に礼をしたい。食いモンならいけるか? 手元に残らないぜ」

「俺だってお礼はしたいけどさ~。ユーフェはどう思う~?」

「ギリギリ大丈夫ではないでしょうか? 自分で作ったものしか食べさせないっていう域には達してないでしょう、王弟殿下も。……一応。……多分。そ、そうですよね?」

「……達していないと思いたいが。そして今後も達さないで欲しいと強く願うが……」

「ハンナ嬢も苦労しますね……できるだけ助けて差し上げたいとは思いますが……」

「なぁ。俺達全員からのプレゼントってのはどうだ? そうしたら特別感は皆無だろ?」

「わぁ! マクシミリアン様ナイス! それアリですね!」

「おや、珍しくマックスが建設的な意見を言っていますね」

「メイナード、てめぇ。俺を何だと思ってんだ」

「脳筋」

「失礼だな!?」

「まーまー、喧嘩しないの~。じゃあ、ハンナ嬢の好きなものリサーチしよっか~。ユーフェ頼める~?」

「勿論ですよ。ナイセル侯爵令嬢のお友達の一人と交流があるので聞いてみますね!」

「金は惜しまないようにな。私達のポケットマネーから出すので遠慮はいらない」

「入手が困難だとしても、僕の伝手でどうにでもします。頼みますね、ユーフェミア」

「俺もリサーチ手伝うぜ、ユーフェミア。あと、俺のダイアナもハンナ嬢に礼をしたいと言ってたから、声を掛けてみる」

「む。ならば私のエリーにも話をしなければ。エリーもずっとハンナ嬢と仲良くなりたいと言っていたしな。声を掛けなかったら拗ねるかもしれない。それはそれで可愛いが」

「さて、僕の可愛いジリアンも加わりたいでしょうから、今から会いに行ってきますね」

「うわぁ。ナチュラルに惚気てくるなこの人達。わざわざ『自分の』って枕詞つけないと婚約者様達のこと呼べないの?」

「ん~? ユーフェも惚気て欲しかった~? 俺、いくらでも惚気られるけど~?」

「いっ、いいです! 遠慮致します!」

「……いい加減俺に対して敬語使うの止めて欲しいんだけどな~?」

「そ、その……」

「俺、悲しいな……?」

「うっ」

「ねぇ、ユーフェ?」

「……し……」

「し?」

「……し、心臓がもたないんです! フィランダー様と一緒にいるだけでいつもドキドキして! お名前だってやっと最近呼べるようになったのに!」

「……」

「王太子殿下に対して畏れ多いという気持ちも勿論あります。でもそれ以上に、平民であるわたしなんかが名前呼びに加えて口調まで砕けていいってなったら、自分が特別なんだって胸がいっぱいになって頭もいっぱいになって、フィランダー様のことしか考えられなくなったら困るんです!」

「……」

「だからですね、呼ぶのが嫌だとかいうのは一切無いのですよ? ただ、わたし特待生なので成績を維持しなきゃならないんです。その、だから口調は! 口調はもう少し待ってください!」

「……サイラス。この学園には確か、来賓専用の控え室があったはずだな?」

「許可しない。絶対許可しないぞフィランダー」

「フィランダー様、落ち着いてください。顔、顔ヤバイですよ。王太子がしてはいけませんそれは」

「口調も素になってますよ。ユーフェミアも引いて――ねぇな。自分が盛大にデレたことに今更気づいて悶絶してんな」

「サイラス」

「許可しないと言ってるだろう!? 睨むな!! あ、おい。何してるんだ」

「ハァ。ユーフェミアをどうにかこちらに留めて置きたかったですが、この分では無理そうですねぇ」

「だよなぁ」

「二人とも何を暢気に話している!? 追うぞ!」

「なっ、いつの間に。というか速ッ!?」

「マジかよ!? ユーフェミア抱いてるのにアレか!?」

「既成事実を作られて直ぐさま国に持ち帰られてはたまらん。ユーフェミアにはこの国で文官として働いてもらわねば。後進も育てるまでは出て行かせない」

「いやぁ無理だろ」

「無理ですね」

「くっ。諦めない。私は諦めないぞ……!」



☆補足☆

ユーフェミアもハンナと同じく元日本人女性で、乙女ゲームのユーザーだった。新規コンテンツもプレイ済み。自分がヒロインに転生したと認識したときは、面倒なことになったと愕然。しかも転生者らしきハンナの知識量がエグい。太刀打ちできないと戦々恐々していたが、「あれ? この人もしかして新規コンテンツやってない?」と気づいてからは、ハンナには及ばないながらもゲーム知識を使って上手くジェラルドをハンナに押しつけた。


攻略対象であるサイラス達は、ハンナの暗躍とユーフェミアのおかげで、ゲームには登場しなかった女性達と出会い婚約中。相思相愛でみんな仲良し。立役者のハンナとユーフェミアにとても感謝している。なお、本編でハンナは彼ら全員がユーフェミアに恋情を向けていると勘違いしていたが、優秀な人材としての価値を見込んで国に引き留めていただけで、隣国の王太子であるフィランダー以外、恋愛感情は全くない。


ユーフェミアは誰とも恋仲になるつもりはなかったが、フィランダーにそれはもう熱心に口説かれ、口説かれまくり、口説き落とされて、晴れて恋人同士となる。平民だと愛妾にしかできないので、フィランダーが色々手を回していることは知らない。サイラス達は優秀なユーフェミアを自国に置いておきたいが、隣国との友好関係も崩したくなくて板挟み。十中八九持って行かれる覚悟はしてる。


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