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愚神と愚僕の再生譚  作者: 真仲穂空
第6章 僕らの夏休み
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3.アスラのドキドキ☆2DAYS④ 科学の未来を明るく照らそう!

◇ ◇ ◇


(つまりは出待ちってことだよね)


 拾ったテニスボールを背中の籠に投げ入れながら、アスラは胸中でつぶやいた。

 場所は特殊第2運動場。リュートと遭遇しないか少し気になったが、セシルに聞かされたリュートの予定からすると、恐らくは大丈夫だろう。

 テニスボールをまたひとつ拾い、籠の中へ。それが今アスラに与えられている仕事だ。

 (げん)(しゅつ)が運よく(?)起きるのを待っている間、ついでに研究資金も調達しようというのがフリストの案だった。というより定期的にここで――特殊第2運動場で有償奉仕を行っているらしい。

 ボールを拾って籠の中へ。拾って中へ。中へ……


(……駄目だぁっ)


 大事な仕事だと言われたから張り切ってみたが、もう限界だった。ボール拾いは苦ではないが、誰かがいるなら話をしたい。

 すぐ近くでアスレチックの点検を行っているフリストに、アスラは問いかけた。


「ねえねえ。やっぱりリス君は、将来研究員になりたいの?」

「そうだねえ……」


 フリストがバインダーから顔を上げ、片目を細める。


「なりたいというよりは、なるべくしてという感じかな。他の道が考えられない」

「それはやっぱメル……女神様のために?」

「もちろんそれが一番だけど、好奇心も大きな理由だよ」

「分かるよその気持ち。知るのって楽しいもんね!」


 アスラが示した共感に、フリストはいたく感激したようだった。


「君は(くず)()君の関係者かもしれないが、知を尊ぶ心をもっているのは実に喜ばしいことだ」


 じーんとこちらを見つめると、名案とばかりに指を鳴らす。


「決めた。君を我が研究会の副会長に任命しよう!」

「ほんとっ⁉」

「ああ、光栄に思いたまえ。ふたりで科学の未来を明るく照らそう!」

「うん! それであたしはなにをすればいいの?」

「差し当たっては研究資金の確保だな。まずはこの有償奉仕をしっかりこなそう。事務局員の目は厳しいぞ」

「副会長、りょーかいしました!」


 アスラはずびしと敬礼をした。なにかしら役割がもらえるのがうれしかった。


「それでは張り切って――おやおや」


 フリストが言葉を中断し、口の()を上げる。理由は言わずとも知れた。


「場所は第2運動場のようだ。急げば誰かが狩る前に誘導弾を試せるぞ。行こうアスラ君!」

「らじゃーっ!」


 ふたりは科学の未来に向かって駆けだした。


◇ ◇ ◇

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