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トキメク少女・マジ★カノン

 大学からの帰宅途中、変な少女に捕まった。

「あの」

 気弱そうな声に振り返ったのが運の尽き。

 ピンクのリボンが眼前に迫り、頭をガツンとやられた。

 気が付けば、後ろ手に縛られて、コンクリートの上に転がっていた。

 そして。

「好きです! 好きなんです!! あなたが!! 好き!!」

 ガツン、とやった張本人だと思われる少女に、熱烈な告白を受けている。

 足首から太ももの付け根あたりまで、ピンクの帯でぐるぐるに固定されていて、立つことができない。冷たい床に転がるしかない俺の目の前に少女も横たわり、向かい合わせになっている。

 彼女の白いセーラー服と、胸元のピンクのリボンに見覚えがない。

 市内の中学生ではない、というか、レースやらリボンやら、学業に関係がない装飾が多すぎるので、もしかしてコスプレ衣装ではないだろうか。

「えっと、誰」

「あっ名前ですか私ですか鏑木カノンですお兄さんは西野ジンさんですよね知ってます大好きです結婚してください!!!!」

 大ボリュームの声で、息継ぎもなしに言った。どうして俺のフルネームを知っているのか。ドン引きである。

 束縛された手足をゆする。

「これ、君が全部やったの?」

「えっすごい可愛い、かわいい!! ジンさんかわいいです!! はい私がやりました。トキメク魔法のマジ★カノンのトキメキパワーです!! あれもしかして痛かったですかごめんなさい解きますね!!!!」

「……えっ!?」

 足を拘束していたピンクの帯が、ピンクの粒子になって溶けるように空気に消えた。腕は後ろで見えなかったが、手足が同時に自由になったので、同じもので縛られていたのかもしれない。

 とりあえず上半身を起こして座ると、カノンが黄色い悲鳴を上げた。

 怖い。

 今すぐ逃げたいが、カノンのトキメキパワーが得体の知れなさすぎて安易に逃げるのは危険だと思う。

「好き、好きですジンさん。カッコいい……」

 俺は君が怖い。

「えっと、キミ、中学生くらい?」

「5年生です!」

「――小学生、だと」

 カノンは堂々としているが、俺とは10歳くらい年が離れているではないか。

 中学生、いや、高校生だったとしてもカノンの告白に応えるつもりは全くないけれど、俺の倫理や常識が背筋をヒヤリとさせた。

「俺、ハタチ越えてるけど、お、思い切ったね……?」

「はい!! 一目ぼれです!!」

 だらだらと額から汗が流れる。

 俺の気づかないうちにカノンは手に飾りのついた棒――ピンクのステッキを持っていた。星型の先端は金属質で、かなり固そうだ。

 返答次第では死亡フラグが立ちそうだが、どうしても譲れない答えはある。

「ごめんなさい」

 言葉を失うカノン。瞳から輝きが失せ、動きがピタ、と止まる。

 動かなくても怖いんだなこの小学生……。

「未成年の、参政権を持ってない歳の人とは付き合えません」

「な、なんでそんなこと言うんですか……?」

 大きな瞳が潤む。殴られて攫われているためか、子どもを泣かせているのに一切、良心が痛まなかった。もうどうにでもなれ。

「あのね、普通の大人は未成年と恋愛しないの。好きになっても付き合わないの、そしてお兄さん大学のレポート課題を終わらせて酒飲みたいから帰らせてほしいな」

「いやです嫌です! 子ども扱いしないでくだーい!!」

 少女の体から蛍光色の星やハートのエフェクトが飛ぶ。いったいどうなってんだ。カノンはステッキをくるっと振って、先端の星を俺に向けた。

「トキメク魔法☆」

 光に呑まれて俺の意識は再び薄れていった。

 気が付いた時、俺は病院のベッドの上だった。

診断メーカーのお題を元に小説を書いています。


名無しのAのこれから作る作品は

■トキメク魔法

■感情の爆発

■思い切った恋

です。

~http://お題.com~

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