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5.騎士学校

 俺はキュリーがお風呂から上がって居間に戻って来るのを居間の椅子に座って待っていた。


 それにしてもキュリーは綺麗だったな。そしてお尻もなかなか…違う!俺はそんな変態じゃない!


 キュリーの裸を思い出して熱くなった頭を振り熱を冷ます。

 その瞬間に居間の扉が開かれた。そこには髪を濡らしたキュリーがまだ服を着ていない状態で扉の前に立っていた。


「ちょっと! なんで服着てないんだよ! 普通は風呂場で着てから居間に来るだろ!」

「そうですか。ソレイアがそうして欲しいのならそうしますが」

「あぁ! 頼むよ!」

「はい。ではこれからはお風呂場で服を着脱してから外に出るようにします」


 そう言ってキュリーはもう一度風呂場に行き服を着てから居間に戻ってきた。

 これまでのキュリーの行動は俺から指示もしくはお願いされたこと以外の行動を取ることは無かった。


「……なぁ。キュリーはどうして俺が指示しないと行動しないんだ?」

「はい。それは今の私の全命令権をソレイアのみが持っているからです」

「……自分の意思は無いと?」

「はい。私はそのように作られた自律人形ですから」


 自律人形なのに自分の行動は全て命令に基づいて動くとか自律してないだろ。


「……じゃあ俺から出す最初の命令だ。俺の妹のルネを探して連れて帰る為の手助けをしてくれ」

「はい。ではこれからソレイアの妹のルネを連れて帰る為の、手伝いや助言をさせていただきます」

「ありがとう。これからよろしくな」

「はい。お願いします」


 そう言ってキュリーは俺に微笑みかけた。


 笑うこともあるんだ……感情がない本当の人形みたいな子だと思ってたけど違うみたいだな。


「それでさ……俺はルネを連れて帰るために何をすれば良いんだ?」

「はい。まずはソレイアには死神に勝てるくらいに強くなって貰わなければなりません」


 俺はある程度自分は強いと思っていた。でもあの日死神に一太刀浴びせたと思い油断して反撃を受け、そのまま動けなくなってしまった。

 確かにそうだ。あの突きで死神を倒せていれば問題ない話だったんだ。


「そのまま普通に強くなるだけで死神は倒せるのか?」

「はい。ですが高位の死神はその枠には当て嵌まりません。ただ今のソレイアでは下位の死神にでさえ勝てる確率は1割程度ですので、まずは純粋な戦闘能力を磨いて貰いたいです」


 ……ならまずはベルードさんに戻れと言われていた騎士学校でもっと技術や知識を得ておかないとな。でも一年も行ってない俺の席なんて残ってるのかな?


「……分かった。キュリーの助言に従うなら俺は騎士学校に戻ってもっと自分を強くしなければいけないと思う」

「そうですか。では私も一緒に騎士学校とやらに行きます」

「え? なんで?」

「はい。ソレイアの妹を連れて帰る手助けをするなら常に行動を共にしていた方がいいと判断します」


 騎士学校はそこそこ強い人が集まる場所で、そこに入学するにはそれ相応の力か伸び代を見せないといけない。そもそも俺も席が残ってない可能性すらある。


「騎士学校の入学試験はそこそこキツいぞ?キュリーは戦いとか出来るのか?」

「はい。汎用型ですのである程度は出来ます」

「ある程度って……」


 まぁ一応連れて行ってみるか。どちらにせよ俺は騎士学校にまた行く必要があるからな。キュリーはそのついでってことで良いか。






+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+






 翌朝、俺はキュリーを伴って街の隅にある騎士学校の門を潜った。そして門を潜ったときに監視員の人に呼び止められた。


「ちょっと君達。止まってくれるかい」

「なんですか?」

「君達この学校の生徒なのかい? 今まで見たことないんだが……」


 俺もこの監視員の人を今まで見たことが無かったので、俺が休んでいた間にこの学校の監視員になったのだろう。


「俺はソレイアって言います。こっちの子は連れの子なのでこの学校の生徒ではないです。なんなら先生方に確認を取って貰っても良いですよ」


 俺と話していた監視員と別の監視員が校舎の方に確認に行った。


「じゃあ君の連れの子は、ここに入学したいってことで良いのかな?」

「はい。その認識で合っています」


 先生に確認に行っていた監視員が予想よりかなり速く先生を連れて戻ってきた。


「ソレイア君! 一年間も騎士学校に来ないで何をしていたんだ! 首席の君が学校に来ないなんて他の生徒に示しがつかないだろう!」

「すみませんスロイン先生。ちょっと立ち直るのに時間が掛かってしまいまして……」


 俺の休む前の担任のスロイン先生は、俺の家の事情を聞いていたのか申し訳なさそうな顔をした。


「いや。すまない……でもここに来たってことは立ち直ってくれたと思って良いんだよね?」

「そうですね。学校に俺の席ってまだ残っていますか?」

「もちろん残っているが、君は留年したという扱いになっているからもう一度同じ学年に居て貰う事になる。そして当然のことだが今の首席は別の人になっているよ。まぁでも君ならすぐに首席に戻るだろうがな」


 席は残してくれていたんだ……それだけでも十分ありがたい。あとはキュリーが入学したい意思がある旨についても言わないとな。


「ここにいる子も騎士学校に入学したいって思ってるんですけど大丈夫ですか?」

「はい。ソレイアと同じ学年で入学を希望します」

「君の名前は?」

「はい。汎用型自律人形のヴァルキュリエです」

「汎用が……何だって?」

「な、何でもないです! この子は少しズレているんですよ! だから気にしないで下さい!」


 俺の言葉にキュリーは少し顔をしかめた。


「いいえ。キュリーはズレていません。様々な項目で完璧なバランスになるように調整された自律人形です」


 何言ってんだか……それが相当ズレてるってことだよ。


「ま、まぁ入学するのなら入学試験を受けて貰うよ? 入学試験の結果次第では飛び級でソレイア君と同じ学年になれるから頑張ってくれ」

「はい。私の全力をお見せします」


 俺たちはキュリーの入学試験を受ける場所にスロイン先生に連れられて行った。

ソレイアの学年は上から2番目です。そう思ってこれからは見てください。

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