5.ちいさな、いきちがい
「ついてないよ! ついてないよいっこも!
どうなってんだよ、いったい!
きのう、やくそくしただろ?
『オレさまがおまえに、『ブクマ』をゲットさせてやる』って!
いったい、どうなってるんだよ!!」
ナロウくんははんなきで、『ブクマはがし』につめよります。
きたいしていただけ、がっかりもおおきかったのです。
きのうは、あれだけびびりまくっていたのに……
そんなこわさも、わすれています。
『ブクマはがし』は、ぽんぽんとナロウくんのかたをたたきます。
「まあまあ、おちつけ、ナロウ。
まだ、みにきてないのかも、しれないだろ?」
「えっ?」
『ブクマはがし』はなにをいっているのでしょう。
ナロウくんはぽかんとしてしまいます。
「『えっ?』て……
だから、おまえのさくひんを、だよ。
ちゃんと、たのんだんだろ?
かぞくや、ともだちや、しんせきに」
「えーと……なにを?」
ナロウくんには、なんのことだかわかりません。
するとこんどは、『ブクマはがし』がぽかんとします。
「……あのさ。
ねんのためにきくけど、オレきのう、おまえにいったよな?
『かぞくや、ともだちや、しんせきにたのんで、おまえのさくひんにブクマをつけてもらえ』って」
「……えっ?」
ナロウくんはますますぽかんとしてしまいます。
おぼえてません。ぜんっぜん、おぼえてません。
「いった! いったって!
きのう、『けいやくしゃのしるし』をつけたあと!
このへやからでてくまえに、ちゃんといった!」
「………………あっ」
そういえば、いわれてたようなきがします!
『ブクマはがし』はきれいなあかいめで、じとっ、とナロウくんをみます。
でも、すぐにためいきをつきました。
「あー。
あのときおまえ、なんかへんじがあやしかったからなー……
ちょっと、おどかしすぎたかな。
……うん、そこは……ゴメン。わるかった、よ」
『ブクマはがし』はごめんね、とあやまってくれました。
ナロウくんは、やさしいこです。
ちゃんとあやまってくれれば、ゆるしてあげられるのです。
「こっちこそ、ちゃんとはなしきけなくて、ごめんね。
あの、でも……
せっかく、すすめてくれたけど、ぼく、それはできないよ」
「えっ?」