15.ナロウくんのせんたく
そして、よくじつ。
ナロウくんはかばんをかかえて、ソラさんのびょうしつにやってきました。
ベッドのうえにはソラさんが、めをさましてまっすぐすわっています。
ベッドのわきのいすにはスランくんが、あしをくんですわっています。
ふたりは、なんとなくぴりぴりしたふんいきでしたが……
ナロウくんをみると、わらってくれました。
「よう、ナロウ。まってたぞ!」
「ようこそいらしてくださいました。
はじめまして……でいいのかな?
ソラです。あえてうれしいです、NAROUせんせい」
ソラさんは、すいっといちれいすると……
きれいなそらいろのひとみでほほえんで、そういってくれました。
あこがれのさくしゃさんが、こんなにぼくをかんげいしてくれるなんて!
しかも、ソラさんはおこえもまたすてき。
さわやかでおとなっぽくて、これまたアニメのヒーローみたい。
ナロウくんはもう、てんにものぼるきもちです!
「ひゃ、わ、わ、いやそのっ、せ、せ、せんせいなんてっ……
ナ、ナロウでっ! たっ、ただのナロウとよんでくださいっ!!
ぼ、ぼくのほうが、と、とと、とししたみたいですし、……」
「そうかな、あんまりかわらないくらいじゃない?
じゃ、オレのこともソラってよんでください。よろしく、ナロウくん」
「はいいっ!!!!」
そんなナロウくんとソラさんをじろっとにらんで、スランくんがいいます。
「なんだよ、ナロウ。
おまえ、オレにやきもちやかせにきたのか?」
「えへへ。
さっ、きいて。ソラさんもきいてください。
『ミッドないとクルセイダーズ!』のつづき、ラストまでろうどくします!
ケンカしたらぼく、かえっちゃうから、なかよくきいてね?」
ナロウくんはにこにこしながら、かばんのなかからプリントアウトをとりだします。
スランくんとソラさんは、なんともいえないひょうじょうで、かおをみあわせました。
「…… おねがいしますっ!!」
そして、とりあえずはおとなしく、ナロウくんにあたまをさげました。
ナロウくんがいちじかんくらいかけて、すべてをよみおえると……
スランくんもソラさんも、てがあかくなるほど、はくしゅしてくれました。
おもしろかった、ほんとにおもしろかった!
ふたりとも、くちぐちにそういってくれました。
このことがよかったのか、ソラさんはおいしゃさんがびっくりするほどげんきになり、みっかごには、たいいんしていいことになりました。




