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四月の魚

本日4月1日に合わせ、エイプリルフールネタで一本仕上げてみました。

突貫工事だったため突っ込みどころが出てくるかもしれませんが、生暖かい目で……




「はじめまして。私、あなたの事が好きです」







 その女の子は4月の暖かな風と共にやってきて、初対面の僕にそんなことを言ったんだ。

















 ここは大学の体育館。この春に晴れて入学となった新入生たちを対象に、全サークルがブースを作って勧誘をしている真っただ中。サークルの数は2、30近くあるし、体育館だってそんなに広くない。だから当然一つのサークルに与えられるスペースは小さいわけで、与えられた備品は折り畳み式の会議テーブル二つにパイプ椅子5脚。


 そんな体育館に新入生が雪崩れ込むように入ってくるもんだから、はじめ寒かった体育館の中はすぐに熱気で溢れかえったんだ。




 だけどそれは、角っこで隅に追いやられてる僕たち国際文化サークルには何の関係もない話だった。新入生は立てかけたサークルの看板をちらりと見て、まるで「私は何も見てませんよ」とでも言うようにそそくさと離れていってしまう。


 それでも最初の方は立ち上がって精一杯声を張っていたけど、数時間もすれば椅子から立ち上がるのが億劫になって、今じゃ呟く程度の声しか出してない。






「なーにが悲しくて、朝の8時からこんなクソ寒いとこに詰めさせられなきゃならんのかね。明日なんか7時に勧誘開始だし。小学生の遠足かっての」



 後ろで胡坐をかく先輩はスマホでゲームをしつつぼやく。その声の小ささに僕は返事をするべきか迷ったけど、今このブースには僕と先輩の二人しかいない。それはブースの狭さのせいってのもあるし、他の部員のやる気の問題でもあるんだろうけど、僕はもう慣れた。


 大学ってこんなもんなのかな。そんな諦めに似た感情との付き合い方にも、学内での上手い生き方にも、慣れたんだ。






「そう言わないでくださいよ。ほら、これ一応、全サークル強制ですし。明日朝早いのは、校舎案内の始まる時間が7時だからって先輩が言ったんじゃないですか」



 結局返事を返すことにした僕は、体をひねって後ろの先輩を見る。今は縦持ちだから、きっといつものクイズゲームでもやってるんだろう。




「結城は真面目だな。私にゃ真似できんわ。あっクソ今のBか」



 多分、僕が真面目なわけじゃないですけどね。そう言いたくなるのを我慢して、僕はテーブルの上にたまったビラを積み重ねることに執心してみる。




『新入生大歓迎!! 海外の文化を学んでみよう! 就職にも有利カモ!?』




 B5のビラにでかでかと印刷されたそのポップな文字は、もう6年も使いまわされてるらしい。部員らしいことを言うと、6年前はクリントンさんが国務長官を退いたり、ボストンマラソンでいわゆる「圧力鍋爆弾」が使われた年だ。明るい話題だと、クロスワードの前身となるワードクロスパズルが、アーサーウィンによって作られて丁度100周年でもある。それに100と言えば……



「おいっ、結城!」



 先輩が急に僕の肩に腕を乗せてスマートフォンを見せてくる。それはやっぱりいつものクイズゲームで、僕は小さく、本当に小さくため息をついた。



「毎年夏にフランスで開かれる『ツール・ド・フランス』ですが、記念すべき……」



 そこまで読んで僕は、Cの2013年を選ぶ。



「あれ、あのレースって1903年始まりじゃないっけ?」



 先輩がうちの部活らしいことを言うのは珍しい。だけどこの問題、もう一捻り必要なんです。


「はい、ツールドフランスがはじめて開催されたのは1903年で合ってますよ。ただ、二度の戦争で10回くらい中止しちゃってるので、記念すべき第100回は2013年なんですよ」



「流石結城、変態だね」



「それ言ってるの先輩だけですからね」



 机の中から紅茶を取り出して飲もうとすると、先輩が急に奪い取って思い切り振り始める。残念ながら泡だらけの紅茶を飲む趣味は僕にはないから、心底楽しそうに振り続ける先輩に押されながら、僕はペットボトルに手を伸ばした。












 そこで僕は、じっとこっちを見てる女の子がいることに気が付く。ハーフなのだろうか、長い茶髪に整った顔立ちはどこか異国めいていて、正直に言ってとても可愛い。きっと彼女の周りはいつも人だかりが出来ていたのだろう。




 その子は無造作な新入生の波の中で不思議なくらい誰ともぶつからずに、ずっとここのブースを見ていた。



「なんだあの子」



「さあ……入部希望でしょうか」



 とはいえ、見つめられ続けると僕も気まずい。簡単に会釈して、今朝から何度も繰り返した言葉を、彼女にも聞こえるように張り上げた。



 すると彼女は意を決したようにこっちに足を伸ばす。ああ良かった、やっと一人希望者が来てくれた。これで少しは肩の荷が下りるや。







「はじめまして。私、あなたの事が好きです」











 ……ん?











 目の前に立ち、座りもせずに僕に向けて言い放つ。



「……えっと、あんまりそういう冗談は言うもんじゃ」



「冗談じゃ! 冗談じゃ、ないです……」



 そう言う彼女の手は震えている。彼女は見かけによらず繊細な心の持ち主のようで、これだけ緊張して冗談を言いに来たとも考えられない。




 ……だけど僕は彼女と会った事なんてない。生憎記憶喪失になった覚えもないし。




「お? ついに人生初の彼女か?」



「冗談はやめてくださいって」




 僕の脇腹を肘でつつく先輩に辟易しながら、目の前の彼女にとりあえず椅子を勧めた。冷静を装うが、頬が僅かに熱を持っている。







「それで、突然どうしたんですか?」



「……その、さっきここでフランスの事話してたじゃないですか」



 さっきの先輩とのことを言ってるんだろう。恥ずかしいところを見られてばつが悪く、僕は視線を外す。


 そこで、やけに周りの目線がここに集まってることに気がついた。まあ無理もないかな、彼女はそれくらい可愛いし、もしかしたら中にはさっきのおかしな言動を聞いてしまった人もいるのかもしれない。



 当の彼女もそのことに気付いたのだろう。しきりに辺りを見回してる。




「まあフランスと言うか、ツールドフランスの歴史についてだけどね。それがどうかした?」



「……私、フランスとのクオーターなんです。だから、きっと先輩ならって」



 僕なら……なに? その続きを聞かせてもらいたかったけど、彼女は僕が口を開くよりも先に、息を吸って詩を詠みあげたんだ。








「我らの分まで生き延びる兄弟たちよ。我らを見ておぞましく思うなかれ」






 朗々と歌い上げるそれは、確かフランスの有名な詩人、フランソワ・ヴィヨンの「吊るされ人のバラード」だ。絞首刑を宣言されたヴィヨンが、この世に生きた証を示すための言わば遺言。


 とても、この空気の中詠む詩ではないように思う。もし彼女がこの詩しか知らなかったとしたら申し訳ないけど。




「……ただ祈れ、神よ我らを憐れみ給えと?」



 さっきまでの彼女の態度とも、詩が伝わって喜ぶ今の彼女とも似つかわしくない詩。会ってすぐに言うことじゃないけど、彼女のことがよくわからなかった。







「すごい、詩の続きがわかった人は初めてです!」



 そう言われて悪い気はしないけど、後ろから先輩に小突かれて冷静にさせられる。



「まあ、僕はヨーロッパの文化を専門的に調べてるからね」



 少しの間目をきらきら輝かせる彼女。だけどその表情は次第に陰っていって、最後にはまた周りをそわそわと気にし始めるようになった。




「……そしたら、もしかしたら次の詩もわかってくれるかもしれないですね」



 さっきまでとは正反対に、か細く聞き逃してしまいそうな声。







「……私は彷徨う四月の魚。自由という名の水槽を泳ぎ、平等という名の秤にかけられ、友愛という毒を食らって生きている。


 私は(まつろ)う四月の魚。人の好奇の視線に晒され、さりとて返す言の葉も持たず、揺蕩い続けて沈みゆく。


 私は(いたずら)な波間に揺られ、(つい)には一角(ひとかど)の鱗も持たず、子夜(しや)を迎えて溺れゆく、憐れで粗末な四月の魚」









 僅かに肩を震わせ、それでも目だけはしっかりと僕を見つめている。その姿はただ詩を詠んでいるだけには見えない。何かそれ以上の想いがあるように思えた。





「……ねえ、君の名前は?」


「私……七瀬です。七瀬未来(ななせみく)



「じゃあさ、七瀬さん。明日……」


 そこで彼女の両肩に、突然華奢な手が回される。見ると背後には、華美な服装をした女の子が二人、七瀬さんを挟むように立っていた。


 きっと双子なんだろう、あまりにもそっくりな二人は七瀬さんとは系統の違う整った姿だった。かなりモテるんだろう。爪や指先に至るまで毎日手入れをして、周りの目を確認するような、大人な印象を受ける。




「ちょっと七瀬ー、なに口説いてんのよー」


「あっ、う、うん」



 七瀬さんは怯えたような目で一瞬僕の方を見た……気がしたけど、僕が彼女の友達から目線を戻したころには彼女は既に席を立ってしまっていた。





「すっ、すみませんでした、失礼します……」




 小さく頭を下げ、そそくさと離れていこうとする。










 ……駄目だ。









「七瀬さん!」



 勢いよく立ち上がり、パイプ椅子が悲鳴を上げて倒れる。驚いた3人だけでなく、辺りの新入生や他のブースの人まで僕の方を見た。だけどそんなことは気にしてられない。自分でもおかしいと思う。ほんの数分前に出会ってほんのちょっと話があっただけの彼女を、こうして呼び止めるだなんて。



 だけど立ち上がってしまったんだからしょうがない。両手を長机から離し、僕の両足だけで立つ。そうすることで自分の意思を確認するように。




「七瀬さん、一つだけいいかな?」



 振り返ろうとする七瀬さんの腕に、脇の友達の細い指が食い込むのを僕は見逃さなかった。



「さっきの詩! 僕はさっきの詩を、聞いたことがないんだ!」



 遠ざかっていく彼女たちに聞こえるよう、辺りの騒ぎに掻き消されてしまわぬよう、僕は大声を出す。今日出した中でも一番の大声を。



 僕の発言を受けて、3人とも振り返る。そのうち2人はまたすぐに歩き出してしまったが、表情には微かに嘲るような笑みが浮かんだように思える。






 だけど1人だけ……七瀬さんだけは違った。どこか期待を込めた目を一瞬だけ向けて、人の流れに飲み込まれていってしまい、見えなくなってしまった。

















「ねえ結城、さっき叫んだやつ。あれ何?」



 周りとは反対に再度静かになったブースで、僕はスマホをやめた先輩と彼女たちについて話をしてた。


「あれは、僕の考えが正しいかどうか、彼女の反応を見て確かめようと思ってああ言っただけですよ」



 彼女は最初、僕が吊るされ人のバラードを知ってることをとても喜んだ。そして次の詩……四月の魚って呼ぼうかな。その詩を知らないと伝えても、悲しむ素振りは見せなかった。


「つまり?」


「つまり彼女は、僕が四月の魚を知ってることを、期待してなかったってことです」




 そこで先輩は少しの間考え込む。




「……実はあの子は、結城の事が好きじゃなかった?」


「流石に僕も、彼女の言葉をそのまま信じるほどお花畑じゃないですけど……それは傷付く答えですね」


「冗談に決まってんじゃん。相変わらず真面目だな」



 意地の悪い笑みで、先輩は隣の椅子に腰かける。





「あの四月の魚は、恐らく七瀬さんの自作の詩です。自分を魚に例え、助けを求めるための」


 頬杖をついて、楽しそうに辺りを歩き回る新入生たちを見ている先輩は、とてもつまらなそうだった。そのうちビラを一枚掴んで、裏面に何かを書き出す。




「四月の魚はフランス語でポワソンダブリル。これはエイプリルフールの別名です。そのあとの自由、平等、友愛はフランス語の標語で、多分『四月の魚』の意味に気付いてもらうためのヒントなんです」


 僕は先輩の行動を横に見ながら、あの詩を思い出してその意味を探る。




「そんなのをヒントにされても、普通はわからないと思うけど」


「だけど僕はヨーロッパについて多少なりとも知識があって、そして彼女は直前の先輩とのやり取りでそれを知っていました。

 だからこそあの詩なんです。どこかであの二人に聞かれてるかもしれない。そんな状態で助けを求めるわけにはいかない。だからわざわざ、詩なんて形を取ったんですよ。……きっと」


 そう、きっと。これはあくまで推測、憶測の域を出ない。




 先輩は相変わらずビラの裏に何かを書いていて、僕の話を聞いてるのかすらわからない。仕方がないから僕は1人、腕を組んで考える。




 「私は彷徨う四月の魚。自由という名の水槽を泳ぎ、平等という名の秤にかけられ、友愛という毒を……」


 毒を……なんだっけ? 残念だけどあの長い詩を、一度聞いただけで覚えられるほど僕は記憶力に自信はなかった。





「ほら、結城」


 先輩が、さっきまで熱心に何かを書き込んでいたビラを僕に押し付ける。




「これは……?」


「あの子が言ってたこと。悪いけど漢字は知らないから」


 紙に目を落とすと、先程の彼女の詩が全て書き写されていた。所々平仮名なのが先輩らしい。






「流石ですね先輩。えーと……

 『私はさまよう四月の魚。自由という名の水槽を泳ぎ、平等という名の秤にかけられ、友愛という毒を食らって生きている。


 私はまつろう四月の魚。人のこうきの視線に晒され、さりとて返す言の葉も持たず、たゆたい続けて沈みゆく。


 私はいたずらな波間に揺られ、ついにはひとかどのうろこも持たず、しやを迎えておぼれゆく、あわれで粗末な四月の魚』」




「ほら、わざわざ書いてやったんだから、意味!」


 先輩がその長い足で僕の靴をがしがしと蹴ってくる。痛い、痛いです。






「意味、ですか……多分重要なのは最後だけじゃないでしょうか。つまり、『子夜を迎えて溺れゆく』って部分です」


「しや?」


()の刻、つまり夜中の0時の事です」


「勘弁してくれ、そんな時間に何かされてもこっちはどうしようもないぞ」



 そこで僕は、つい驚いて先輩の顔を見た。デコピンされて額が痛い。



「その意外そうな顔はなんだ、え?」


「いえ……先輩も真剣に考えてくださるんですね」


「当たり前だろ。いじめなんて胸糞悪い話、目の前でやられて放っとけるかよ」



 こういう時、先輩は僕なんかよりよっぽど頼りになる。本人にこんなこと言えば、またデコピンされそうだけど。僕は額をさすりながら、先輩の横顔を見つめた。






「ですが、わざわざこの詩を伝えてきたってことは、僕たちに何かをしてほしい、それか助けを求めてるってことですよね。それなら場所も書いてあるはずだし……」


 それを聞いた先輩は不思議そうな顔をして、ビラをとんとんと人差し指で叩く。その度に机が揺れて、ギシギシと嫌な音を立てる。



「これってヒントじゃないのか? ほら、ここにおぼれるってあるぞ」


 それはただの比喩表現ですよ。そう言おうと思ったけど、すんでのところで思いとどまる。




 確かに先輩の言うことにも一理ある。『水槽』『沈む』『波間に揺られ』『溺れゆく』。てっきり四月の魚にかけてるだけかと思ってたけど、一つの詩の中で4回も出てくるのは多い。





「どこか水に関係のある場所ですかね」


 と言ったって、水に関係のある場所はたくさんある。


「プールに、海洋研究室に、シャワー室に、貯水タンク。教務のロビーには大きな水槽だってあるし。水に関係ある場所なんてたくさんあるぞ」



 先輩の言葉ももっともだ。大学にはいくつも建物がある上、一口に水と言ってもたくさんある。それに僕にも部活の勧誘があるんだ、あんまり長い間ブースを離れるわけにはいかない。……たとえ新入生がほとんど来なかったとしても。






「それで、もしあの子の指定する場所と時間が正確にわかったとして、結城、お前どうするんだ?」


 先輩の表情は真面目そのもので、両目は鋭く僕を射貫く。……何だろう、先輩、もしかして怒ってるのだろうか。


「正直言って、わかりません。僕が行って何ができるのか、もっと彼女がいじめられる原因になるかもしれない」


「それだけじゃない」




 先輩が目を細めて、再びブースの正面を向く。数人の新入生が沢山のビラを両手に抱えて、体育館を一周しようとしているところだった。



「彼女がいじめられてる、そんな状況すら嘘かもしれない。あのよくわからん詩が、私たちをだまそうとするための嘘かもしれないだろ。なんせ今日はエイプリルフールだ。ただの調子に乗った新入生のいたずらじゃないって言い切れるか?」




 その可能性も考えた。というより、あの詩の謎を考えるずっと前、それこそ七瀬さんが僕の前に現れた時から考えてることで、まだ自分の中で答えの出てないこと。




「それは……言い切れないですけど」


「だったら別に結城が関わる必要はないんじゃん?」


 確かにそうなんですけど……




「でもそれって、寝覚め悪いじゃないですか」




「……まあ、確かに」




 僕にしてはひどく単純な理由だけど、本当に七瀬さんが助けを求めてたならそれを見捨てたってことになる。それはだって、嫌だから。


「だから折角なら、このお誘いに乗ってみましょうよ」




「……お前って時々、悪い顔するよな」




 人差し指で僕の頬を刺してくる先輩は、僕なんかよりよっぽど悪い顔をしてると思う。





「そういう結城、私は好きだぜ」


 執拗に僕の頬を刺しては、悪戯な顔でからかってくる。





「……やめてくださいよ。僕は人に好かれるような、イケイケなタイプじゃないですから」


「誰もそんなイケイケが好きだなんて言ってないだろ」


「今の今までエイプリルフールの話してて、僕が信じると思いますか?」



 それを言うと、先輩は盛大な舌打ちをしてバックからお茶を取り出した。



「もう少し温めてたら引っかかったか?」


「引っかかるわけないじゃないですか」




 先輩が僕の事、好きになるわけないんですから。









「……そろそろ帰るか」


 パイプ椅子を退いて、先輩はポケットに手を突っ込んだまま立ち上がる。見れば外から黄金色の光が差し込んできていて、周りのブースは撤収中だったり、いてもスマホでゲームをやってるくらい。……ほんとに七瀬さんしか新入生来なかったな、そんなにうちのサークル地味だろうか。


「ま、あと3日間あるし、そのうちくるだろ」


 欠伸をしながらバックを肩にかけて、先輩は早くと僕を急かす。




「ま、家でゆっくり考えとけや」



 そういうと、立ち上がった僕の背中を思いっ切り叩く。控え目に言ってとても痛かったけど、でもなんだか優しく背中を押されてるようで、僕はしっかりと頷いた。































「ほら七瀬、早くしなよ」



 スマホを向けたまま、彼女は私にそう冷たく宣言する。冷たい風は私の存在もろとも消し去ろうとするように強く吹き付けている。ごくごくたまに近くを通る新入生は時折不思議そうにこっちの様子を窺うけど、大学生になってまだ二日目、大抵は関わりたくないとでも言うようにスタスタと歩いていく。


 ここは、通学路を二分するようにかかる川の、通学路から一本隣の橋。わざわざ遠回りをしようとしなければ通らないような道だった。それにもう時間は、校舎案内の始まる7時を40分も過ぎてる。





「ちょっと、寒いんだから早くしてよね」


 まるで友達のように声をかけてくる二人は、見下すような笑みを張り付けたまま私をけしかけてくる。



「あんたがここがいいって言うから、わざわざここで待っててやったんだけど? なに、まさか嫌だとか言うつもり?」


「落ち着きなよ友里、七瀬は私たちに反抗する勇気なんて持ってないんだから」


「……それもそうね、真里。私たちは『友達』なんだから」



 二つの同じ顔が、左右から私を責め立てる。だけど私は二人の目を盗んで腕時計を見ると、固まってしまったかのように動かない口をなんとか開いた。




「……もう少しだけ、待ってください……」


「はぁ? 一体なんで……」


「待って友里。……ねえ七瀬? あんたまさか、昨日の最後の男が助けに来てくれるとか思ってる?」



 姉の真里が、目を逸らす私を下から窺うように見つめてくる。



「あの男とだけ、やけに話が盛り上がってたものね」


 体育館の熱気からやけに離れた、壁際の部活。人の好さそうな笑顔で女の人と話してた男の先輩。あの人ならきっとわかってくれる。


「きっと、助けに来てくれる。……そんなこと思ってる?」



 私の心を見透かすように真里が笑って、妹の友里が鼻を鳴らした。


「あんなやつが助けに来るわけないじゃん。私たちの彼氏たぶらかしたみたいに、また適当なこと言って騙したんでしょ」


「違う、私は二人の彼氏を取ろうだなんて」


「うるさい! じゃあ何、たー君が私よりあんたを選んだって言いたいわけ!?」


 突然ヒステリックに叫びだす友里に、それを窘めてチクチク攻めてくる真里。




「友里、落ち着いてって。昨日のあれを見て分かったでしょ? 先輩を5人も10人も騙して、ID聞きだして。あれがこの子の本性よ」


「そっ、それは二人がやれって」


「言ったわね。だけどそれを実際にやってみせたのはあなたでしょ? 七瀬、未来ちゃん?」


 私の顎を人差し指が撫で、背筋に鳥肌が立つ。違うのに。私がやりたくてやったんじゃないのに……!





「最後のあの男だって、あんたに騙されただけよ。なんせ昨日はエイプリルフール。今頃は嘘だと気づいて、怒ってるでしょうね」






 昨日の私は、この二人に言われてたくさんのサークルのブースにお邪魔した。その目的は、男の先輩からIDを聞き出すこと。そうしないと、私が高校生の時、体育の授業で着替えるときの写真をばらまくって言われて……



「明日はエイプリルフールでしょ? あんたが『一目ぼれしました』とか言えば、彼氏の十人くらい出来るんじゃないかしら?」



 一昨日の会話が、まだスマホに残ってる。私に浴びせた罵詈雑言も、言うこと聞かないとばらまくって言葉と一緒に送られてきた写真も、ずっと私を苦しめる。



 高校の友達は、表立って私と話すのをやめた。受験期で忙しい先生は、私から目を背けた。二人の顔だけが、いつまでも私を嘲笑ってた。







「ほら、今日は水浴びの気分でしょ?」


 そう言って私の背中を強く押す。躓いた私は胸を橋の欄干に思い切りぶつけ、たまらず咳き込んだ。眼下では汚い川が、私を見つめて待っている。



 こんな川じゃ、魚の一匹もいないだろう。



「ほら、早くしろよ! 昨日知り合った先輩全員に写真送ってもいいならいいけどね?」



 どうしてこんな目に合わなきゃいけないのかな。私、二人の彼氏なんて取ってないのに。



「俺、実は七瀬ちゃんのこと、前から気になってたんだけど……」



「未来ちゃんって彼氏とかいないの? ……へぇ」





 違うのに。私はそんなこと望んでないのに。





 なんで私だけ、こんな目に遭わなきゃいけないの? 私はただ、楽しく話してただけなのに。あの先輩みたいに、好きなことについて話したかっただけなのに。


 あの部活に入って、先輩たちと一緒に楽しく笑って。昨日の夜は、その想像でいっぱいだった。



 だけど現実では無理な話。私が部活なんかに入ってしまえば、きっと二人は手を出してくる。私の友達にそうしたように。




 ……入部、してみたかったな。でも無理だよね、こんな私じゃ。きっと私がいるだけで先輩たちに迷惑をかけてしまう。そんなことになったら、私は今度こそ自分を許せなくなってしまう。だから。




「…………だから、ごめんなさい……」



「はぁ? あんたなに……」
















「ううん、七瀬さんは謝らなくていい」
















 私が諦めかけたその時。優しい声が、私の頬を撫でた。ぴちゃん、とどこかで水音がする。





「……え……?」






 川から目を上げて、傍に立つ人を見る。その顔は……優しい笑顔を浮かべたその人は、昨日の……


「自己紹介が遅れちゃったね。僕は結城だよ」



 気が付けば結城先輩の隣には、昨日楽しそうに話してた女の先輩もいる。なんだかとても不機嫌そうだけど。






「なっ、……あっ、昨日の先輩ですね。未来ちゃんになにか用ですか?」


 姉の真里が妹の前に立って、仮面の笑顔を身に着ける。後ろに回した左手で、友里のことを制しながら。



「もう7時45分ですよ先輩、部活の勧誘はよろしいんですか? ええと……国際文芸部?」


「国際文化サークルですよ。それに、学連には遅れることを連絡してあるので」


 にこりと笑って、結城さんは真里に応対する。





「落ち着けよ」


 ぽん、と私の頭に手が置かれる。その手は女の先輩のもので、私はついきょとんと口を開いて固まった。


「さっきまでの話は全部聞いてた。こいつらに脅されてたんだろ?」



 ……まさか、まさか本当に私の事を助けに来てくれたの? そんな、あんな下手くそな暗号みたいなのを、わざわざ解いてくれたっていうの?




 嬉しくって足に力が入らなくなって、その場にしゃがみ込む。ぴちゃん、ぴちゃん。欄干の隙間に、魚が跳ねるのが見えた。





「はぁっ? 悪いのはそこのたらしでしょ? そいつは私たちの彼をたらしこんで奪ったの! しかもそのうえで振ったとか、私たちの事舐めたようなことしたのよ!?」


 友里が噛みつくように口を開いてる。さっきまで友里を抑えてた真里も、今は黙って腕を組んでた。



 ……私は、そんなんじゃないのに。私、私は……!



「気付いてましたぁ? 先輩。先輩もそいつに騙されたんですよ。そいつ昨日のサークル紹介で、何人の男ひっかけられるか試してたんですよ。最低なやつだと思いません? クズですよクズ」


 友里の言葉はいつまで経っても止まらない。クズ、クソ野郎、売女、淫乱。川で『水浴び』でもしてるのが丁度いいような、薄汚い女。



 一体全体、どうしてそんな言葉ばかりを吐けるんだろう。私だって、私にだって心はあるのに。




 私だって、ただの人間なのに……!







「七瀬さん、ごめんね待たせちゃって」



 友里の言葉が初めて止まる。私が顔を上げると、結城先輩は友里に背を向けて、私に手を差し伸べてくれていた。痛めた胸を押さえてしゃがむ私は、全くの無意識のうちにその手を掴み、先輩の力を借りて立ち上がる。




「な、なんで、ここだってわかったんです、か……?」



 助けを求めたのは確かに私だけど、まさか本当に助けが来るとも思ってなくて、上手く口が回らない。ああもう!



「簡単だよ。『溺れる』とか『沈む』って言葉で、早いうちに水に関係のある場所ってのは特定できてた。そこで思い出したんだ。昨日が新入生にとって初の大学生活。そして校舎の案内は今日。だったら、海洋研究室や教務課のロビーに水槽があることを知ってる人は少ない。それより、駅やバス停から大学までの道にかならずかかるこの川。こっちの方が可能性あると思ってね」



 まさか別の橋だとは思ってなかったけど。先輩はそういって頬を掻き、改めて「遅れてごめん」と謝る。



「子夜を迎えて溺れゆく……この言葉が本当に夜中の0時だったら、僕にできることは何もない。だけどわざわざ僕に伝えたってことは、僕に何かをやってほしいってことだと思ったんだ。

 そこで思い出した。君はフランスのクオーター。もしかしたらお祖父さんかお祖母さんの家を訪れに、フランスに行ったことがあるかもしれない。

 きっと飛行機を降りて、少しばかり体調の悪化を感じたこともあると思う。何故なら日本とフランスには、マイナス8時間の時差があるんだから。まあ、このトリックには一つ問題点があったけどね」



 真里と友里は何を言ってるのかわからない表情で、私と結城先輩の交互を睨む。



「もう少しわかりやすく言うと……フランスの深夜0時(子夜)は、日本の朝8時ってことだね」



 先輩はこんな状況なのに、気持ちよさそうに謎解き……っていうか私の詩の解説をする。言いにくいから言わないけど、すっごく恥ずかしいよ。






「……で、先輩は何しにここへいらっしゃったんですか?」



 相変わらず慇懃な態度で、真里は先輩に声をかける。対する先輩も、昨日と変わらない優し気な口調で返事をする。


「やらなきゃいけない仕事をほっぽり出して、僕たちがこんなところに何をしに来たと思う?」




 ……前言撤回します。全然優しげじゃない。口元は笑ってるけど、目が笑ってない。先輩、怒ってる……?





「……なあ。一つ聞きたいんだけど、いいか?」



 そう口を開いたのは、結城先輩と一緒にいる女の先輩。身長もかなり大きくて、その目つきは鋭い。私だったら睨まれただけで死んじゃいそうだよ。



「……何?」


 腕を組んで、不遜な態度の友里。この先輩相手にその態度を取れるのは、正直言って凄いと思う。



「お前たち、お互い以外にこの大学で友達はいんのか?」



「……は?」


 拍子抜けするくらいのシンプルな質問に、妹はおろか姉すら双子同時に怪訝そうな顔をする。




「ああ、なるほど。『友達がいるなら、彼女がどれだけ辛いかわかるだろう』って? 申し訳ないですが、そんな掃き捨てられたゴミのような説得じゃ、何も感じませんよ。私には友里がいるし、友里には私がいる。それ以外は最早必要ありません」


 きっ、と私を睨んで、二人は互いの手を握る。『お前のせいでこうなったんだ』とでも言いたい視線に耐えられなくて目を逸らす。川面に写る微かな私の影が、波に揺れて左右へ震えていた。






「……まあ、先輩たちがその子に絆されたっていうのならいいですよ。二人仲良く、この大学で居場所をなくしてしまえばいい!」



 おもむろにスマホを取り出して、私と二人の先輩にカメラを向ける。いけない、私だけじゃなくて、無関係の先輩にまで迷惑が――。









 ――ひゅっ。




「っ! ったぁぁ……!!」







 直前まで私たちに敵意をむき出しにしてた二人が、小さな風切り音と共に突然スマホを取り落としてうずくまる。えっ、何、なにが起きたの?



「そんな痛くねえだろ、わざとらしい。はい、スマホ没収ー」


 ポケットに手を突っ込んだ女の先輩は、双子の傍に落ちてる小さな小石を器用に蹴って川へ落とす。



「ああ、悪い、怖がらせたみたいだな。別に私は何もしてないさ、石蹴ってこいつらの手に当てただけだ」


 さっきまで『近づく奴はかみ殺してやる』とでも言いそうだった先輩のその眼光は、いつの間にか昨日のブースで見た時のように優しげなものに戻ってる。悪い顔をして楽しそうに笑うとこなんて、昨日のとそっくり。



 その姿は先輩っていうより、姐さんって言葉の方が似合ってた。





「ごめんなさい先輩、嫌なことさせてしまって」


「いじめは嫌いなんだよ。こんなんで彼女が楽になるなら問題ねえ」


 そういうと、私を守るようにずっと立っていた結城先輩が、姐さんの投げたスマホを二つともキャッチする。その画面はカメラが起動してて、わざわざ暗証番号を打つ必要もなさそう。



「おっ、あったあった。これが全体のグループかな?」



「っ……先輩? 何をしようとしてるのかしら?」


 石の当たった右手をさすって、真里が気丈に振る舞う。結城先輩はその姿を見ると、考え込むようにして自分の顎の下に親指を添わせた。



「まず一つ、僕の手元には君たちのスマートフォンがある。この中に入ってる七瀬さんの弱みとなる画像をこれから消す」


 そう言うと、二つのスマホを私に手渡してきた。


「僕が見るわけにはいかないからね」



 その気配りが、どれだけ助かるだろう。再び向けられた先輩の背中に、そんなことを思う。




「……消しました」


 結城先輩にスマホを預けて、私はようやく立ち上がる。



「次のはお願いなんだけど。これから先、二度と彼女には関わらないこと」


「はぁっ!? ふざけんな、んなお願い誰が聞くかよ!」



 妹の方が再び威勢を取り戻して吠える。だけど先輩たちの顔色は少しも変わらなかった。



「まあ、長い間態度を硬化させちゃうと、中々引っ込みがつかなくなるからね。だから、決断しやすいようにしてあげる」



「……?」


 そういって二人の先輩は、胸ポケットから同時に自分のスマホを取り出した。


「録音と録画、二つの証拠がある。これはどこに送るべきかな。新入生のグループでもいいし、君たちが騙そうとしたサークル全員に渡してもいい。或いは学生課や学長に持ってけば、正式な処罰が下されるのは時間の問題だろうし。ああ、あと、親御さんっていう王道の選択肢もあるね」



 つらつらと選択肢を挙げる結城先輩は、見た目に反してずっと怒ってるみたい。反対に双子の顔色はどんどん悪くなっていって、高そうなチークや口紅で彩られた顔は、今じゃ真っ青になってる。



「そんな顔をしないで、別に僕は君たちと違って、人の人生をぶち壊す趣味はないから。ただ君たちが、お願いを聞いてくれるだけでいいんだ」



 ゆっくり、一歩ずつカウントダウンするように双子に近づく先輩。一歩、二歩、三歩。刻むように足音を響かせる。




「どうかな? お願い、聞いてくれる?」


 犬が尻尾を振るように頭を縦に振る双子を見て、結城先輩は満足そうな笑顔を浮かべた。ああ、この笑顔。昨日見たのはこれだ。この屈託のない笑顔は、あの双子のものとは似ても似つかない。


 二人は自分のスマホを受け取ると、まるで逃げるように大学へ向かった。先輩たちはそれを追わず、へたったままの私を待ってくれている。






「七瀬さん、大丈夫?」



「……はい。昨日は失礼なこと言って、申し訳ありませんでした」



「ああ、あの告白のこと? 気にしないで、流石に本気にはしてないから」



 そりゃそっか。そう思ってると、横から姐さんが私に耳打ちしてくる。


「こいつ、今はこう言ってるけど、昨日はまじで緊張してたぞ」


 結城先輩にも聞こえたんだろう。怒ったように「ちょっと!」と声を張って、姐さんがおどけて謝る。だけど私の心はまだ完全には晴れない。




「それだけじゃないんです。見ず知らずの私なんかのためにこんなところまで来ていただいて、下手したらお二人とも不利益を被るかもしれないっていうのに助けなんて呼んでしまって、本当に」


「ストップ」



 すべてを言い切る前に、姐さんが人差し指を口元に立てて、ウインクをする。……言いたいことはわかります。こういう時にふさわしい言葉は謝罪じゃないってことですよね。



「…………本当に、助けていただいて、ありがとうございました!」



 思いっきり頭を下げる。先輩の靴が、慌ててあっちへ行ったりこっちへ来たり、右往左往するのが見えた。だけどそれも、私がお辞儀をやめようとすると途端に落ち着いて、ピシッと揃う。







「助けに来たわけじゃないですよ。僕は、新入生を部活に勧誘しに来ただけです」







 そう言って、私に右手を差し出してくる。






 部活に勧誘? 私を? あの二人に命令されてたとはいえ、先輩の事をだまそうとした私を?




 ……ああ、いや、これはやっぱり先輩の優しさだ。だって、ほら。大学の時計は7時58分。まだフランスのエイプリルフール(4月1日)は終わってないんだから。






「……はあ。七瀬ちゃんだっけ? 一つ大事なこと忘れてると思うよ」


 呆れたような口調で、姐さんは私にスマホのカレンダーを見せてくる。



「今日は2019年4月2日。フランスのサマータイムは3月31日から始まってる」



 ……サマータイムって?



「サマータイムってのは、標準時を1時間早めるって意味だ。つまり今フランスは、4月2日(・・)の午前0時59分。もうとっくにエイプリルフールは終わってるってこった」





 ――このトリックには一つ問題点があったけどね。


 ちょっと前の結城先輩の言葉は、このサマータイムってやつを指してたみたい。……ってことは、結城先輩もエイプリルフールが終わってるってことは気付いてるってことで……



 ……つまり、先輩の言葉は、本心?




「……まあ、勿論、七瀬さんが嫌なら断ってくれて……」






 違う、嫌なわけない。嫌なわけ、ない!






「入りますっ! 入れさせてください!」











 驚いて、それから少しして笑顔になる先輩。こんな夢みたいなこと、夢の中で想像してたこと、本当に起きるなんて思ってなかった。





 だけどこれは、夢じゃないんだよね。全部、全部、本当の事なんだよね。そう思うと、なんだか体が軽くなったように思える。胸には希望の光が灯り、心は弾む。








 ぴちゃん、ぴちゃん、ぴちゃん。どうやらこの川にも、魚はしっかりと生きていたらしい。沈んだり、溺れたりすることなく、しっかりと。









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