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第1夜 王は騎士のように①

朝、目が覚めると目の前にはまだ鳴る前の目覚まし時計が6時5分前を指している。今日はいつもより10分早く起きようと6時にセットしていたのだが、それよりも早く起きてしまったようだ。

いつも私は横向きで寝ているのだから目覚ましが見えるのは見慣れている。

うん、見慣れているはずなのだが…。


お腹あたりをがっちり固定されて、背中側に違和感を感じる。お腹のものを恐る恐る触ってみるとどうやら人の腕の様だ。それも細くない、男の人の腕だ。

後ろを頑張って振り返ってみるとエルクロルが私を抱き枕にして寝ている。なるほど、道理で身動きが——————


「っ!?」


そしてようやく状況が飲み込めた。エルクロルは私を抱き枕にして寝ている。悪魔は寝ないと言っていたはずなのだが。それに寝てるはずのエルクロルの力が強すぎて剥がせないのだがどうするべきか。

エルクロルは私が起きたことに気がついたらしく、薄く目を開けて


「ん、おはよう。ルーチェ。」


と言って腕の拘束を解き、大きく伸びをした。

その行動に呆気にとられていた私はエルクロルが伸びをしたことでようやく自由に動けることに気づき、手でエルクロルから後ずさりしてベットから落ちてしまった。


「いったぁ…」


お尻が痛い。思いっきり打った。

エルクロルは私が落ちたことに気がつき、


「おい、大丈夫か?」


と手を伸ばてきた。


「だ、大丈夫かじゃないよ!なんで私の布団の中にいるのよ。」

「ん?王である俺がベットで眠るのはおかしいというのか?」


まるで私の隣で寝るのが当然のように言う。


「悪魔は眠らなくてもいいんじゃなかったの?」

「…ああ、そんなこといったな。」


昨日自分で掘った墓穴にはまったようだ。自分を正当化しようとした罰だ。


「とりあえず部屋から出てって、着替えられないから。」

「っは。王であるこの俺に命令するのか?」


エルクロルは昨日と同じように偉そうにしていたがが少し睨み付けるとため息をついて


「まあいい。今回だけは従ってやる。お前との契約を切られたら困るしな。」


と言って窓から屋根を伝ってひらりと外に出て行った。

全く、デリカシーがないのかあの人は。というか人じゃなかった、悪魔だった。

昨日は王様だとか、威張っていたからか敬語や様を使ってしまっていたが、今朝は勢いでタメで対等に話せてた。


というかさっきルーチェって私のことを呼んだよね。確か昨日は『咲』って名乗ったはずなのに。

…まあ、もしかしたら呪文で名乗っていたのを無意識に覚えていたのかもしれないが。気にしても仕方ないか。


部屋の姿見の前に立ち、着替えを始めると首元に赤い点が見えた。

近づいて見ると赤い点が2つ、かさぶたになっていた。昨日あの吸血鬼に血を吸われた後だ。この場所は良くない。いつものYシャツだと隠れず見えてしまう。流石にこの時期に虫刺されなんて言い訳も通用しないだろう。


私は仕方なく、少し首が隠れる冬用のシャツをクローゼットの中から引っ張り出すと素早く着た。

さて、着替えも終わったしさっさと準備しないと。っとその前にエルクロルに声をかけないと。流石にずっと外に出しておくのは可哀想だし、要件もある。


「エルクロル、もういいよ。降りてきても。」


そういうとふわっと部屋にエルクロルは舞い込んだ。

なぜあんな風に羽根のように浮けるのか分からない。

エルクロルは不機嫌そうだったが面倒臭いし、反省してもらいたかったので冷たく対応することにした。


「学校にもついて来ないでね。」

「当たり前だ。行くわけないだろう。」


そう言って私は自分の部屋から荷物を持って出ていった。

たった昨日会っただけのエルクロルには冷たすぎるかもしれないが、これくらいしておかないと自分の身が危ない。

階段を降りるとお母さんは朝食を作ってくれていた。


「おはよう、お母さん。」

「おはよう、咲。」


いつもの母さんだ。昨日からエルクロルというイレギュラーな存在が昨日の夜から側にいたもんだから日常を感じる機会が少なかったからなんだか安心する。


「さ、朝食出来たから食べなさい。」


今日の朝ごはんは白米と味噌汁と昨日の野菜炒めと卵焼きか。味噌汁具は私の嫌いな豆腐が入っているが仕方ない。今食べなかったら給食まで持たない。


「いただきます。」


昨日の野菜炒めは味が濃い目だし、卵焼きも砂糖が入っていて美味しい。だが、やはり豆腐が朝からあるのはテンションが下がる。黙々と食べていると母さんが


「あら、もう首付きのシャツ出したの?流石に早いでしょう?」


と聞いてきた。


「んー、昨日帰るとき寒かったからそろそろ出すべきだと思ったんだよね。」

「なら、ジャンパーとか出せばよかったのに。」


と会話をしながら頑張って完食し、洗顔や髪を結ぶなど朝の支度を20分で終わらせて家を出た。私はなんとなくエルクロルのことが気になり、外から自分の部屋を見たがいつもと変わりない。なんでわざわざあんな奴のことを気にする必要があるのだろうと思いながら学校に向かった。


最近スランプ気味で…

なんとか更新します。

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