表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
8/30

第一章 自信と成長

はい、たいが~すです。今回は美女VS美少年です。絵になる場面を文字で表現できているかどうかわかりませんが、工夫したつもりなので、どうぞ見てやってください。

お楽しみ頂ければ幸いです。

それでは始まります。


ネロとアイシャの手合わせだ。ただし、今度は竜也がしたように大剣を持っていない。それに加え、手甲(ガントレット)を外して構える。流石に実力差がある、ということをアイシャは見抜いているようだ。


「次はネロか。…ああ、安心したまえ。普通の実力査定はこれでやっている。侮っている、という訳ではないぞ。」


…じゃあ俺の時は楽しむ為にあんな大剣と本気の闘気を向けてきたのか。それでいいのか?公正さはどこにいった…?


竜也は目の前にいる戦闘狂(バトルジャンキー)に少し呆れつつも構えを見る。


剣士なのには違いないが、それを支える根幹となる武術と身体能力。それを用いた近接格闘術は間違いなく一級品のそれだろうな。ネロの初戦としては明らかに強すぎる。実戦でないのが幸いだな…。


アイシャの構えは堂々としており、それでいて隙が無い。勿論多少の歪さこそはあるが、経験とそこからくる勘に加え、大剣を棒のように振り回し、持ったままでの跳躍すら可能とする身体能力。そこらにいる武術家程度では敵わないだろう。

それに比べネロは貧弱だ。美少年であることに、儚げさを加え、完璧なまでの美しさを持っているその細い四肢は、戦闘には全く役に立たない。むしろ、足を引っ張りかねない程度だ。武術の心構えなぞ知らない隙だらけの構え。それは最早構えですらない体勢。


アイシャは美しい怪物(モンスター)。滾る力を感じさせる。

それに比べネロは吹けば飛びそうな枝のような身体。

勝ち目など無いがやるしかないだろう。死ぬ訳でも無いのだし、なにより実力査定なのだから。


そして、心の準備ができたのか、ネロが勢いよく


「よろしくお願いします!」


と言う。と同時に試合は始まる。


「行きます、やぁっ!」


ネロはすぐに、掛け声とともになっていない体勢で飛び込んでいく。遅い。無駄が多い。走っているから間合いも図れていない。それでアイシャが動じる訳でも無い。避けも止めもせずに受ける。完全に受け止める。


「どうした!ネロ!その程度か!それでは私を動かせんぞ!」


アイシャは微動だにすらしない。


「うっ、うううぅぅぅ」


ネロは必死に動かそうとするが、全く動かない。いや、動かせない。


「むう。これでは冒険者になっても、しばらくは下積みをせねばならんな。力も技術も覚悟もまだまだ足らなさすぎる。」


冷酷にアイシャは真実を告げる。絶望的な実力差。そんな中、竜也はあることに思い至る。


心は簡単に移ろいゆく。それを使いこなすのは難しいことだろうよ。


アイシャの言葉、そしてネロは自分と同じスキル。そこから導き出されるある一つの逆転の目。


「ネロ!もっと自分の力を、強くなりたいという覚悟を信じろ!俺が相棒にしたんだ!お前ならやってやれないことはない!」


そう、大声でアドバイスする。ネロのスキルも意思貫徹。身体能力を強化する。なら、自分の覚悟を信念を再確認させれば…


「ぬうっ!」


すぐさま効果は出た。微動だにしなかった、アイシャの身体を貧弱で細い芸術品のようなその腕で脚で身体で押し出し始めたのだ。


「成る程!これが意思貫徹か!面白い!なら、私も力を出そう!」


アイシャは興奮し始めながらネロの身体に美しい手を回し、そして力をこめて押し始める。すぐに、ネロが押し返され始めた。


「強くなりたいのだろう!ネロ!更に信念を強く抱いて私を押してみろ!強くなりたければこれ以上に今以上に覚悟しろ!してみせろ!」


アイシャは戦闘狂(バトルジャンキー)の姿を垣間見せながら、嗤いながらそう言う。


「まだだ!まだまだまだぁぁぁぁ!」


ネロは湧いてくる力によって自信が少しついたのか声にも身体にも覇気が出始める。


美女と美少年の押し相撲。


そう言えば穏やかな雰囲気だが、徐々にそんな生ぬるい雰囲気では無くなっていく。というより、地面の抉れ方から相当な力同士で押し合っていることが見てとれる。


「ふふふ!面白い!面白いな!ネロ!」


「僕はっ!強くなるんだぁ!」


そして、遂にネロはアイシャを押し返し始めた。力でアイシャを上回り始めたのだ。だが、アイシャはネロの土俵にわざわざ乗って勝負してあげていたのに過ぎない。力で押し返され始めてすぐに、力での押し合いから切り替えて、力の流れを崩し、そして、ネロを押し倒す。ネロは悔しそうにその綺麗な顔を歪めて呟く。


「ううっ!まだ駄目なのか…」


ネロの嘆きにアイシャは真剣な言葉を紡ぐ。


「いい力と覚悟だった。だが、経験と知識と技術が足りないな。身体作りもだ。今は君の負けだ。だが、いつの日か、私を越えてみせろ。君にはそれだけの力が秘められている。そして、私よりも強い良い相棒がいる。応援する。強くなれ。」


「…はい!」


ネロは少し悔しそうながらも褒められたことにしっかりした反応を返す。試合はやはりネロの負けに終わった。しかし、ネロにとっては得るものが多い試合となった。アイシャも想像以上だったようで、満足げだ。


これは俺もうかうかなぞしていられないな…。俺は貫き通すと決めた信念がある。それを守り抜く為にはまだまだ力が欲しい。どれだけあってもまだ足りないな…


竜也はネロの成長を見ながらもう一度己を再確認したのであった。

ご覧頂きありがとうございました。相撲に交じりたい?美女や美少年とキャッキャウフフしたい?申し訳ございません。文字です。二次元です。不可能です。皆様の妄想の中にございますので、それで我慢してください。

拙作をお読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ