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異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
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第一章 戦闘狂との手合わせと武術

はい、たいが~すです。今回は皆様お馴染みのオークとの戦闘です。オークに負ければ食べられたり…などと聞きますが…えっ?このオークには食べられたい?むしろ食べたい?

拙作ですがお楽しみ頂ければ幸いです。

では、始まります。


「ああ、そうだ、手合わせだ。勿論、ネロもそうなのだが…なにか不満か?」


アイシャは不思議そうに聞く。その首を傾げて問う姿はまるで絵画に描かれるワンシーンのようだが、そんなことは竜也にとってはどうでもいい。それより、先程の発言について細評を問う。


「冒険者ギルドとは信用で等級が決められるのでは無かったのか?関係無いはずもないだろう?」


「ああ、そのことか。確かにそうだ。でもな、信用に値する実力があるのかどうかも調べたいのだ。後な、私はこう見えて元冒険者だ。銀級のな。私は入ってくる者の実力とスキルを確かめている。それを元にクエストを勧めたりもするからな。さてと、では、やろうか!」


と、アイシャはかなり興奮した面持ちで立ち上がる。


嗚呼、戦闘狂(バトルジャンキー)(?)とかいうやつか…そういうやつもいたな…かなり厄介だったが…こういうやつこそアグレッシブかつ冷静沈着に攻めてくるしな…


と、竜也は思わず顔を顰める。竜也は確かに武を極めている。だからこそ、無用な闘いを基本的に避けるようになった。だが、今は必要なようだ。


「装備を来てくる。そこの庭に出て待っていてくれ!すぐに戻る。」


などといいながらアイシャは部屋の中に入っていく。そうだな、身体をほぐしておこう、と外に出て身体を動かし温めつつ伸ばして準備する。ネロもそれに習ってアップをしている。

すぐにアイシャは戻ってきた。見ると、その美しい身体は顔を除いてほぼ全て鉄製の鎧に覆われている。兜こそ無いが、まるで騎士を思い起こさせるような様だった。

唯一つ。その両手に握られた、女性が持つものとは全く思えないほどの重量を感じさせる大剣を除いて。見ればその大剣は恐らく鋼でできている上に適切な部分に補強がしっかり施され、まず間違いなく業物であると理解できる。だが、重量も桁違いであるはずのそれをまるで棒のように振り回すその怪力。間違いなくアイシャが実力者であることを感じさせる。が、刃の先には鞘がしっかりとあり、当てても打撲程度で済む手筈になっているのだろう。


「で、どちらからやるんだ?どちらからでもいいぞ?私は。ああ、久しぶりだな!腕も高鳴ると言うものだ!」


明らかに戦闘狂(バトルジャンキー)のそれである。とはいえ、竜也はそれに今更怖気付くレベルはとうに越えていた。


「俺からだ。後、今回は刀は使わない。刀を使ってしまうと手加減できる自信がないし、鞘を着けたまま加減なぞ難しい。木刀でも同じだ。だから素手でやる。」


と、竜也は答える。残念さを隠そうともせずに


「やりたかったんだがなぁ、仕方ないか。」


とアイシャは呟いている。そして、すぐに切り替えて、アイシャはその大剣を竜也に向けて構え、


「さあ、始めようか!本気の姿が見れないのは残念だが、仕方あるまい!さあ、かかってこい!」


闘争心を剥き出しにし、美しい顔そのままに獣のような眼光を放ちながらもこちらを見る。


…隙が無いな。流石は元銀級冒険者。武術としても相当大成していると見える。しかも、気迫は最早獣のそれだ。かなりの手練である上に恐らくだが被弾を恐れないだろうな。


竜也は拳を前に置きつつ腰を少し落としながらアイシャを冷静沈着に分析する。アイシャも


「竜也は隙が無いな!なかなかだ!なら、こちらからいかせてもらおう!」


などと、しっかり様子を見つつ、そして、突進してくる。しっかりと地面を脚で掴んで蹴り、推進力と換えて進むその様は大剣や鎧なぞ着ていないかのように錯覚させる程鮮やかで軽やかで尚且つ速い。

1蹴りですぐに間合いに入り込み、アイシャは掴んでいる大剣を右側へ横薙ぎに振り抜く。まるで手足の一部のように扱うその一撃は、手加減が感じられない速度だ。まともに受ければ只では済まされない一撃だとはっきりわかる。

しかし、竜也は慌てない。慌てる要素など無い。想定の範囲内だ。少なくともその程度は考えていた。故に、その大剣の一撃を、右の掌を剣の腹に当たるように差し込み、そこからすぐさま体勢を屈めつつ右腕を上に向けて振り払う。流しと弾き。両立させたその動きは大剣を上に反らせ、その致命の一撃を回避することに成功する。竜也のすぐ上にはとても大きな一閃が通り過ぎる。

アイシャは大剣を弾かれた瞬間後ろに身体を回転させながら飛び退いた。


「驚いた…!大剣を素手で受け流すか!どうやら竜也は武術でも相当強いのか!面白い!」


と、興奮と闘争心を抑えきれない様子で話してくる。しかし、今の一撃は当たれば普通に不味い筈だ。なのに…


何故か当たっても大丈夫な気がするのだが…なんだ?別に手を抜いている訳でも無いし、普通に当たれば危険な筈だ。なのに、俺はこうも完全に落ち着いている?何故だ…?


つまるところ、負ける気がしないのである。少なくともアイシャは強者だ。油断がならない相手の筈だ。今の一撃だって、鞘が付けられているとはいえ、明らかに恐ろしいものであった筈だ。なのに、当たっても大丈夫だと思ってしまうのだ。とはいえ、当たるのは得策とは全く言えない。


まあいい。相手に集中しよう。大剣なんて相手取るのは初めてだからな。恐らくあれは人体と同様くらいの重さがある筈だ。だから、上手く力を反らせば体勢を崩しやすい。…が、相当いなしに慣れている。先程の回避から見ても普通のいなしは一切効果的では無いだろうな。なら…


本人そのものを崩す。


そう決めて、竜也は前傾姿勢を取り、アイシャがしたことと同じように大地を脚で蹴り、推進力を得て突進する。


「潜り込めば勝てる訳ではないぞ!」


アイシャはすぐに足元を大剣で横薙ぎに暴風の如く振り払う。その一撃を、大剣自身を踏み台にして、僅かにアイシャを飛び越える。アイシャはそれを捉えようと足払いの勢いそのままに回転し、大剣を竜也に向けて迫らせる。慣性の威力を持つその一撃をまたもや屈んで躱す。そして、アイシャのゼロ距離まで接近、続けざまにアイシャの美しい顎と腰を抑え、そしてそれを押して引く。

頭とは元来身体の中でも相当重い。それを動かされると、バランスは大きく崩れる。そして、腰は人体を支える屋台骨のようなものだ。下半身と上体を繋ぎ合わせているそのキーポイントを崩す。


「なっ…!」


アイシャはバランスを崩し、倒れ込む。その際大剣を地面に刺して軸としてバランスを取ろうとしたところから鑑みてもやはりアイシャは強者だ。だが…

竜也はアイシャがバランスを崩したタイミングを見逃さずに顔面寸前に掌底を突き付ける。1分に満たぬ、僅かながらも濃密な戦闘は終了した。


「は、はははは。参った。私の負けだよ。凄いな君は。負けたのは久方ぶりだ。ただの力押しではなく、明確な技術と胆力、経験を持ち合わせたその判断と行動。文句無しだ。君は間違いなく私より強いな。」


アイシャは笑いながらそう話しつつ、体勢を立て直す。その笑顔は向日葵のように明るく、芸術的な程に美しかった。ただし、彼女が笑っている内容は淑女とはかけ離れすぎたものだったが。


「そういうアイシャこそ、途轍もない研鑽の上に今があるように思う。強いな。流石は元銀級冒険者だな。」


竜也は正直な感想を伝える。そして、アイシャが


「そういえば、スキルは肉体強化の類いか?それなら私と同じだな。私のスキルは肉体強化(パワーアップ)だ。」


と、戦闘で興奮していたにも関わらず仕事もこなしていたようで、竜也に問いかける。


「ああ、意思貫徹などと言う。これは意思の力によって肉体強化がされる。因みにネロも同じだが…まだ使いこなせてはいないようだ。」


と、答える。アイシャは


「意思貫徹…?やけに面白いスキルだが…それはかなり脆いな。確かに強いが心というのは簡単に移ろいゆく。それを使いこなすのはさぞ難しいことだろうよ。」


と、冷静に分析している。確かにそうだ、と思いながらも次に闘うネロを見やる。そのネロは緊張しつつ、此方側を向いていた。

ご覧頂きありがとうございました。オークやない、エルフや!メインヒロインや!なんて皆様のツッコミが聞こえてきそうではありますが…

これからもご覧頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

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