第三章 事実と真実
はい、たいが~すです。長い間空いて申し訳ございません。色々ありまして…また、別作品Monster's~異世界転生最強チート?役に立たねえ!育てろ!最強モンスター!~を新規投稿致しました。ご温情の程どうかよろしくお願いいたします。
拙作ですがお楽しみ頂ければ幸いです。
それでは、始まります。
「…で?一体どういうことかご説明して頂きたい、ケスト帝国創始者、グラン・エスカノール初代皇帝殿よ。」
冒険者ギルドに戻り、アイシャの窓口に報告しにいったところ、グランがどんな存在であるのか明かされた。が、それだけではなかった。
「ふむ…我を知っておる者がいるとはな…如何にも。グラン・エスカノールだ。何故に一緒にいるのか…それはな…
我が竜也を異界より転生せしめた本人であるからな。」
その言葉からグランが何故俺に試練を貸してきたのかも理由がわかった。つまるところ、転生者がどれだけの力を持つかのテストも一応兼ねていたのだろう。
「…確かに伝承ではグラン殿は途轍もない力を用いて地を切り拓き土地を富ませ、命を育み、そして敵対するものは全て塵芥へと変えた、時には命を無から産み出し、時には魔物全てを服従させた、とあったし、事実だとも証明されてはいたが…とんでもないな…」
アイシャは天を仰いでいる。そして、警戒を弛めずついてきていたフォーナム達もあまりの事実に口をパクパクさせている。
「う、うむ。…ということはだ、竜也。東方から来た、というのは方便だったか。とは言っても転生しました、とは流石に信じてもらえんだろうし、当然のことだが。道理でここまで強いのに噂を聞かなかった訳だな。」
「ああ、そうだ。騙していたのは謝る。すまなかった。…ところでグラン、俺以外の転生者はいるのか?」
一応聞いてみる。まあ、恐らく、予想通りならば…
「ああ、いるとも。転生者も転移者も、召喚された者もいるぞ。」
「やはりな。…魔王とかいう強力な存在もいたのか?いや、今もいるのか?」
「そちらも存在したし、している。とはいえ、魔王とは魔族の王という意味合いが強い。母数の関係もあるが、残虐非道な魔王など数える程もない。人間の方が遥かに残虐非道だった王は多いな。まあ、人と戦争していた魔王は数えきれない数であるがな。侵略する者もいたし、された者もいる。人を見下す者もいたし、尊敬する者もいた。崇拝される者も、蔑まれ疎まれ恐れられる者もいたな…」
グランは過去を懐かしむようにしみじみと語る。いや、実際思い出し、憐憫の情、その他の感情もあるのだろう。
「ああ、後我に仕掛けてきた魔王は存在しないが、王は存在したな。立場を弁えず我が国の属国になれと遠回しに伝えてきた時はその王に地獄の苦しみを味合わせて精神を叩き潰し、逆に傀儡にしてやったものだ。」
その中には歴史書には語られぬ暗躍もあるようだ。
「いやいやいやいや、待ってくださいっす!エッエッエッ、ついていけないっす!グラン…様にウチら失礼しまくってたし、そのグラン様が竜也さんを召喚?したってことっすか!?てことはウチらが竜也さんに知り合えたのもグラン様のお陰…現実って本当に何があるかわかんないっすね…」
タロスはこの状況になんとか立ち直れた?ようでなんとか把握しようとしているのだが、他のフォーナムのメンバー達は完全に思考が停止している。が、竜也と一緒のネロとサタシャは
「グランさん、本当にありがとうございます!グランさんのお陰で竜也さんと出会えました!今まで失礼しました!」
「ありがとうございます。グランさん。私も竜也さんに出会えなければ危なかったんです。」
ネロは子供故かサタシャは未熟故かそんな事態を飲み込んで、グランに御礼している。フェンラルはそこまで警戒もしていなかったが、別に近づきもしていない。
「ところで、竜也を呼び寄せた目的とは何か教えてもらえないだろうか?グラン殿。できればでもいい。」
「ああ、目的か。覇者、その境地へ至り、我を継ぐものの存在の育成と言えば良いか。故に意志、力を共に条件を満たす竜也を異界より転生させた、とまあそういうことだな。知られても構わぬ。力を持ち意志を通す存在、覇者はそれの頂と言って良い。まあ、万が一成れなくても構わぬが…さて、どうなるやらな。」
「何故に覇者になれというんだ?グラン。」
「ふむ、そうだな…新たな風を吹き入れる為だ。とはいえ、異世界から召喚された者であっても無くても構わぬのだが…召喚されていた者も含めてどうも意志が弱い者か力がそこまで達していない者しかいなくてな。故に我が直接呼んだのだ。」
つまりは刷新を行いたいということなのだろうな。
「なら、これから俺にどうしろというんだ?」
「別に何かしろと強要する訳ではない。己で到達できねば覇者には成れぬからな。つまり、成長しろ、と漠然的にしか言えぬ。後は己の意志を通せ。」
返ってきた答えは非常に抽象的で、どうすればいいか分かりにくい。だがしかし、いや、だからこそ今すべきだと思うことがある。
「なら…グラン、俺と鍛練してほしい。今回のことで今現在の力についてあまり把握できていないとわかった。なら、鍛練して、把握して、馴染ませていくしかないだろう。頼めるか?」
「ほう?つまりはあれでまだ引き出しきれていないと痛感している最中だと言いたいのか…フフフフフ、ハハハハハ!面白い!いいだろう!付き合おう!竜也よ!望むだけ鍛練せよ!許そう!このグラン・エスカノールの名に於いて!そのまだ至る最中であると言う力!至ってみせよ!」
「よし、依頼の精算を終えたらやろう。…うん?ネロもやりたいのか?サタシャも?アイシャまでもか?」
ふと見ればネロ、サタシャ、アイシャはこちらを見ていた。
「「はい!」」
「ああ!やれるのならだが…」
ネロ、サタシャはやる気に満ち足りた顔で、アイシャはおずおずとした顔だ。
「構わぬ!許そう!今までとは明らかに違う!面白い!そちら達もやりたいのならば許そう!ハハハハハ!」
非常に上機嫌な様子でグランは笑っている。鍛練をしたいと申し込んだ竜也にネロにサタシャにアイシャ。今までにないその流れに、いや輝きに、グランは今までにない可能性を感じているのだ。
これが、竜也がこの世界において、大きな一歩を踏み出しことになる瞬間だった。
ご覧頂きありがとうございました。第三章はこれで終わりです。次から無双…なのかなぁ。考えております。
またご覧頂ければ幸いです。
ありがとうございました。