表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
16/30

第二章 排除と不穏

はい、たいが~すです。今回の内容は重いですね。作者めの考えは浅いですが。

お楽しみ頂ければ幸いです。

それでは始まります。


港町ラズーロに来て4日目。昨日は鍛練と勉強をしていたが、今日は依頼を受ける。

ネロとフェンラルと共に受けたのは先日訪れた魔物の森(モンスターフォレスト)での依頼だ。フェンラルがいるからこそ2人と1匹での依頼となったのだが…


今回の依頼内容はダンジョンの付近に蔓延している魔物達の駆除だ。猪の繁殖期で餌が豊富だったからかなりの数がいるようで、冒険者達も簡単に近づくわけにもいかないらしい。しかも周りは元々魔物がいる土地、魔物に挟まれれば危険だから、相当難易度は高い。普通ならば。

しかし、以前猪を持ち帰ることができたことからわかるように、フェンラルはこの森の生態系の頂点だ。他の魔物がわざわざ縄張りを犯してなお相手するにはリスクしかないだろう。故に魔物による後ろからの急襲(バックアタック)を気にしないで済む。


後人数が少ないのは例えフェンラルがいたとしても流石に多人数だと、縄張りが犯されたと認識して他の魔物が出張ってくる可能性がある。それが少数である最大の理由だ。


しかし竜也とフェンラルは当然とするなら何故ネロなのか?というのにも理由がある。

等級においてだがネロはまだ銅級だ。駆け出しに近い。しかし、実力なら既に青銅級ならばあるだろうし、何より竜也が銀級であることに釣り合わせる為に本当に実力相応以上の依頼を受けさせなければならないからだ。対応策としても事前にしっかりと知識を詰め込ませてある。


今回の依頼は危険でもありながら、竜也のパーティーにとっては間違いなくおあつらえ向きであると断言できる内容だった。本来この危険度なら最低青銅級以上でないと受けるのすら無理だろう。しかし成功すれば相当冒険者としての信頼とポイントが得られ、ネロの昇級と竜也の等級維持と言う二つの目標の同時達成にぐっと近付けるから、やらない訳もないのである。


魔物の森(モンスターフォレスト)内を進んでいる最中何も遭遇しなかった。フェンラルにある程度殺気を出せという命令をしたために、辺りに重圧が滲み出る。竜也も少し驚く程のものであるそれに、実力の無い魔物が寄ってくる筈も理由も無いからだ。遭遇しなかったのは偶然ではなく必然である。


そして、難なくダンジョンの入り口の前にやって来た。見れば、フェンラルの殺気にあてられているのか、魔物達は完全に戦闘体制に入っている。が、明らかに怯えている。

しかし、狩って頭数を減らさねば被害も出るだろう。つまるところ魔物とは言えど生物の1種。適正な数に戻す必要性は高い。何より人に怪我をさせ、殺すかもわからない。故に依頼も来たのだから。


すまないな。


その一言と共に竜也は刀を抜き放ち魔物達の群れに瞬時に肉薄する。ネロもフェンラルも別の群れに突進していく。

狩りが始まった。魔物達も黙ってやられるなんてことはしない。植物系の魔物は蔓や葉や根を、昆虫系は毒針や顎や羽を、獣系は牙や爪を竜也、ネロ、フェンラルに向けてくる。

しかし、遅く、鈍い。確かに急所を狙いにはくる。正確だ。少なくとも野生とは甘い環境等ではない。そんな中で培った力に無駄があるはずもないし、戦術的なことを考えられる魔物もいただろう。だがしかし。


竜也とフェンラルはその程度では遅れをとらない。いや、とれない。それ以上に苛酷な環境で育ってきたのだ。英才教育では決して身に付かない、最大級の力ではなく最小限の力。効率化。そして研ぎ澄まされたその五感。ネロもそれに準ずる環境に身を置き、自分の先達を発見し、それに教えを乞うたのだ。


2人と1匹は魔物達の反撃を一切掠らせもせずに力の流れに逆らわずに的確に最小限に放たれていくその攻撃は、魔物達を切り落とし、貫き、両断し、崩し、噛み千切り、砕き、切り裂き、命を的確に無慈悲にそして一切無駄なく刈り取っていく。ネロは少し覚束無いところもあったが、それでも尚意思を強く持って、そして魔物達の力を無理矢理調伏してゆく。そして。


狩りは終わりを告げる。後に佇むのは刈り取った3の死神と刈り取られた無数の骸である。


「終わりました。最早狩り、ですか。命ってこうも簡単に消えていくんですね。」


「ああ、だからこそ、大切だと思うものだけしか結局は守れない。守る気にもならない。命は決して重くなど無い。軽いからこそ大切にしなければならない。」


「そうですね。」


ネロも思うところがあるのだろう。しかし、必要ならば、こんなこともしなくてはいけない。それが例え悪意が無くとも。家族や友人がいようとも。動物であろうとも。結局は奪わないと生きていけない。当然だ。


故に竜也は剥ぎ取りを開始する。亡くなったものから得られる物があるのなら、奪いきらなければならない。そして、強く生きていかねばならない。そのために殺したのだから。


おおよそ40体もの魔物の剥ぎ取りを終える。そして、必要ない部分は森に返してやる。森もまた、そんな死体を受け入れて生者の糧とする。そして、全てが生きてゆく。竜也にとって弱肉強食とはただそれだけの意味を持つものだとは思っていない。強者は食らう分敬意を弱者にも払わねばならない、そう考える。竜也の隙の無い姿勢を生む一端の考えでもある。

ネロも竜也を手伝い同じようにする。そして、役に立つ部位などを全て収集し終えて、ラズーロの町に戻っていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラズーロの町のある暗がりの家でその男達は密談をしていた。ある計画についての打合せだ。


「あの牙狼(ランドウルフ)を持ち主を殺して奪うために、持ち主を調べてきた。…が、あまり詳しくはわからない。刀を持つこと。パーティーに少年がいること。スキルは身体能力強化系統であること。そして銀級に飛び級で上がったことはわかったがどうする。」


「寝首をかくしか無いだろう。とはいえ、狼が近くにいる。少なくとも臭いや気配を隠滅させるものがいるだろう。」


「それについては大丈夫だ。スキルがある。…いけると思うが万が一を考えて魔法牢だけでなく、睡眠香も使うべきだな。少年がいるなら、人質にとるのもいいが、冒険者だ。油断はするな。何を使うか完全にはわかっていない。持ち主と同じ身体能力強化系統らしいが…要心しておけ。」


「ああ、冒険者ギルドに寝泊まりしているともあった。あまり都合が良いとは言えないが、こちらも期限がある。仕方あるまい。見つからずに隠密に遂行するには麻痺針や毒針も仕込んでおくべきだな。」


会話の内容から察するに闇の依頼を受けた者達だろう。しかも、相当な手練れの。

不穏な空気漂うラズーロの町。

竜也達は帰ってくる。危険も知らずに。アイシャの懸念通りのことが発生する間近である。彼らの目的は殺害と強奪。果たしてどうなるかは事の後にのみ知ることになるだろう。

ご覧頂きありがとうございました。不穏な空気とかを書くのって大抵文章後半が多いと思いますね。偏見でしょうか。

またご覧頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ