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異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
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第二章 保身と求婚

はい、たいが~すです。今回もまた、面倒臭い話になっておりますね。本当に文章力が無いな他所様が羨ましい…

お楽しみ頂ければ幸いです。

それでは、始まります。


竜也とネロがフォーナム達と共に魔物の森(モンスターフォレスト)の初依頼をこなし、そして相棒となる牙狼(ランドウルフ)フェンラルと出会い、共に歩むことになったその翌日。

竜也はアイシャに事情説明のために朝から呼び出されることになった。


「さて、竜也には昨日のことで詰めておかなければならないことがある。まずは牙狼(ランドウルフ)懐柔(テイム)についてだ。既に懐柔(テイム)の申請は終えているためにそこは気にしなくて良い。問題は別だ。

魔物は生物の一種で、人と共に生きるというケースはかなり多い。ビッグボアなどが良い例だな。後、大抵の魔物は前例があった。だがな、フェンラル、と言ったか。フェンラルについては話が別だ。今まで牙狼の共生は前例が無かった。此方側でも扱いをどうすれば良いのかが全くわからん。その上にだな。」


あのビッグボアは家畜か何かなのか…という竜也の疑問は置き去りだが、アイシャは一呼吸置いて話を更に続ける。


牙狼(ランドウルフ)は好戦的で無く、頭数も多くなく、そしてなにより恐ろしく強いのだ。竜種とは比べるべくも無いのだが、それでも、討伐数が今まで皆無だったのだよ。まあ、人畜無害だからというのも大きいが、強さ故に研究したくてもできなかった、という程の魔物だ。

かくいう私も、研究のためだと依頼した研究者を引き連れて戦闘したのだが、銀級6人のパーティーで負けたのだ。逃げ出すことは叶ったが、その高い壁を感じた私は今は一線を引いた訳だな。つまりは牙狼は幼体だろうが高い実力を持っていると推測されることと、非常に高い学術的な価値を持っている、ということはわかったな?」


つまるところ、研究するから寄越せという高圧的な要求をしてくる馬鹿がいるのかと竜也は呆れる。


「それはつまりフェンラルを差し出せということか?なら断る。そうだな、後は幼体だから強くない訳では無いな。実際魔物の森(モンスターフォレスト)では食物連鎖の頂点だったからこそ猪を持って帰ることができたからな。」


竜也は皮肉と怒りをこめながら言い放つ。それについてはアイシャも同意見だったようだ。


「流石に譲渡は竜也でなくとも断るだろうと思ってな。そこら辺は既に断りを入れてある。無闇に手を出せば冒険者ギルドが黙っていないぞ、と脅しを含めてな。だが、それでも諦められぬ者は正規の手順を踏んでくるだろう。譲渡は無くても観察依頼が来るかもしれん。闇の依頼までは流石に無い、と言いたいところだが…世の中には馬鹿もいるからな。気をつけて欲しいのだ。」


しかし、これで終わりでも無いのだろう、アイシャはまだ顔を崩していない。竜也は進める。


「成る程な。後はなにがある?フェンラル以外にも用事があるのだろう?話してくれ。」


「後は竜也。お前を一挙に銀級まで引き上げねばならなくなった。普段なら絶対無いことなのだが…」


今度は特例昇格の話である。有り得ないと散々聞かされていながらされるということは理由がある。つまりそれは、


「フェンラルが絡んでるな?これ程の魔物を懐柔(テイム)させたとなれば、引き抜きを考えるものが出てくる。その時に銅や青銅級では守りきることが叶わない可能性があり、それを未然に防ぐための処置だ、というところか。

しかし、懐柔(テイム)したことで実力が評価されたから昇格できる、というのなら評価は信用によるものという元々の定義はどこにいったんだ?」


もっともだ。信用されるのは簡単ではない。依頼一回程度で信用が築かれはしないと知っていた竜也にアイシャが例外の理由を答える。


「…知らなかっただろうが懐柔(テイム)の難易度は最上級だ。普通は経験と勘と地の理と実力と用意が無ければ不可能。故に懐柔(テイム)できるのは銀級相当以上で無いと可能性すら無い。それを竜也はこなしてしまったんだ。相応の評価が理念であるなら、引き上げねば不評不満が出る可能性もあるだろう。」


しかし、そんな特別扱いされれば必ず起きる弊害がある。その懸念を竜也は危ぶむ。


「出る杭は打たれる、というのがあるが、それを無視できる程に冒険者ギルドは評価基準が信頼されているのか?本当に大丈夫と言えるのか?」


しかし、アイシャはそれについて動じていない。いや、動じる必要はない、と言わんばかりだ。


「ああ、それについては大丈夫だ。冒険者ならむしろそれ程までに力があるのだから、パーティーを組みたいと申し出る者が出てくると思う。それとはまた似たようで違うところが問題点でな。」


別のところでアイシャは眉を顰める。問題点は竜也の元々の予想とは違う。とはいえ、後に残るのは…


「ああ、今度は等級維持が面倒臭いことになるのか。ネロと組む、つまりは銅級と銀級が組むと、必然的に依頼の難易度が下がる。銀級の評価がシビア故に、俺が降格する可能性がある。そうなると、庇うのがまた難しくなってしまう。とはいえ、特例を認めすぎる訳にもいかない、ということか。」


パーティーのアンバランス。アイシャは頷きながら話す。


「まあ、そういうことになる。信賞必罰故にバランスが難しいところだ。ネロと組み続けるというのは既に決めていることだと思ってな。現状、かなり危ういところだと言える。」


「それ故にこれからの方針決定を考えてくれ、ということだな。なら大丈夫だ。ネロを鍛える予定を今組んでいるからな。恐らく俺の見込み通りならネロは8年で俺と同等、もしかすればそれ以上に強くなれると思っている。それについての心配は必要ない。青銅と鉄なら超えることは難しくもないだろう。」


竜也はきっぱりと言い切る。その様子にアイシャも肩の荷が下りた表情を見せた。が、すぐに真剣に戻ったために竜也ももう一度気を引き締める。


「そうか。既に目算はついていたのだな。よし、それなら最後、これは私情なのだが…

私と結婚してくれないか?頼む。」


…いきなりアイシャが告白、いや、プロポーズする。その様子は明らかに本気。ふざけている様子は皆無。しかもアイシャのその姿は男なら夢見る程だろう。どんな男でも断ることなどできない、そう思わせる程の美しさ。

しかし、竜也は即断する。いや、既に心に決めている。


「断る。既に俺は妻がいる。必要ない。現地妻も重婚もいらん。第一に何故に俺なのだ。会ってまだ3日だ。俺を知らないことの方が多いだろう。それにアイシャならば良い男くらい捕まえられるだろうに。」


竜也の一見もっともそうで、しかし竜也の場合なら言わなくてもわかるだろう質問にアイシャは答える。


「出会った中で今の私より強い男は竜也、お前だけだ。後知らないことが多いのは確かだが、それでも竜也は良い男には間違いないぞ。懐柔(テイム)を成功させるには下心が多いものはまず不可能だ。さらに多くは語らぬがそれゆえにはっきりとわかる意思。極み付けには私が今まで出会った男の中で一番男前だ。どんな女も狙うだろう。

もし私とお前が結ばれ、子を成すなら強い子にも恵まれよう。私のことを他にもある程度は知っているだろう。どうだ?結婚したくはならないか?」


アイシャの蟲惑的で尚且つ魅惑的なその真剣な誘惑に竜也は眉一つ動かさない。


「断る、と言った筈だが?俺は既に一人愛した女がいて、その間に子だっている。それを裏切るくらいならば死ぬ方が圧倒的にマシだ。諦めろ、アイシャ。」


「本当に本当なのか?これでも私は姿形と才覚は良いと思うのだが…ふふふっ、本命にフラれてしまうとは私もまだまだだな。しかし、諦めろなどとは言われても諦めはせんぞ。女を磨き、竜也、お前を確実に籠絡してやろう。楽しみに待っていろ。」


アイシャは竜也にフラれても、諦める気は皆無のようだ。むしろ、宣言をしている。


しかし竜也にここまで一筋に愛される女とはどれ程なのか、と興味深く感じたアイシャであった。

ご覧頂きありがとうございました。何も男性全員にハーレム欲望があるわけでは無いと思う今日この頃。何人も穏やかにしっかりと愛せる訳も無いでしょうに…などと愚考しております。

またご覧頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

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