表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
13/30

第二章 良縁と食卓

はい、たいが~すです。今回また食事シーンがございます。飯テロ?出来てねぇなコレ…しかも会話文ばっかりじゃあないか…

拙作ですがお楽しみ頂ければ幸いです。

それでは、始まります。


依頼完了の報告を済ませた竜也達とフォーナム達はその後軽く軽食を摂る。流石は港町ラズーロといったところで、手軽に食べることのできる焼串や干し肉、お握りまで売っていた。それらに舌鼓を打つ。

ある程度腹ごしらえをしたところで、また、冒険者ギルドに戻り、今度はギルドの買い取りや斡旋をこなしている職員に話し掛ける。

買い取りをしてもらうために、サヘルとドンモが収納袋からビッグボア1頭と猪23頭分の素材や肉を取り出した。鮮度や状態が変化していないことが見てとれる。どうやら収納袋は相当に便利なスキルのようだ。ギルド職員は戦利品に驚いているようだ。


「はあ~魔物の森(モンスターフォレスト)産のビッグボアや猪はそこまで珍しくもありませんが、猪が23頭分ですか…今までこんな量の一斉納品は2,3度ぐらいしかありませんでしたよ。これはまた、忙しくなりそうですねぇ。」


「値段はどれくらいになるんだ?」


「そうですねぇ。ビッグボアは9金貨50銀貨ですが何分猪はねぇ…。魔物の森(モンスターフォレスト)産なら一頭3金貨20銀貨、23頭なら73金貨60銀貨。合わせて83金貨10銀貨ってところです。」


「かなりの額だな。相当しっかりと値を付けてくれているようだな。…よし、77金貨払ってくれないか?」


「いいんですか?5金貨10銀貨分損しますよ?」


「いいんだ。これだけ稼いだのも運が良かった、というのと適正に買い取ってくれようとしてくれているからだ。だから、関係作りとして受け取ってくれ。後は7人で割り切るには77金貨がちょうど良い。ちょうど一人11金貨だ。不和を生まないための協力とも考えてくれればいい。皆もそれでいいな?」


「まあ、竜也さんがおまけを稼いでくれたようなもんっすから全然いいっすよ!」


「そうだな。むしろ、我々の方が倍以上受け取るのが少し恥ずかしいくらいなのだがいいのか?」


「そんなに貰えるなんて嬉しいな。私達は必要分は既に貰えているからね。」


「…竜也の考えならそれでいい。」


「竜也さんは太っ腹ですね。ありがとうございます。」


「だそうだ。ということで頼めるか?」


「わかりました。ありがとうございます。では、お受け取り致します。…はい、こちらが代金の77金貨です。ご確認の上お受け取りください。」


素材や肉の代わりに金貨を支払い、ギルド職員は受け取った素材や肉を収納袋にしまっていく。それを市場に卸すのだろうから、今日は旨い猪肉が市場に並ぶことだろう。フォーナム達と竜也達はお互いに金貨を公正に分け合う。一人11金貨。依頼料と合わせて今回で一人13金貨20銀貨手に入れたことになる。5~6回分の依頼料、つまり一週間分くらいの稼ぎ額だ。フォーナムとしての稼ぎなら66金貨。だからだろう、凄くニヤけたりホクホク顔だったりしている。

そういえば、フォーナム達はビッグボアの肉を見て、子供のような食いたそうな目で見ていたな…よし。


「職員さんよ、ビッグボアの肉っていくらする?どこに卸す?教えてくれ。」


「ビッグボアの肉は結構引く手数多ですからねぇ…どこに卸すかはまちまちですね。…ああ、そういうことですか。なら、何キロか良質な部位をお売り致します。まけて頂いたので5キロ50銀貨でお売りしますよ。それを店に持っていって、お代と共に渡せば美味しく頂けるかと。」


「よし、なら10キロ分買う。…1金貨渡したな、よし。フォーナム達、せっかくだから夕食を一緒に食べよう。ビッグボアや旨い飯を奢る、どうだ?」


金貨をギルド職員に払い、ビッグボアの肉を受け取りつつ、フォーナム達に話し掛ける。フォーナム達は驚いているようだ。


「ええっ!いいんすか!?太っ腹っすねぇ!あざっす!」


「良いのか?竜也。我らはよく食うぞ?」


「ええええ!本当にイケメンね…いいの?ありがとう!」


「…本当にいいの?やった。」


「では、御厚意に甘えて、御同伴に預からせてもらいます。竜也さん、ありがとうございます。」


どうやら喜んで承諾してくれたようだ。そして、ギルド職員と別れを告げて、竜也達は以前に唐揚げ定食を食べた食事処に入る。


「へい、らっしゃい!おお、竜也とネロじゃあねえか!トリンドルまで来てるのかい!今日も来てくれるたぁ嬉しいねぇ!今日はどうする?」


「いいビッグボアの肉が手に入ってな。10キロ程だ。これをおやっさんの腕で色々調理してくれねぇか?肉が余ったらおやっさんの好きにしてくれ。金貨を1枚銀貨を50枚置いておく。俺も含めてこいつら全員に旨いもんをたらふく食わせてやってくれ。因みに狼もいる。よろしくな。」


「店長さん、今日もよろしくお願いします。」


「かーっ!ここまでしてくれるとは料理人冥利に尽きるねぇ!わかったぜ!最高に旨いもん食わしてやっから楽しみに待ってなぁ!」


と、ビッグボアの肉と代金を受け取るやいなやビッグボアの肉を持って厨房へと向かっていく。皆席について料理を待つのだが、そこへ豚の良質な油や肉の焼ける芳ばしい香りや、調味料の香りが漂ってくる。だからか竜也以外はそわそわしたり、涎を拭っているなど、待ちきれない様子で今か今かと待っている。


「へい、お待ち!まだまだ料理は出すから楽しみに待ちながら食べな!」


そう言って最初の料理が運ばれてきた。


ビッグボアの石焼き。豪快に大きく焼かれたそれは、焼け石の上でジュウジュウと良質な油を跳ねさせながら、力強く鎮座している。側にはナイフとフォークがついている。ナイフで切り分けると、中に詰まっていた肉汁を外に溢れさせ、そして相当に肉厚。その上ちょうど食べ頃の血色から茶色に変わる合間の焼き目であることを肉の断片から知らせてくる。レア。香りからして、そばにあるつけるソースはおろし醤油のようだな。いわゆる和風ステーキ。


フォーナム達はそれが出てきて机の上に並ぶやいなや、すぐさまナイフで切り分けて、フォークに刺し、その肉片にソースをつけてそして頬張る。

切り分ける大きさで性格が出ているな。タロスとサヘルは不恰好かつ大きな塊を一気に食べる。トリンドルとペルーナムは綺麗に、だが大きな塊だ。ドンモは綺麗かつ適正な大きさに切り分けている。ネロは竜也をまねているのが見てわかる。竜也は綺麗かつ適正な大きさに切り分けている。ドンモと同じ感じだ。ただし、食べる速度はフォーナム達が圧倒的に速い。まるで、消えるかのように肉を平らげていく。

笑顔と真顔が混同した旨いものを食べる時のあの感動と無感動をない交ぜにした顔のままに。


思わず竜也は苦笑する。こんなに良い飯の時間が過ごせるとは夢にも思っていなかった。元の世界では裏社会にいたからこそ憧れて止まなかった、あの暖かい飯の時間。笑顔と食事。


竜也も肉を食べる。旨い。噛めば噛むほど口の中に肉汁が溢れ、その味にある脂っこさをおろし醤油が中和し、純粋なさっぱりした旨味へと変化させてゆく。肉の濃厚な香りと旨味におろし醤油のさっぱりとした香りと旨味。それらが渾然一体となることで生まれるこの味。

最高。

そう表現するしかない程に旨かった。


それらを堪能していると次々に料理が運ばれてくる。和をベースとし、素材の味を引き出しつつ調味料で整えられた至高の一品の数々。すべてが最高だと言えた。そして、満腹となったことで料理が止まる。


「どうだった?最高だったろう!」


「ああ、最高だった。やはり、あんたと出逢えたのは大当たりだ。これからもよろしく頼む。」


「本当に美味しかったです!店主さん!最高でした!」


竜也と店主は握手をして、お互いを完全に認めて信頼し合う。それ程までに竜也と店主の馬が合ったのだ。店主の料理は研鑽が積まれたもので旨いものばかり。竜也もそれをしっかり認めて店主を信頼し、料理人冥利に尽きる依頼をしてくれる。良い仲が築かれない訳がない。ネロもしっかりとお礼を言っている。ネロも店主を完全に認めているようだ。

しかも、フェンラルのこともしっかり見ており、狼が食べても良いような料理を食べさせていたようだ。フェンラル自身も店長に懐いたようで、握手している二人の周りをくるくると回っている。

フォーナム達も、


「おやっさん!めっちゃ美味しかったっす!また、自分も食べにくるっす!」


「店主殿よ、美味しかった。また、よろしく頼む。」


「本当に美味しかった!また来ると思うしよろしくね!店主さん!」


「…美味しかった。いつも美味しい。また来る。」


「今日はありがとうございました。店主さん。また、機会があれば、お邪魔させて頂きます。」


と、店主の料理の腕を褒めていた。恐らく彼らはまた来るのだろう。そう、確信できた。トリンドルは元々常連客であったようだが。そして、挨拶をすませて店を出る。店を出てから竜也はフォーナム達に別れを告げる。


「どうだ?旨かったか?今日はありがとうな。初依頼だったから助かった。また次組むときもよろしく頼む。」


「いやいや、こちらこそっす!竜也さんとネロがいたからこそたくさん稼げたし美味しい料理も頂けたし、安全に依頼遂行できたし…また、次に組むときもよろしく頼むっすよ!」


「そうだ。竜也は強い上に賢い。ネロもな。本当に助けられた。できればずっと組んでいて欲しいくらいだ。」


「そうよ!できれば私達フォーナムと組んで欲しいなぁ…流石に無理よね。でもまた組むときはよろしくね!」


「…今日は本当に良かった。またね。」


「今日は本当にありがとうございました。竜也さん。ネロ君。貴殿方のこれからが良いものであるようにフォーナム一同願っております。また、組ませて頂くときは、是非よろしくお願い致します。」


こうして、竜也の初依頼は完遂し、フォーナム達と別れた。良い縁が、良い関係が築けたのだろうか。そう竜也は思案しながらネロとフェンラルと共にギルドに戻っていったのだった。

ご覧頂きありがとうございました。良縁っていいですよね!やはり、人を人たらしめるのは隣人とどれだけ良い関係を築きあげられるか、だと思っております。作者め、ですか?どうなんでしょうねぇ…

またお楽しみ頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ