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異世界転生~obligations~  作者: たいが~す
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第二章 遭遇と一期一会

はい、たいが~すです。今回も会話多めです。本当に文才が無いみたいで…他所の、上手く会話させる作者様の文才は凄いですよね。

拙作ですがお楽しみ頂ければ幸いです。

それでは、始まります。


いきなり巨大な猪がのそのそと森から出てくる。全長3メートル程ありそうなその猪はこちらを見掛けるやいなや睥睨してくる。戦闘体制に入ったようだ。こいつは明らかに主レベルではないのか!?これはいきなり運が…


「自分達いきなり運がいいっすね!ビッグボアっすか!ラッキー♪」


「竜也達!狩るぞ!肉が旨いんだ!」


「…しかも、有用。ホントに幸運。」


…どうやら、そこまで強くもない相手のようだ。というよりむしろ彼らの反応からして冒険者のカモという感じがする。いや、油断してはいけないだろう。


すぐさま竜也は身体を屈めて大地を蹴り、一瞬間の内に距離を詰める。殺られる前に殺ってしまえばいい。虎桜での居合抜き一閃ーーーーーー

上体を捻る。大地を蹴って生み出した推進力を利用する。刀の鞘を後ろに飛ばす様に刀身を抜き出す。勢いそのままに下から上へと斬り上げる。その斬撃は難なくビッグボアの脳天ごと頭を縦一文字に斬り裂いた。その刀傷から血を噴出しながらビッグボアはズズズンと大きな音を轟かせつつ横たわる。


初めての魔物との戦闘は呆気なく終了した。あまりにも手応えが無さすぎる。


普通、身体が巨大な生物というのは大きさに比例し筋繊維密度と骨密度が上昇する。その上、猪などの獣は毛などが斬撃などの阻害をするためにナマクラなどでは傷一つ付けられない。与えられたとしても、刀傷ではなく打撲。それくらい、相性が悪い筈だ…この世界はこれが普通なのか?それとも…


竜也は思わず訝しむ。それくらいに猪は弱すぎた。刀を鞘に納めて後ろを見てみると、フォーナム達は驚いている。


「かっこいいっすねぇ…!一刀両断は剣士の夢なんすよねぇ…!」


「流石はアイシャ殿を負かした者だ。銀級以上の実力を持つのは間違いないな。」


「竜也さんは凄いんですよ!もっともっと!」


…どうやら、ビッグボアを一刀両断できるものは実力者ではあるのだが、珍しい程度で有り得ないものではないらしい。そして冒険者の実力は魔物の強さで測るのではなく、技量で測る。そんな感じが見てとれる。それと竜也の技術を再度見て、ネロはかなりはしゃいでいる。竜也は一応聞いてみることにした。


「なあ、ビッグボアは弱いのか?」


「そうっすねぇ…確かに丸腰なら難しいっすけど、武器があれば、誰でもある程度は渡り合えると思うっすよ。」


「ビッグボアはビギナーズモンスターだと言えます。その割には得られるものも多いので、ボーナスモンスターとも言われてますね。」


「肉が美味しいし、牙も皮も、というより全てに使い途があるのよねぇ~。だからこれ一頭で10金貨くらい稼げるの。」


フォーナム達はビッグボアについて解説してくれる。後、彼らの目付きがどう考えても食事を目の前にする子供のそれだ。タロスに至っては女性にはあるまじき涎を口から垂らしてそれを拭うという行為をしている。


「…持って帰って豚カツにでもしてもらうとか。絶対美味しい。」


と、寡黙なトリンドルまでもがそう言っている。ネロもそれを聞いて目を輝かせているが…

いや、待て。アイシャに言われたことを思い出す。


「いや、皆待て。猪を持って帰るのは危ないのではなかったか?しかもかなり巨大だ。流石に危険を冒すのは良くないと思うが。」


そうだ、死んだ猪を狙って群がってくる奴らがいる筈だ。そもそも、こんな大きな獲物を持って帰るのは難しいだろう。

それに対しフォーナム達は、


「ビッグボアは大丈夫よ。危ないのは猪だけ。ビッグボアの場合は死肉に群がる奴らも強くなるから雑魚は寄ってこないの。ここは入り口だから、魔物が寄ってくる心配はないわ。」


「後、私とサヘルは収納袋のスキルを持っています。まあ、一般的なスキルではありますが…だから、獲物の持ち運びについては大丈夫ですね。流石に猪は回収するリスクに見合いませんが。」


と、更に説明してくれた。成る程、魔物の中でも生態系が作られていて、それに基づいて魔物も生き物も生活しているのか。なかなかに面白い構造になっているようだ。


「成る程、よくわかった。ありがとう。」


竜也は答えてくれたフォーナムに礼を言う。そうこうしている内に、フォーナム達はビッグボアの血抜きを終えて解体してゆく。竜也もネロも解体を手伝う。そして、ビッグボアを牙・皮・骨・肉・内臓、そして少量の血に解体し、収納袋というスキルを用いて何も無い筈の空間にしまっていく。消えるように素材が仕舞われていき、完全に仕舞い終わる。そして、


洗浄(クリーン)!」


解体した後をサヘルが手慣れた様子で水魔法を用いて血痕を消していく。恐ろしく便利だ。


血痕を消す、ってのは抹殺に使えるな…おっと、この世界じゃあ抹殺とかはいらないな。流石に抹殺する必要のあるような外道は仲間にいないだろう。


その様子を見て竜也は物騒なことを考える。昨日竜也は既に山賊達を抹殺しているが。そんなことは気にせず、竜也達は森の中に入っていく。


森の中は、かなり明るいものだった。林冠の葉の合間から射し込む光が森の中を明るくしている。そして、木は巨木が多い。まるで、何百年も生きているような古の樹木が乱立しており、森の歴史を感じさせる。倒木もあり、まさしく豊かな森と言えるだろう。そして、やはり入り口同様に生物、魔物のものらしき痕跡がそこかしこに存在する。


ガサガサガサ…ズルズル…ゴソゴソ…


前方の草むらから蠢く音がする。生き物かそれとも魔物か。それとも(ターゲット)か。

竜也達は各々武器を構える。そして、警戒を強めていく…

そして出てきたのは狼だった。尾がかなり刺々しくそして身体に見会わず大きい。普通の大人の狼くらいの大きさはあるのだが、目が丸い。どうやら子供のようだ。


なんだろうこいつ。なんか親近感が湧くな。なにか、飼い犬の様な…うん、一期一会かもしれんな。よし。


竜也は即断し、フォーナムのメンバー達に掛け合う。


「なあ、ビッグボアの肉を取り出してくれないか?ちょっとこいつを手懐けてみたくなった。」


そんな提案にフォーナム達は怪訝な、それでいて、明らかに警戒を強めた顔で答える。


「本気で言ってるんですか…?あいつはこの森の主である牙狼(ランドウルフ)ですよ?なんでここにいるかもわからないのに…」


そう言いながらもドンモがビッグボアの肉を空間から取り出して渡してくれる。しかし、その手には少し冷や汗があり、そして、かなり慎重な手つきである。


…本気で言っているのか?こいつがこの森の主?子供の狼だし、手懐けてみたくなる程の親近感が湧くのだが。


なんてことを考えつつも狼の方を向く。隙はない。野性に生きる感じがひしひしと伝わってくる。正に狼である。竜也がビッグボアの肉を持っているからか、警戒しつつ寄ってくる。可愛らしい。なにか、子供の純粋さを感じさせる。空腹に耐えられないで、思わず飯に寄ってくるような…


竜也は屈んでビッグボアの肉をランドウルフの目の前にゆっくりと差し出す。ランドウルフは肉の匂いをしきりに嗅いでいる。警戒しているのが伝わってくる。そして、安全だとわかったのか、一口食べる。咀嚼して呑み込む。そして、旨かったのか、パアアという音が聞こえてきそうな程の良い笑顔を見せて、そして、竜也が手にもつビッグボアの肉に齧り付く。ガフガフと音が聞こえる。可愛い。がっつくランドウルフの頭を撫でながら肉を食べさせる。


恐らくだが、食事をするためにここまで来ていたようだ。もしかしたら、ビッグボアが森から出てきたのもそれのせいかもしれない。食べ終えて、満足したのか、竜也の周りを嬉しそうにクルクルと回り、そして何周かした後に竜也の目の前にお座りする。本当に可愛い。頭と喉をしきりに撫でてやると目を細めている。喜んでいるようだ。


「俺と一緒に来るか?」


という竜也の問いかけにランドウルフは一声吼えて同意を伝える。本っ当に可愛い。


「はぁ~。あのランドウルフを手懐けてしまうなんてねぇ。」


「餌付けしようという考えが先ず無いっすよねぇ。怖いっすもん。怖いもん知らずっすねぇ竜也は。」


「いやはや、それにしてもビッグボアを狩っておいて良かった良かった。戦力強化が見込めるとはな。」


「いやいや、先ず普通ならそんな考えに至らないでしょう。竜也さんが居てて本当に良かったですよ。」


「その狼さんは怖くてかっこいいですね。竜也さん。」


そんな竜也を見てフォーナム達は冷や汗を拭いながら口々に話している。どうやらこの狼、相当な実力者であるらしく、ネロも少々怖いらしい。


それにしてもこの狼は怖いか?明らかに可愛らしいと思うのだが、もしかしてそこら辺の美的感覚がズレているのか?


そんなことを考える竜也であった。

ご覧頂きありがとうございました。自分は犬より猫派です。じゃあ何故狼出したんだと言いますと、古来ペットの始まりは狼らしいので、出した次第です。安直にも程がありますね、申し訳ございません。

またお楽しみ頂ければ幸いです。

ありがとうございました。


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