第二章 初依頼と初心者冒険団
はい、たいが~すです。第二章に突入した上に十話ですね。今回は会話主体です。ああ、文章力が欲しい…。
拙作ですがお楽しみ頂ければ幸いです。
それでは、始まります。
ラズーロの町。竜也とネロはそこの冒険者ギルドで寝泊まりしたためにすぐに受付嬢のアイシャと出会う。アイシャは二人に尋ねる。
「おはよう、よく眠れたか?」
「まあまあだな。」
「はい、よく眠れました。」
アイシャに竜也とネロはそれぞれに答える。その様子を見てアイシャは笑みを見せながら
「それは良かった。」
と言う。その笑顔の美しさは偶然通りすがったギルド職員が思わず見惚れている程だ。
それは置いておいて竜也は聞く。
「さて、今日から働くわけだが、まずなにをすればいいんだ?」
「そうだな…まずは他のチームと組んで依頼をこなしてもらうつもりだ。とはいえ、ネロは丸腰だな…まあ、武器も貸し出せる。報酬は減るが、適した武器を選ぶにはちょうどいいだろう?」
「そうだな。ネロはなにも武器が無い。その上に適した装備がわからない。ここは、貸し出してもらう方がいいな。チームで組むと聞いていたから今日は適した武器を遠くから考えてもらおうと思っていたが、渡りに船だ。そうしよう。」
「そうだったのか。なら、そうだな。まずはオーソドックスにショートソードとライトシールドなんてのは…」
などと二人で相談しているところに、ネロは割って入り、自分の要望を話した。
「僕は竜也さんと同じのがいいです!竜也さんと肩を並べられる程に強くなりたい!」
どうやら、ネロは竜也と同じように刀が使いたいようだ。その熱意に対してアイシャが覚悟を確かめる。
「刀はかなり難しいぞ?確かに対人戦闘には向いている。だが、動物、ましてや魔物との戦闘には、片刃でしかないことや、両手持ちの武器故に防御が難しい、そしてソード類とは違って細いために横からの衝撃で折れやすいなどというデメリットがある。冒険者にとっては玄人が扱う武器だと言える。それでも使うと言うのか?危険だぞ?」
半ば警告にも近い言葉にネロは自信を持って答える。
「はい、使います!竜也さんに近づくには竜也さんと同じようにするのが一番速いです!僕はそのつもりで冒険者になったんです!」
「成る程、初めからそのつもりだったか。ならいいがな。とはいえ、気を付けて扱えよ。刀で貸し出すものに業物は無いが、それでも値は張る。折れれば20金貨払って買い取ってもらわねばならん。これから依頼するものは報酬としては一人2金貨30銀貨なんだ。折れれば最悪借金かもしれんからな。まあ、折れなければそんなことはないがな。」
笑いながらアイシャは言う。アイシャの言うその値にネロは少し震える。が、それでも尚刀を練習するようだ。そして、ネロは冒険者ギルドから刀を借り受ける。そんな中で竜也は依頼内容を聞く。
「依頼はどんなものだ?ここら辺の依頼で採集、なんてものは無いだろう?護衛か討伐か、どちらかだと思うのだが。」
「正解だ。鋭いのだな。ここら辺りは盗賊などを除けば基本的には危険度は相当に低い。なにせ港市。そんなところの安全確保は国も表立ってやらねばならんからな。依頼内容は討伐だ。まあまあ遠いのだが、ここから北東の位置に森がある。そこでかなり猪が繁殖していてな。採集がしにくくなるから10~20頭程討伐してくれ、とのことだ。」
猪という魔物と比べ危険性が低そうな相手に竜也はアイシャに思ったことを口にする。
「猪?それは狩人の範囲なんじゃないのか?それともなにか厄介なことでもあるのか?」
「その森はだな、通称魔物の森というのだ。猪だけでなく、その血に引き寄せられて狼だけでなく昆虫や植物の魔物、その他にも色々と集まってくるのだ。とはいえ、猪に引き付けられる上に生きている猪を襲わずに死肉に群がるような低級のものが多いためにそこまで危険でもないのだが…」
「成る程。確かに狩人は計算して狩りをするからな。だから、不安定要素が多すぎる上に、仕留めた獲物に群がる奴らが多すぎるために、安全に生計が立てにくい…というわけだな。」
「そういうことだ。最深奥にはダンジョンに通ずる入り口があるためにモンスターもそこそこだが、今回はそこまでいくわけでもないし、ダンジョンに近い魔物もそんなに強いわけではない。例外もいるにはいるが、正直に言って初心者の為の場所だ。とはいえ、猪を獲ろうとは考えない方がいい。猪を獲る場合は難易度が桁違いだ。全ての魔物に襲われるからな。それだけは頭に留めておけば、万が一傷を負っても生還することはできるさ。」
「わかった。この依頼、受けることにする。ところで、組むチームのメンバーはいつ来るんだ?どんな奴らかも知っておきたい。」
「もうすぐ来る。グループの名はフォーナム。君らと同じ銅級が3人に青銅級が2人の計5人。前衛2人にサポート1人、後衛が2人だな。君達を合わせるとまあまあ充実したパーティーと言える。後、彼らは魔物の森を何回か訪れているから土地勘もある。大丈夫だろうと思うパーティーメンバーだ。」
「用意周到だな。こちらも安心できる。期待に応えさせてもらおう。」
そんなこんなでアイシャと竜也が話し合っていると、冒険者グループがやってきた。組むメンバーだろう。男2人と女3人が挨拶をしてくる。
「よろしくお願いしまっす!フォーナムです!自分は前衛でロングソードとシールドを使います!名前はタロス・ストラムっす!」
「同じく前衛で槍を使う。俺の名前はペルーナム・エスト。よろしく。」
「私は後衛のサヘル・トリトル!水魔法が使えるの!わぁ~イケメンと美少年と一緒なんてついてるっ!よろしくねっ!」
「私も後衛のトリンドル・ラーナム。弓を使う。…よろしく。」
「俺はサポートのドンモ・モンモです。素材回収、メンバー回収、トラップ設置に解除に治療に強化になんでもござれ。よろしくお願いします。」
「俺は竜也。使うのは刀だ。よろしく頼む。」
「ネロ・ブレーヴァです。僕も刀です。竜也さんを目指してます。よろしくお願いします。」
お互いに自分の武器ないしは役割を知らせて挨拶を終える。トリンドルとドンモが青銅級で他は全員銅級というビギナーズチームだ。その様子を見ながらアイシャは
「君達には期待している。特に竜也。君は私を負かす程の実力と油断のないその心構え。余程のことが無い限り、万が一もないだろう。頑張ってきてくれ。」
と、後押ししてくれた。その激励に対して皆がアイシャに返礼し、そしてラズーロの町を出発する。森まで徒歩で1時間程。そこまで遠くはない。竜也とネロは目的地に向かってフォーナムと共に歩いている最中、そのメンバーに話し掛けられる。竜也もネロもそれに答える。
「竜也って凄いのね!あのアイシャさんに勝つなんて!」
「ああ、あのアイシャ殿に勝てるのはあの町にはおらなんだというのに。」
「超期待のルーキーじゃないっすか!自分達なんて歯が立たなかったんすよねぇ…あははは。」
「ああ、そのことか。アイシャが後から大剣は楽しむ為に持ってきたとか言ってたな。間違いなく戦闘狂だ。鍛えてなかったのなら勝てる筈のない相手に違いないさ。」
「えっ?大剣?本気じゃなかったのか、あれで…強すぎだろう…」
「…大剣を使った人なんて初めて聞いた。」
「本当に強いですよね、アイシャさん。僕もアイシャさんと押し合いして崩されちゃって負けました…でも次はもっと強くなります!」
「…アイシャ殿は肉体強化のスキルなのにそれと互角とはネロも相当なのだな。」
「ええ!?そんな身体なのに力で互角!?二人共期待されるわけね…」
などと、話している内に森に着いた。見れば、そこまでなんら遜色のない至って普通の森だ。只違うのは、明らかに生物の気配が濃厚。至るところに痕跡がある。小鳥なども相当いる。豊かということを雄弁に語るその森から突然。
猪と言うよりは魔物と言った方が適切なような巨大な猪が出てきたのだった。
ご覧頂きありがとうございました。会話ってたくさん書けるんですけど、なんか楽してる感じが…
またお楽しみ頂ければ幸いです。
ありがとうございました。