火の子
「アンタさえいなかったら」
その言葉が決定打だった。
次の日、小さなメモ帳に一言「ごめんなさい」と書いて、ここから居なくなることにした。
No.t427742753659
名前:キヤマ アカネ
性別:女
年齢:18
目を開けると神社の鳥居の前だった。
私は死んだはずだ…
しかし、手足は動くし目も口も普通通りだ…
見たこともない、真っ黒の鳥居をとりあえず潜ると長い参道。階段。周りは竹で覆われ、向こう側の様子を見ることは出来ないようだ。
階段を上がると、お社の前に1人の男が立っていた。
「お待ちしておりました。キヤマ様ですね?」
「…はい」
「私は担当のイサリビと申します。もうお分かりとは思いますが、あなたは亡くなりました。」
イサリビと名乗った男は20代後半くらいの見た目で背が高く、シュッとした顔立ちで鬼面を頭に付け、赤いきものを着ていた。
何者なんだろう?
でも良かった。
…ちゃんと死んでたんだ。
「はい」
私は静かに返事をした。
「私は閻魔大王の代わりにあなたの罪を審査し地獄のどこに流すかを決める役割を担っております。」
「…私、地獄なんですね。」
「…生を放棄した時点で地獄という判決が出ます。そこからどうなるかは判決次第ですが、基本的に覆ることはありません。」
仕組みはまだイマイチ分からないが地獄行きが決まったらしい。
「そうですよね」
「受け入れていらっしゃるみたいですね…。地獄にもまぁ色々ありますが説明は後ほどいたします。」
丁寧な喋りで業務的だ
これからどうするんだろう?
「ではこちらへ」
そう言うとお社の中に案内された。
中はこじんまりとしていて大きな鏡があるだけだ。
「鏡の前へ」
ゆっくりと前に進み鏡から2mくらいの距離をとった。イサリビは鏡の左側に座り、私は鏡とその男と対面する形になった。
自分を写す鏡
次第に鏡は色を変え、私の幼い頃を写し始めた。
「こ、これって?」
「走馬灯と人間が呼ぶものです。映像化し見せてくれるようになっています」
「…」
次々に写る私
そう、これが…存在の全てが
私の罪
火の粉でしか無かった私