At First.
高校の頃に文学部で書いていた小説です。
もう時効かなと思って、ここに載せてみることにしました。
拙い面が多々ありますが、少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
生物界の頂点を牛耳るのは、紛れも無く私達人類だ。
…然し、我が家の中においては、更にその上を行く者が存在するのである。
0…At First.《先ず初めに》
『 《先ず初めに》
私がこの日記を記そうと思ったのは、きっと偶然では無かった。
何か、大きな流れの中で意図的に組み込まれた、運命ないし宿命のようなものだったのではないかと思う。
日記の冒頭にこのようなことを書くのは、間違いで場違いのような気もする。
でも、きっと書いておかなければこれから先の物語が成立しないと思う。だから敢えて書こう。
この日記帳に日々の出来事を書いている期間中に、必ず何かが起きる。
しかも恐らく、その原因は私の娘が担うはずだ。
だからきっと、今この少しの期間だけでも日記をつけておかないと、私は今後の将来で後悔を抱えてしまうと思う。
何も起こっていない今、こんなことを書くのは、非常に下らない行為だと思う。馬鹿馬鹿しいことだ。
でも、それが巡り巡って、後に続くという妙な確信も併せ持っている。
追記しておくけれど、私は決して運命論者などではない。
ましてや新興宗教の勧誘者などでもありはしない。
ここに日記を記させて頂くのは、ただの平凡な、どこにでも居る専業主婦である。
そしてこれは、大衆に向けて発信する情報ではなく、私個人のためだけに存在する本であるという事実も、付け加えておこう。 』