表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/49

06

 11月になって、いつもと変わらない日々が続いて気付くとカレンダーは、あと数日で12月になろうとしていた。


 あれから変わった事というと嬉しい事に北斗(ホクト)さんが常連さんになった事。


 いつもの常連さんと違うのは食べに来てくれるのではなくて椎名(シイナ)さんが【happy(ハッピー)】の営業日の営業時間前に特別に昼食用のお弁当を取りに来る事。


 もちろん、お弁当は私が作ってます。


 他の人には内緒だけれど皆さん、うすうす気付いていても黙ってくれているようだ。


 本当に優しい人達ばかりだ。


 「それでも何故、特別に!?」と聞かれたら「頼まれたから!」と答えます。


 そもそもの経緯は椎名さんが迎えに来てから3日後の夜まで(サカノボ)ります。



 ◇◇◇



 その日も、いつもと変わらない1日が終わるハズだった。


 実玲(ミレイ)ちゃんは夢の中で私達も、そろそろ寝る準備をしている頃にインターホンが鳴った。


 知っている人は皆【happy】の方から来るし夜も遅かったので大輔さんが出る事に。


 桃花(モモカ)さんと話していると外から何やら騒がしい声が聞こえてきたので桃花さんと顔を見合わせて頷き私達も向かった。


 そこにいたのは土下座をした一人の男の人。



 「助けて下さい! どうかお願いします!」



 思う事は同じだったみたいで私達は思わず大輔さんを見てしまった。何したの!?


 ばつが悪かったのか目をそらす大輔さん。やっぱ何かしたの!?


 桃花さんは大輔さんの顔を見て瞬時に理解し、まずは男の人を立たせてから家の中で話を聞こうとした。


 それに待ったをかけた大輔さん。


 だけど結局、桃花さんに逆らえず嫌々ながらも家の中に入れる事に。


 私も、この笑顔には勝てません。


 だから本当に大輔さんは渋々だった。


 顔を上げた男の人は椎名さんだった。


 そして話の内容は「私が作る料理が美味しかったので、ぜひとも作ってほしい!」との事。


 土下座の理由はわからなかったけれど気に入ってくれたのは嬉しかったので、お礼を言って【happy】の事を宣伝もかねて話した。


 すると今度は「事情があって食べに来れない!」と返ってきた。


 そして「無理を承知で、お弁当を作ってほしい!」と懇願されてしまった。


 これは私の判断では決められないので大輔さんに任せる事に。


 口を開きかけた大輔さんを遮るようにタイミングよく電話が鳴った。


 電話に近かったこともあり私が出ると電話の相手は(リュウ)ちゃんだった。


 そして大輔さんに代わってから飲み物も出していなかった事を思い出して桃花さんに目で合図をしてキッチンに行った。


 そして戻ってくると何故か話が纏まっていた。何て言って大輔さんを説得したんだろうか?


 だからか、さらに機嫌が悪くなっていた大輔さん。やっぱ竜ちゃんは凄いなぁ〜。


 その後あれよあれよという間に決まっていった。


 もともと実玲ちゃんや【clover(クローバー)】の子供達で、お弁当が必要な子供達に作っていたから一人分増えても、そんなに負担にはならなかった。


 だけど、いくつか条件を出した。


 【happy】が空くまでに取りに来てもらうのもその一つだ。


 竜ちゃんに頼まれて特別に作るので周りには絶対に言わないで内緒にする事。


 好き嫌いしないで残さず食べる事。


 などなど。


 それらを聞いた椎名さんは、すぐに



 「その条件で宜しくお願いします! では早速、明日から宜しくお願いします!!」



 紙袋を置いてスキップをするような勢いで颯爽と帰っていった。


 紙袋の中には、お弁当箱が入っていた。断られるって微塵も思ってなかったんだろうなぁ〜。


 椎名さんって「よく分からない人だなぁ〜!?」と謎が深まった夜だった。


 絶対、佑有(ユウ)さんと仲良くなれそうな気がする。



 ◇◇◇



 次の日から本当に取りに来た椎名さん。作ってたんだけど半信半疑だったんだよねぇ〜。


 そして今日まで続いています。


 さっきも、いつものように大輔さんが実玲ちゃんを保育所に送ってて、いない時間帯に椎名さんが取りに来たところです。


 今の所、期限は決めてないけれど続いてるって事は本当に気に入ってくれてるんだろうなぁ〜。と思い始めたところです。じゃないと条件守らないよね!?


 お弁当を渡した後いつものように、お店を開ける準備をし始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ