05
前の話からの続きです。
だけど戻っても、いまだに睨み合っている二人。
実玲ちゃんは一方的に話しかけているだけだった。こちらも、いつも通り。実玲ちゃん人見知りしないからね。
そんな二人の前に朝食を置いているとインターホンが鳴った。
「海!」
「はいはい、わかりました。大輔さん後よろしくね〜」
大輔さんに後は頼んで、お客さんの所に。
ドアを開けると、そこにいたのは北斗さん程ではないけれど背が高くて眼鏡を掛けた爽やかだけど裏がありそうな人だった。
そう佑有さんみたいな人だった。って昨日から、よく驚かれるなぁ〜。なんでだろう? だけどカッコいい人は驚いても絵になるなぁ〜。眼福、眼福。
「おはようございます! 朝…………」
自分の世界に入っていると声が途中で聞こえなくなった。あれ!?
男の人を見ると目を見開いたまま固まっていた。どうしたんだろう!?
眺めていると目の前に四角くて小さな白い紙を差し出して
「し、し椎名し、し柊です」
受け取ると、それは名刺だった。
そこには『椎名柊』とだけ書かれていた。何で自分の名前を噛むんだろう? 大丈夫なんだろうか、この人??
顔に出ていたのか、もう一回きちんと自己紹介をしてくれた。どうやら北斗さんの秘書らしい。
ついでに私も自己紹介をした。もちろん噛んでないよ。
北斗さん達は、まだ食べている頃だと思い「上がって待っていますか?」と聞いている途中に再び驚き固まった椎名さん。何で!? 変な事、言った!?
少し様子を見ていると視線に気づいたのか、すぐに復活したようだ。
そして北斗さん達がいるキッチンに話しながら向かった。
どうやら椎名さんは、北斗さん達が朝早くに起きて朝食を食べているのを信じていないようだ。信じられなくても実際、食べてるんだよ!? だから自分の目で確かめてもらいましょう。
椎名さんも朝は食べない人なのか聞いてみると、どうやら朝は必ず愛妻さんと一緒に食べるそうだ。
だから、お腹一杯だそうだ。
そこから嫁さん自慢が始まった。お昼も同じ弁当なんだそうだ。
けれど、すぐにキッチンに着いた。ふぅ〜助かったぁ〜。
私は、もはや胸一杯だった。
思っていた通り北斗さん達は、まだ食べていた。
その光景を見た椎名さんは頬を抓っていた。夢じゃないからねぇ〜。
お互いに、いないものとして完全に無視していた。
けれど空気がピリピリしていた。
そんな中、子供達は普通に食べていた。君達は将来、大物になれるよ!?
着替えを持ってきていたみたいで北斗さんに渡していた。
どうやら食べ終わってから着替えるみたいだ。
椎名さんが待っている間に「何か飲みますか?」と聞いたら「では野菜ジュースを御願い致します!」と敬語で、しかも即答されてしまった。何で野菜ジュースが、あるって知ってるんだろう?
椎名さんの方が年上っぽいのに。って、あれ!? さっきは普通に話していたよね!? 何でだろう?
野菜ジュースを取りに行っている間に桃花さんが起きてきたみたいで空気が幾分か軽くなっていた。
それから食べ終わった北斗さん達は着替えて名残惜しそうだったけれど椎名さんに引きずられるようにして帰っていった。
外まで見送ってから戻っると何故か桃花さんは笑っていた。
そんな桃花さんに笑われて居心地が悪かったのか大輔さんは頭をかきながらキッチンを出ていった。
桃花さんに聞いても笑っているだけだ。
そして「気にしなくていいわよ!? すぐに忘れて、けろっとしているから」と言うと「この話しは、これで終わり」と一人で完結してしまった。
こうなった桃花さんは何があっても教えてくれない。
それに桃花さんが言うなら「大丈夫!」と判断して私は酔っぱらって泊まった人達を起こして朝食を出したりする事にした。
途中、大輔さんが戻ってきたけれど確かに何事もなかったかのように、けろっとしていた。
そして一人一人起こしていった。
いつものように悪友達は蹴りながら起こしていた。なんか、いつもより荒っぽい感じがするんですけど……。
蹴られて起こされた仁さんも大輔さんに文句を言っていたけれどテーブルの上の朝食を見ると、すぐに機嫌が良くなった。
そんなこんなで、その日は後片付けなどで終わった。