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03

 前の話からの続きです。

 話の邪魔にならないように、いつもの(ウミ)ちゃん特製野菜ジュースとお手拭きを(リュウ)ちゃんの前に置くと、それに気付いた竜ちゃんが笑顔で



 「海ちゃん、いつもありがとうのぅ〜」



 「こちらこそ忙しい

  −−ボトッ−−

  ん!?」



 何か落ちたような音がした。何の音!?


 音がした方を向くと佑有(ユウ)さんと知らない父子(オヤコ)がいた。また真佐(マサ)さんに変わってるよ。


 5歳位の男の子と20歳位の男の人が固まったままの体勢で立っていた。


 『世間で言うところの背が高くてカッコいいと言われる人』と『お父さんに似て将来は絶対もてるだろうな〜』と思われる父子だった。100人いたら98人の女の人のハートを奪っていっちゃうんだろうなぁ〜。


 足元には紙袋が落ちていた。さっきの音は、あれか……にしても落としても大丈夫なのかな!?


 様子を見ていると拾う気配がないのか佑有さんが変わりに拾っていた。


 いまだ固まったままの父子。本当に大丈夫なんだろうか!?


 佑有さんにも、いつもの海ちゃん特製野菜ジュースとお手拭きを置いていると突然----ちなみに真佐さんは海ちゃん特製フルーツジュースだ。


 ここで間違えると大変な事になるそうだ。私は間違えた事ないからどうなるか分からないんだけどね。


 「……マ、ママー!!」と言う声が聞こえてきた。


 振り向くと目の前には先程の男の子が何かを堪えるような顔をしながら立っていた。


 ビックリしたけれど竜ちゃんには「お父さんと二人暮らし」と聞いていたので慌てる事なく笑顔で手を広げると、その男の子は飛び込んできた。


 たまに【clover(クローバー)】の子達が母親が恋しくなったりで甘えたくなったりで『お母さん----未来(ミク)さんの事----』の取り合いになった時などには助っ人として、お手伝いに行っていた。


 その時に、ややこしくならないように「ママ」と呼ばれていたからか「ママ」と呼ばれてもビックリしても抵抗はなかった。


 そして震えながら“ギュゥーーー!!”と抱き締めている男の子を優しく包み込みながら



 「こんばんは。お姉ちゃんは『海』って言います。よかったら『海ちゃん』って呼んでね!?」



 ゆっくり笑顔で話しかけると男の子は抱き締めたまま顔を上げて



 「マ……う、みちゃん?」



 「うん。でも『ママ』でも良いよ!?」



 「……マ、ママー!!」



 少しすると落ち着いてきたのか



 「……ぼ、ぼくの名前は五十嵐(イガラシ)星空(ソラ)です! 4才です! よろしくおねがいします!」



 「『星空君』って言うんだね!? 良い名前だね。それに挨拶できて、お利口さんだね〜」



 星空君の頭を撫でると最初はビックリしていたけれど、されるがままの状態だった。


 少し照れくさいのか顔を赤くしながらも嬉しそうに笑顔を見せてくれた。


 撫でていると突然『グゥーーー!!』という音ととも、さらに顔を真っ赤にする星空君。


 時間も時間なので、すっかり忘れていたけれど星空君と一緒にいた男の人に聞こうと思って横を見たらいなかった。あれ!? 星空君の近くにいない!? どこ!?


 すると、いまだ入り口で固まったまま立っていた。なぜ!?



 「えっと……

 「北斗(ホクト)君!!」」



 名前が分からなくて困っていると竜ちゃんが変わりに呼んでくれた。


 だけど、いつもの悪い癖が出たのか笑顔なんだけど無意識に有無を言わせない雰囲気を(カモ)し出していた。あちゃー北斗さん? 顔色悪くなっちゃってるし違った意味で固まっちゃったよ!? こういう時は



 「えっと……北斗さん? こちらに、どうぞ」


 言いながら星空君の横を示すと次の瞬間には、もう座っていた。速っ!? 瞬間移動!?


 それから食事の事を聞いたら「日頃も、こんな時間になる時があるから気にしないで」との事。


 星空君に聞いたら「食べるー」との事。


 なので他の人達にも聞いたら同じく「食べる」との事。


 だったら佑有(ユウ)さんも呼んでもらい、その間に簡単な夕食を作った。


 星空君は、ずっーとヒヨコみたいに私から離れなかった。


 五人分作って持って行くと、すでに佑有さんも座っていた。


 机の上に並べて置いていると北斗さんと星空君の顔が、ひきつっている。これは、もしかして!?


 二人の視線の先にはサラダに入っている人参。


 先ほど「アレルギーは無い」と聞いたので、たんなる好き嫌いだと判断した。


 見なかった事にして「何を飲みますか?」と尋ねると同時に「フルーツジュース」と返事が返ってきた。


 どうやら好き嫌いが同じようだ。


 始めは人参を避けながら食べていたけれど、どうにか人参も食べてもらう事に成功。残さず美味しく食べてくれました。


 それから皆と他愛のない話をしていると、いつの間にか実玲ちゃんが竜ちゃんに(モタ)れ掛かるようにして寝ていた。ありゃ〜寝ちゃったかぁ〜。もう、こんな時間だからなぁ〜。


 竜ちゃんに謝りながら寝ていた大輔(ダイスケ)さんを起こした。


 すると横から殺気が漂ってきた。怖っ!? 自分に向けられてないのに星空君の方、向けない……。


 その殺気は大輔さんに向けられているのに当の本人は何事もないように、いつも通り実玲ちゃんを抱っこして部屋に連れて行った。あれは体は起きてるけど頭は寝てるね。


 大輔さんが、いなくなっても空気は重いままだった。誰でもいいから、この空気何とかして!? お願い!!


 その空気を一掃したのは実玲ちゃんのように私に凭れ掛かるようにして眠る星空君だった。時間も時間だし今日……いや、もう昨日、運動会で頑張ったんだから、そりゃ〜眠いよね〜。


 周りを見ると、あちこちで何人か酔いつぶれて寝ていた。


 それを見た私は『これから皆さんは、この後どうするのだろう!?』と思い聞いてみる事に。


 竜ちゃんは、そのまま泊まろうとしてたけれど「今日は午前中に大事な会議があります!」と言った佑有さんに連れられて真佐さんと三人で帰っていった。また、いつでも止まりに来て下さいネ〜。


 北斗さん達は悩んでいたみたいだけれど竜ちゃんの「星空君の為にも遠慮はするな!」で泊まる事に決定した。


 竜ちゃん達をお見送りしてから用意していた客間に北斗さん達を案内した。

トイレの場所も教えたり「何時頃に起きるのか?」なども聞いて部屋を出た。


 その後、酔いつぶれて寝ている人に毛布を掛けたり朝の支度をしたり軽くシャワーをしてから私も寝た。ふぁ〜おやすみなさ〜い……。


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