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10月の第3土曜日。
今日は喫茶happyは、お休み。
ちなみに定休日はカレンダー通りです。
今日は実玲ちゃんのお誕生日会。
休みの日は普段9時過ぎまで寝てるけど只今の時刻午前8時過ぎ。
今日は朝から【clover】の上の子達----16歳〜18歳----も、お手伝いに来てくれるのです。集合は10時からなんだけど別の頼まれ事があったから……ん〜先週も早く起きたんだよね〜。
実は実玲ちゃんの誕生日は先週なんだけれど運動会などで今日になった。ふぁ〜眠い。
実玲ちゃんも今日で4歳だ。
場所は、お店兼家の家の方でします。
お店の奥は2階建ての住居になってて、私も1階の1部屋を借りてます。
だけど家賃は0円なのです。何故か生活費を全く受け取ってくれなくて……。
だから体の弱い桃花さんに変わって炊事・洗濯を引き受けているのですが逆に感謝されてます。お店より家の方が広いから大変だったんだろうなぁ〜。
時間がある時には大輔さんと料理の練習もしています。それが一番喜ばれているかもしれませんが……。
その頼まれ事と言うのが神崎のおじいちゃんこと【happy】の常連客の一人でもある神崎竜二さんからの「知り合いの運動会があって応援に行くので、お弁当を作ってほしい」との事だった。
神ざ……あっ!? 竜ちゃん----と呼ばないと返事をしてくれない----には現在進行形で、いろいろとお世話になってるから少しでも恩返しがしたかったから。
だけど最初は断った。だって竜ちゃんは私の料理を知ってるから良いんだけど相手の人は知らないから、もし口に合わなかったら……ね!? それに家の人が作るかもしれないし!? と思って----。
それでも、どうしてもと懇願されて結局、引き受ける事になりました。
最終的には「お父さんと二人暮らしで家庭の味を食べた事がない」の一言で決まったのが数日前。
もうじき待ち合わせの時間。
----と言っても竜ちゃんの秘書の槇野さんに渡すだけ。今日は、どっちの槇野さんが来るのかな? 兄の真佐さんかな? 弟の佑有さんかな? 双子だから見た目は、そっくりなんだけど性格が違うんだよね。
◇◇◇
只今の時刻午後7時過ぎ。
お誕生日会が始まりました。
あの後、時間通りに佑有さんが来て、お弁当を渡しました。
そして、そのまま誕生日会の準備をしていると大輔さん達が起きてきたり【clover】の上の子達も飾付けに来てくれたりと、いろいろあった。ちなみに実玲ちゃんは【clover】の下の子達----16歳まで----と遊んでいていなかったよ。
場所が違っても、お祝いは皆でするのが柚木家のきまりだ。【clover】の子供達も柚木家の一員だよ。
それに楽しい事が大好きな未来さんが月に一回は必ずパーティーをしているから皆も慣れたもので手際がいい。
遊びながらだったけれど役割分担が、きちんと出来ていた。
皆に祝ってもらって、ずっと嬉しそうな実玲ちゃん。まぁ一番嬉しかったのは数日前まで入院してた桃花さんが退院した事かな!?
◇◇◇
そして10時半過ぎ。
お誕生日会が、いつの間にやら大人達の宴会に変わっていた頃。【clover】の子達や桃花さんは、一先ず先に御開き。
多めに作っていたハズの料理が、いつの間にか足りなくなってきたので残っていた材利で料理していると
「うみちゃん……りゅうちゃん……こないの……!?」
実玲ちゃんが目を擦りながら聞いてきた。あぁ〜もう、そんな時間かぁ〜。いつもは、もう夢の中だからなぁ〜。
「竜ちゃん、遅いねぇ〜。きっと今こちらに向かってると思うよ!?」
今までは、どんなに遅くても9時までには連絡があった。何かあったのかな?
話している間にも寝そうな実玲ちゃん。いや、すでに半分以上は寝てるだろうなぁ〜。
「寝る?」と聞いても「やだ!」って返ってきそうだし『どうしたものか??』と考えていると
−−ガラガラガラ−−
「こんばんは! 夜分遅くに、お邪魔します!」
あまり大きくないんだけれど、よく通る声が聞こえてきた。
この声は真佐さんだ。
私が返事をするより先に
「あっ!? りゅうちゃんだぁー!!」
さっきまで眠そうにしていたのが嘘のように店の方にかけ出していた。
実玲ちゃん達を待ちながら料理を運んでいると
「海ちゃん、ありがとうー。いつでも家においでねー。待ってるよー」
「仁さん、ありがとうございます」
「仁!? お前は何を言っているんだ!? それに海、お前も相手にするな。調子にのるからな!? そもそも、お前には伊織って言う立派な奥さんがいるだろ!?」
「その伊織が海ちゃんを気に入ってるんだよ!!」
「知るか!? それに海は、どこにもやらん!!」
二人ともアルコールが入ると、いつもこんな感じになるので適当にあしらう。
ちなみに仁さんこと香川仁さんと大輔さんは幼稚園からの悪友です。
「りゅうちゃーん! こっちだよ〜」
目尻が下がって優しい顔の竜ちゃんを引っ張りながら戻ってきた笑顔の実玲ちゃん。まるで祖父と孫のようだ。
「こんばんは。いつもありがとうございます」
「いやいやワシも実玲ちゃんに会いたかったからのぅ〜。それに今朝は急だったのに、ありがとうな。いつも通り美味かったぞ。二人とも喜んで食べてたぞ」
「それは良かったです」
「それでなんだがな。急で悪いんだが、お礼を言いたいと言って一緒に来てるんだが大丈夫かのぅ〜」
「何も御構いできませんが……」
「それでも構わないよ」
「だったら、どうぞ」
「おい!!」
「少々お待ち下さい!」
竜ちゃんが真佐さんを呼んだ。
そして返事をした真佐さんは、すぐに出ていった。
その間、竜ちゃんは実玲ちゃんに任せる事にした。
そう言えば前まで槇野ツインズには会うたんびに入れ替わったりして『今は誰でしょう!?』って試されていた。今までは竜ちゃん以外には当てられた事がなかったからとかで正直、鬱陶しかったなぁ〜。
飲み物などを用意して戻ると竜ちゃんの横に実玲ちゃんが座っていた。すでに大輔さん達は、できあがっているようだ。