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Run away!4

風邪薬

作者: 貴幸

息抜きに時雪。

私はバカだ。

バカだから風邪を引いてても学校にきてしまうのだ。

熱はある、でも今日は帰りに時人とスタバに行くから休みたくなんかない!!!


「私は元気…私は元気…私は元気…」


「アレ?雪おはよ〜!」


振り向くとカナがいた。

やばい、ばれないようにしなきゃ。


「おはよ、カナ。」


「雪、なんか体調悪そうだけど大丈夫?」


ばれたあああああ!!!

冷や汗がたらたらと流れ出す。

ただでさえなんとなく寒いというのに。


「…そ、そうかなあ?」


「保健室いったら?」


「いや、別に…あ、寝不足なのかも、うん!」


やばい、立ってるだけでクラクラする。

せめて人前で倒れたくはない。


「アレ?雪ちゃんだ、おはよう!」


聞き慣れた声。

なんて、今日は最悪な日だ。


「と、時人…」


誤魔化せない気がする。


「おはよう雪ちゃん、珍しいね?朝に会えるなんて。」


時人はすごく無邪気に笑う。

行くか悩んで出る時間が遅くなったのが理由だ。


「うん、おはよう!あ、今日放課後楽しみにしてるから!」


「うん、僕も楽しみ!」


カナは何か察したかのような顔をする。

ごめん、今日だけは…!


「私課題やらなきゃいけないから行くね〜」


そして気遣いを忘れない…

二人きりになってしまった。

カナと一緒に行けばよかった!

でも、時人とせっかく会えたから…


「じゃあ、私も行くね…」


「雪ちゃん待って。」


手を掴まれる。

唐突で心臓が跳ね上がる。


「どうしたの…?」


「雪ちゃんが行くのはこっちじゃない?」


ニコリと笑う。

指差したのは二年の教室。

いやいや、…いやいや!

私はすぐに気づいた。

二年の教室の方には、保健室がある!!

気づいてる、時人は気付いてる!!


「なんでよ、はなして。」


「ダメ…スタバはいつでも行けるでしょ…」


今日じゃないと嫌だ。

今日が良いんだ。


「いつでも行けたって、今日がいいの!」


「雪ちゃんと明日会えなくなる方が僕は嫌だよ。」


抵抗する手が止まる。

それと同時に熱が上がってきた。


「う、うぐぅ…」


「歩ける?相当辛いんでしょ?一緒に行こう。」


そのまま腰へと手をまわされた。

ぴったりとくっつく距離に尚更ドキドキする。


「時人、歩ける、自分で歩けるから…っ」


だんだん足に力が入らなくなってきた。

明らかにこれの原因は時人と近づいてるからだろう。


「だ、ダメでしょ、なんならおんぶ「それは無理!」


こんな学校にいるのにそんな恥ずかしいことなんてできない。


「じゃあ、あともうちょっとだからがんばって。」


いつもより何倍も添える手があたたかく感じた。












「先生お邪魔虫〜」


おじゃましますじゃないの…


「アレ?いない。」


保健室に入るも誰もいない。


「朝だし職員会議に行ってるんじゃ…」


時人は振り向きしまったという顔をし始める。

気づけよバカ。


「あ、と、とりあえずベッド寝て…あ、熱、熱はからなきゃ!」


「時人、落ち着こう。」


「落ち着けない!」



体温計を探しているのか、そこらへんをオロオロ見渡してる。

ちなみに体温計は私の目の前にある。

なんか、見てるのが可愛い。


「あああこっちかよ!!!」


一つとり私の方へとくる。


「はい、雪ちゃんボタン外して?」


「自分でできるわ。」


言うとは思ってたけど。

イタズラに手渡される前にボタンを開ける。


「わっ!本気で言ってないから!!」


そう言いながら後ずさり始める。

なんだ、今日はえらく可愛く感じるな。


「ほら、さして…」


「何処に!?」


まんざらでもない様子だ。

私は時人の手を掴みわきの方へ移動させた。


「ちょ、ちょっと、雪ちゃん、」


自然と距離が近くなる。


「ご、ごめん!」


手をはなしわきに体温計を自分でさす。

熱があって頭がおかしいのかもしれない。


「僕先生見てくるね?雪ちゃんのこと話したら来てくれるかもしれないし。」


「あっ…」


行っちゃうんだろうか。

…放課後一緒に行けないぶん、いたいのに。


「…」


時人は少し顔を染めながら隣に座って来た。


「…先生が来るまで、ね?」


素直に嬉しい。

学校で、朝に時人といれるのは初めてだ。

ピピッと音がなり、体温がはかり終わった。


「38°…」


「雪ちゃん、寝なきゃ。」


肩を掴まれそのまま押し倒される。

そうゆう意味はないとわかっててもドキドキしてしまう。


「っ…ズルイね、今の時間…」


時人はそのままベッドにのってくる。


「…え?」


待って、今ここでするの?

先生がきちゃうかもしれないのに??


「病人にはしないよ…」


そっとキスをされた。


「っぁ…」


どんどん体が熱くなっていく。

もっと欲しい。


頬に手を添えたとこで、チャイムが鳴った。


「…先生来ちゃうね。」


私でもわかるくらい恥ずかしそうにベッドからおりはじめる。


「熱、二度くらい上がってそう…」


時人はそのままベッドに座る。

先生がきても怪しまれないといいなあ。


「明日治ったらスタバ行こうね。」


頭を撫でられる。

気持ちいい。


「うん、治すね。」


「風邪が治る薬あげる。」


首に手を添えられそっと口が重なる。

力の抜けた舌がそのまま口の中へと入ってきた。



…ガチャッとドアがあく音が聞こえる。

口が離された。

時人がカーテンをよけ先生の方へといった。


「じゃ、雪ちゃんお大事に!!」


「うん、ありがと。」


そう言うと時人はさっさと帰ってしまった。

先生が何か言ってるのが全く耳に入ってこない。


「……死ぬ。」


真っ赤になってるのは風邪のせいって言い訳つくだろうか。


…いつもより特別なひと時となった。

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