ぺトラ出現
ぺトラとの戦闘シーンは省いて貰いました。大変申し訳ございません。
その後、椅子に座り二杯目のカフェオレを飲む。はぁ、やっぱりおいしい。今度、材料買って自分で作ろう。
俺がカフェオレを楽しんでるとアリシアさんが話しかけてきた。
「実は、顔見てないの」
「え?」
「顔、見てないんだって…」
「そ、そうなんですか…よかったです。しかし、何で嘘をついたんですか?」
「いや…、ねぇ…」
アリシアさんが言いたいことはわかる。口では、説明しにくいけれども…。
「では、俺はこれで失礼します」
俺は、椅子から立ち上がった。すると、アリシアさんも立ち上がった。
「もう、行くの?」
「はい。依頼は達成しましたし、それに長居するのも迷惑かと…」
「まあ、そうだけど……ありがとう。助かった」
「いえいえ。依頼ですから。あっ、紙貰えますか?」
「え? あ、依頼達成の紙ね。ちょっと、待ってて」
「俺は、外に出てますから!」
「りょうか~い」
俺は、扉を開けた。オレンジ色の光が差し込む。思わず、目を瞑る。
しばらくして、目を開け数歩、歩くと気配がした。左へ、急いで向くとそこには人間の大人ぐらいの大きさの魔物がいた。
他の魔物とは違う気配を纏っていて、凛としている。こちらを、綺麗な目で見つめている。
『貴様か? 我らの同胞を倒したのは?』
声が聞こえた。青年の用な声だ。その声は、目の前の魔物からした。
魔物が、声を発するのは知恵を持っている証拠だ。知恵を持つ魔物は基本的ランクが高い。とすると、依頼に書いてあったぺトラとかいう魔物だろう。
しかし、本当に会うとは思ってもみなかった。
「お前、ぺトラか?」
『それは、貴様ら人間が付けた名だろう。私の名はヘイル。おかしな名だがな』
「そっか、ヘイル。何で、森から出てきた。」
『何故?言ったであろう? 同胞を倒したのは貴様か?』
「同胞?…ああ、魔物のことか?」
『魔物…よくない響きだが、まぁいいだろう。そうだ、貴様の言う魔物だ』
「倒したぜ。あそこに、転がってるだろ?」
俺は、さっき倒した魔物の死骸たちを指で指した。
『!?……そうか、貴様が。ならば、貴様も同じ道を歩むがいいっ!』
「どこぞの、ボスキャラだ? お前は?」
俺は、脚に力をいれ、短剣を抜いた。
-アリシアサイド-
私は依頼達成の紙を持ち、扉を開けた。
そこには、異様な光景があった。私は言葉を失った。
「いいな? もう、森から出るなよ?人間を襲わず穏便に暮らすんだ。お前の同胞にも言っておけ」
『りょ、了解した。だから、足を退けてくれ…』
「嫌だ(ニコッ」
Sランク級と言われるぺトラの頭を踏みつけ、短剣をぺトラの喉元に置いて会話している少年がいた。
その少年は、銀髪で蒼く透き通っている瞳を持っていた。誰の目をも引き付ける魅力があった。
一瞬、誰か解らなかったけど、服装や持っている短剣で誰か解った。
「ウィル君!」
そう、ウィル君だ。さっきまで一緒にカフェオレを飲んでいた少年だ。
少年はこちらを向くと、明らかにげっ!という顔をしてフードを被った。
その後、ぺトラに視線を戻して何か話しかけて、こちらに走ってきた。
「見ましたか?顔…」
「うん!バッチリ♪」
「はぁ、仕方が無いですね…」
ウィル君は私の額に手を近づけた。何をするかと思いきや、指をでこピンの形にして…、
バチン
「! つぅぅぅっ。」
結構痛かった。でも、その後痛みが消える代わりに、視界が真っ白になった…。
「あれ…?…誰?」
私が目を開けると、フードを被った知らない少年が目の前にいた……。
-アリシアサイド・アウト-