ノーラまでの護衛 前編
新キャラ登場!
一時間後、俺は村の入り口に来ていた。
いるのは、初期装備より性能が良さそうな装備をした冒険者が三人いた。この三人が、行商人の護衛をする残りの人たちだろう。近づくと、その三人がこちらを向いた。
「お前か? もう一人ってのは?」
「……小さい」
「確かに、小さいわね」
「……うるさい(小声)…で、一緒にこの商人さんの護衛を勤める冒険者さんでいいんだよね?」
「そうだけど?…お前、本当に冒険者か?」
「…自己紹介しようか?」
「おう。俺は、ハイネス。宜しくな」
「……シイナ」
「私は、カリス。宜しくね」
「俺は、ウィル。今日、冒険者になったんだ。宜しく」
俺は、少し怒りを覚えながら挨拶した。だって、なんかムカつくから!
「今日、なったばかりか。それなら、納得」
「そうね」
「………」
何故か、納得された。何か、馬鹿にされてる気分。
「おう! そろったか?それじゃあ、行くぞ!」
「了解」
何故か、偉そうな商人。
商人は、荷馬車の空いてるところに乗れと言ってきた。馬は、二頭。五人と荷物を乗せて引けるなんて、そうとう馬力強いんだろうな。
「それでさ。ウィルだっけ? 何で、冒険者になった?」
「へっ? 何故って?」
「だって、お前見りゃあ、八歳ぐらいじゃねえ? フード、被ってるからあまり判らねえけど…」
「まあ、そうだけど。……旅がしたい。それだけの理由だよ」
「それだけの理由で冒険者になったの?……命、亡くすかも知れないのに?」
「うん!…それだけ、この世界が面白い。興味がある。魅了される」
「………? そんなに?」
「うん!」
俺は、元気よく頷いた。
この世界が素敵で不思議。俺が、転生した理由も知りたい。ただ、それだけの理由。
「そういや、お前らって知り合いなのか?」
俺は、話題を変えた。今、思ったが俺って話し方ばらばらだよな?
「そうだなぁ。パーティだ」
「そうね。私達、村のギルドで知り合った。それから、一緒だわ」
「……一緒」
「ふーん」
どうやら、知り合いらしい。
「にしても、おかしいな。村の奴ら全員、会った事あるからお前みたいな奴、忘れないけど…」
そりゃそうだ、昨日まで一歩も森の外には出てなかったから…。
ハイネスの奴、村の全員に会った事あるんだ。百人ぐらい人いんじゃね?
「そういえば、三人のランクは?」
また、俺は話題を変えた。ランクは、気になるから…しょうがない!
「俺は、Dランク」
「私も、Dよ」
「………Eランク」
はーっ、皆一人前かぁ。そうだよねぇ。俺も、ランク上げがんばろっ!
「ウィルは、Fだよな?」
「うん」
「………武具は?」
「シイナも気になるか? なぁ、ウィル。お前、武具は?」
「えっ?」
「そうよね。昨日なったのに、昨日の内に買おうと思わなかったの?武器も持って無さそうだし」
「…………バカ?」
また、バカ扱い。うるさいわ! 知ってるし、そんな事! 余計なお世話だ!
「……邪魔だから。かな?」
「邪魔って、はぁ」
うるせー! もういいさ! 君達には解らないさ! 俺の事なんか!
「冒険者さんよ。ちょっと、いいか?」
急に、商人さんが話しかけてきた。何の用だろう?
「ちょっと、今後についてだが…。一人、来てくれ」
「俺が行こう」
ハイネスが名乗り出て、商人の所へ向かった。
村から、ノーラまで三日はかかる。もう村は見えないが、三分の一にも達して無いだろう。それだけ、あの村と森は辺境の土地だ。
だけど、村の近辺にはまた村がある。それでも、一日半はかかる。俺が、町と言ったからあのギルド長はノーラの事を言ったのだろう。まあ、他の村の事を言われても俺はノーラを選んだだろう。せっかくだ、旅をするなら王都まで行かないとね。
後で、聞いた話だがノーラは王都じゃないらしい。小国、国と言われているが治めているのは貴族なのだ。その貴族が勝手にノーラ小国と名乗っているらしい。ノーラは、王都までの玄関口といわれている。
俺が要らぬ解説をしている間に、話が終わりハイネスが帰ってきた。
「………どう?」
「日が傾き始めたら、野営の準備だそうだ」
「解ったわ。夜の、見張りはどうする?」
「今晩は、俺がやる」
「了解。任せるわ、ハイネス」
何故か、勝手に話が進む。置いてきぼりの俺である。
たしか、今日は月が綺麗な日だったよな?………って、何狼が考えてそうなこと考えてるんだ?!…そういや、狼か俺。
夜になった。食事が出されたが、最近生肉しか食ってないので舌がおかしい。でも、おいしい。やっぱり、人間だった頃の感覚は残ってる。よかった。
寝る時間になり寝た。ハイネスが見張り役だ。苦労をかけます。
夜中、目が覚めた。遠くで狼の遠吠えが聞こえた。
だけど、これは純粋な狼じゃない……とすると、魔物だ!少しずつ、こちらに向かってくる。気配でわかる。
こんな時、探知スキルがあれば!と思うがそうは行かない。俺の目で確認できる程に近づいた。ハイネスも気づいたようだ。剣に手を添えている。
「起きろっ!!ブルウルフだ!」
ブルウルフは、名前の通り猪みたいな狼だ。ランクは、D。姿は普通の狼。だが、好戦的で気が荒い。直線的に走ったら、自転車の速度を超すだろう。まさに、猪。
だけど、この魔物の厄介な所は突進してきても、猪は止まることが出来ずに何かにぶつかるまで走る。が、ブルウルフは止まることが出来るので、かわしたと思えば後ろから攻撃される。非常に厄介だ……多分。
「ブルウルフね。厄介だわ」
「…………めんどくさい」
やっぱり、厄介だそうだ。
魔物登場! 因みにこの魔物、自分で考えました。変じゃないといいですけど。
次回は、「ノーラまでの護衛 後編」です。 感想待ってます!お気に入り登録もお願いします!