彼女との約束
靄のかかったような予感があると言われた。
そろそろ終わりが近いのかもしれないと二人ともが言った。
仕方のないことだ。
この世界ではすべてが終わった後に再生される。
今度はどう始まるのか。
彼女は笑っていたが、私はうまく笑えなかった。
私ももう五回目になるが、この生命を今までの中で一番気に入っていた。
彼女の事も気に入っていたし、彼女と構築したこの関係も気に入っていた。
彼女は私の表情を見て、満足そうに尻尾を振った。
「次はつがいになれる生命として生まれてくるよ」
選べるものでもないのに、彼女は笑顔だった。
「選べない、というのはどうも違うようだよ」
7回の生まれ変わりを経験している彼女は、私とは考えが違うようだった。
「ただ、私は“完成形”に近付いているようだから、次は少しズレているかもしれない」
彼女の言う“完成形”が何を指しているのか、それはまだ私にはわからなかった。彼女は「気取られないように」それを最後まで教えてはくれなかった。
「また会おう」
彼女が伸ばした手をそっと握り返した。
決意に震えるその手の感触が、今も思い返される。
まずはテストも兼ねて、初投稿作品です。
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