表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/32

揺り籠から墓場まで、そしての先までも~狂った親衛隊の一人~

一人の画家が死に、その画家の片割れであった女も死んだ。


その日を境に、親衛隊の4人は狂った。


画家が生きていれば、4人は狂わなかっただろう。(そのくらい画家に依存していた)


女が生きていれば、狂う度合いはもっと少なかったかもしれない。(4人は女のことを殺したいくらい邪魔に思っていたが、同じくらい、画家の魂の片割れである女のことを認めていたのだ)


人ではなくなってしまった彼ら4人を、時に笑い、時に悲しみ、時に怒りながらでも受け入れてくれた二人。


画家が自分たちよりも早く死んでしまうことは分かっていた。


彼は脆弱な人のままであったから。


どんどん老い、細くなっていく画家がいつか消えてしまいそうで毎日が怖かった。


それをいさめてくれる女がいたおかげで何とかその日を生きていくことができた有様だ。


画家の死期がもう間近であることは、誰の目にも明らかであったが、その寿命を延ばそうと。自分たちと同じ人体改造を受けてもらおうとは不思議と思わなかった。


ただあるがまま、その生を謳歌してもらいたいという気持ちのほうが強かったから。


でも、まさか女まで死んでしまうとは思わなかった。


彼女は自分達と一緒にいてくれると、彼女がいわいる失敗作であり、力は親衛隊と同程度にあったことから欠陥はおそらく寿命のほうにあったであろうということを都合よく忘れて思っていたのだ。


もはや画家せいめいせんストッパーが居なくなったことによって、4人は一気に崩壊した。


4人には素手で巨大な岩を砕くほどの力があった。


どんな宮廷魔導師であってもかなわないほどの魔力があった。


正気を失った4人はとにかく胸の内に渦巻くナニカを発散させたくて暴れた。


山を消し飛ばし、湖を干上がらせ、野原を草木一本生えない荒野へと変える。


そのうち一人は狂気を虚無に変え、暴れるよりも画家と女の墓を守ることに専念したが、そこにあるものはただの抜けがらだと知っている3人は墓にはゆかずただ二人のいない世界を壊そうとした。


こんな世界に価値などないと、そう本気で思っていたから。


そんな4人を何度も討伐しに来た人間がいた。集団が来た。最終的には国まで動いたが、そのどれもが4人にてを下すことはできなかった。


やがて4人は各地に散り、人々はいつ滅ぼされるかわからない恐怖に怯える日々が続く。


そして100年が過ぎたころ、一人の少女が拡声効果のある魔道具を片手に親衛隊の一人、さまざまな毒や呪いを得意とする男のいる地域にやってきた。


「あー、あー、聞こえてるー?


そこの一息吸い入れただけで死んじまうような濃度の猛毒ガスの地獄を作り出したあげくその奥深くに引きこもり不毛の大地を拡大し続けるアホ、こと親衛隊の壷蟲使いにつぐ!


この可愛い元モデル現少女っぽい私が、正直説明するのもめんどくさい行程と過程を通りすぎぶっちゃけここに来るのすら億劫なのを我慢して、生前の記憶と経験をひっさげ転生してきてあげたぞー。


転生するとき男になっちゃったけど。


まぁ見た目は女の子、つまり男の娘ってやつだね!


でも気にすんな、私にとってもあんたにとっても些細なことだから!


で、だ。


聡いあんたのことだから多分私が言いたいこととここへ来た理由については何となく察せてることだろう!


多分そのとーり!


この私が半身たる彼をおいて生まれてくるわけがない!


今回もきっちり彼とセットで生まれてきましたよー。


おまけに私が男だから彼はなんと女の子だ!


その意味がわかるか?


わかるな!?


つまりあんたたちは男だから結婚もできるってことだ!


よーし、余すことなくその辺りが理解できたなら何時までもトチ狂ってないでさっさと出てきなさーい!


そんでもってあのアトリエへ帰るよ。


まったく、後追いも出来ないヘタレどもめ。


・・・まだうじうじしてるっぽいな?


いーか、よく聞きな。前回は私があんたらを彼に引き合わせたんだ。


一緒に生まれて一緒に死んでもっかい一緒に生まれ変わってきたし?


あ、もちろんこれ自慢ね。


思う存分羨ましがってくれていいよ。


だから今回も、責任もってあんたたちを彼に会わせてあげる。


だからさっさと正気に戻って。


トチ狂っていた時のことを存分に後悔したら会いに行くわよ。


なーにお礼とか気にすんなって。


ただこればかりはご忠告。


彼の記憶も大分不透明だけど戻りつつある。


つ・ま・り


今回あんたらが引き起こした大事件の数々に対する怒りとかそんなものが沸々と燃えたぎってるわけよ。


出会ったらまずは説教だ。


文句は聞かないわよ?


怒った彼は怖いんだから」


(もう一度彼に会えるのならば)


(どんな怒りも責め苦も甘んじて受けよう)


(怒った彼が怖い?出会ったらまずお説教?)


(何をされたって構わない)


(もう会えないと思っていた彼がそこにいるのなら)


(ああ、早く僕を彼のもとにつれていっておくれ)

じつは画家は男の子に見える女の子で、モデルは男の娘だったというオチ

これから彼ら親衛隊は画家にお説教されることになります


ちなみに親衛隊は画家のことが大好きですが、BLではありません。単に狂っちゃうくらい大好きなだけです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ