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016⚫️幽霊船ふたたび & 017⚫️この’世界線’の幽霊船は

016⚫️幽霊船ふたたび


F042 が不調である。

M035 は支援体制に入る。

だが、船体はいつものように砲を撃ち、

空間を爆走していく。

F042 は、自分で処理できないことに苛立っているのか。

それとも、M035 が思い通りに対応しきれないことへ不満を抱いているのか。

意識は、わずかに軋み始めていた。

幽霊船は今日も、宇宙を 荒海を

他に知られぬまま、漆黒を揺らす。



017⚫️この’世界線’の幽霊船は


この世界線の幽霊船は、今日も静かに軋んでいる。

外から見れば何事もなく航行しているように見えても、

内部では、誰にも知られぬ摩擦が続いていた。

亡き義母名で届いたそうめんの購入案内。

妻は「ネットで申し込め」と主張する。

IDもパスワードもわからないのに、

「お客様番号がIDだ」と断言する。

パスワード再発行を試みる。

固定電話も、義母の携帯番号も該当なし。

そもそも義母がネット注文したとは思えない。

ハガキ注文とネット注文が別システムであることも、

妻は理解しようとしない。

「ファックスする」と怒るが、うまく送れない。

交代し、なんとか送付を終える。

だが、折り返しFAXが来る。

用紙がない。

痛む膝を擦りながら、二階へA4用紙を取りに行く。

印字すると、注文受信の自動返信。

続いて掴んだ残りの用紙を1階で収納せよ、との命令。

「どこに?」と尋ねれば、

「そんなことも知らんのか!」と怒りのため息。

知るわけがない。

二拠点生活の家の中のことを、

一度聞いただけで覚えられるほど、

鋭敏な記憶力はもう持ち合わせていない。

だが、FAXの使い方もネットの接続方法も、血圧計のデータ転送も憶えない彼女が

容赦なく非難を向ける。

もう、だめだ。

妻は、自分の考えがテレパシーのように伝わると信じ、

自分の価値観だけが正しいと思っている。

この世界線の幽霊船は、

今日も誰にも知られぬまま、

漆黒の中を進んでいく。

恐るべし、脳血管障害の後遺症?

アークエンジェルのように、

思考が亜空間を通して伝わればいいのに。

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