死と生
いつだったかしら、わたくしがリュース様が死ぬと同時に死に戻りすると気がついたのは。
、、、最初は死に戻りの原因を探すのに随分と苦労したわね。
永遠に繰り返される死と生。
しかもその時の記憶を持ったまま戻るものだから。
死ぬ時に感じる痛みも苦しみも全部私の中に記憶されている。
人間で1番順応しにくいのは痛覚だって言うのに、全く。
困ったものだわ。
「どうしたリリアン?」
「あぁ、お父様なんでもありませんわ」
「そうか、すまないな誕生日だと言うのにパーティを開くことができなくて」
お父様はわざとらしく頭を下げる。
「気にすることありませんわ、お父様」
たとえ、私より愛人のことを優先されようが、誕生日パーティを開かなこうが、全然気にする事はない。
そんなことより、、、
「ところでお父様、国家予算の算出ですが、、」
「あ、あぁそれはルーシェに頼んでいるから」
「、、、そうですか」
やはり前回と同じ流れだな。
お母様もお父様と同様、地位を目的に近寄ってくる見目麗しい男に夢中だ。
もちろん予算の算出なんて行っているはずもなく、予算は全て執事に押し付けている。
先祖様も活躍もあり代々予算運営を任されていると言うのに。
名誉な仕事ですらかまけてやろうとはしない。
しかもその執事が横領を行うものだから、私たちの信頼は地に落ちる。
三本の指に入る名家と言っても、過去の栄光にあやかっているだけで、私たちが特別偉いわけではない。
それは今までの死に戻りで痛いほどわかった。
私たちの味方はいないのだと言うことも。
猛暑によって不作が続いたため、国民は食べるものも苦しい状態であり、それを見かねた国王が国民に給金を行うことにしたのだ。
しかし、執事が横領していたお金は、使えない貴族からむしりとればいいものを。
罪のない困窮した国民に支給されるはずのものだった。
国民にお金を配布すると国王様は公言していたものだから、支給されないことにさすがに国民は不審に思って、騒ぎは大きくなっていった。
それは、ついに国王の耳まで届いて。
今までの予算の見直しが行われることになった。
そこでついに執事の横領が明るみに出て、さすがの国王様もお怒りになって。
執事だけでなく監督責任として私たち一家が全員罰せられることとなった。
しかし、寛大な国王様の計らいもあって、私たちは公爵から伯爵まで地位を落とし、いくつかの領土を返却するだけでことは落ち着いた。
しかし、それを良しとしなかったのは他でもない国民である。
ただでさえ貴族は潤沢な財産があるのに、さらに困窮した国民から金を取るのかとすごい怒りようだった。
しかも私たちはそんな行いをしても貴族のまま充分遊ぶお金は入ってくるのである。
(母と父を取り巻く貴族たちは減ったようだが)
そして私たちが起こした火種は、他の貴族たちへも飛び火し、私たちが想像するよりことは大きくなってしまった。
貴族は悪。そのイメージを払拭したかったのだろう。
公爵の時は味方してくれていた貴族も私たちを非難する側へと回った。
「あぁ、可哀想な国民たちよ。カーネル家が横領したお金は私たちが出そう」
「カーネル家を許すな!」
「悪を滅しろ!!」
貴族たちも我先にと非難の声を上げた。
そして、私たちは英雄になりたかった貴族によって殺されたのである。
「まさか、側近のメイドに毒を盛られるとは想像していなかったけれど」
毎度のことだが、今までの努力が報われることがない。
だから、もう早く楽になりたいのに。
「また最初からなのね」
私はそう思い、小さな肩を落とした。




