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「それじゃあ早速、参加者も揃ったところで、まずは魔法披露宴から行ってみましょう、それではまずは、エルさんからスタートですっ」




司会の女の子がそういうと、エルは杖に集中させる。



先ほどの技は氷だったな…ということを思い出すが、

彼女は大きな水の塊を作っていく…




ふわふわと、水は…なぜか僕のような形を作っていき、

それが、エルの杖の一振りでバリンと凍りついた。



「おおっ」



と思ったのも束の間、すぐにヒビが入って、内側からバリンッという音と共に崩れ去ってしまった。




「えっ、ちょっとエルさん、これどういうことですか?」



跡形もなく砕け散った僕の氷像を見ながら僕は問いかけるけれども、

エルは僕の方を見ずに、小さな声で



「別に…像にする相手を他に思いつかなかっただけよ…」



と言われて、僕は納得してしまう。



いや、しないけどねっ。




でも、実力を見せるにはこのくらいがちょうどいいのかもしれない。



見ている人もいるのだし、大規模な魔法は迷惑がかかるだろう。




「おおっと、新人のノエルさんに対する挑戦の気持ちを意識しているのか〜〜〜? とにかく、魔法の精度ともども目に見張るものがありました。 それでは次、キサラギさんですねっ、お願いしますっ




そういうと、如月は「んー」と気だるそうに声を出すと、杖も持たずに歩き出す。



すると、走った後から徐々に炎が溢れてくる。



そして彼女がちょうどくるりと一周して手を挙げると、炎の液体…つまりマグマのようなものが吹き上がった。




「ちょ、危ないよ流石にっ」



「ちゃんとコロシアムには結界が貼られているから大丈夫…にゃ」



確かにマグマは降り注ぐ途中で結界に遮られて打ち消された…しかし、こんなものをくらってしまったら流石に死ぬだろう。



しかし魔法大会の観客達は、わああああっと、ある種のアトラクションを楽しんでいるかのようにテンションを上げている。



まあ、確かにスリルはあるかもしれないけどね。



「おおーーーっと、キサラギさんは得意の炎の魔法で、火山の噴火でも表現したのだろうか。 ちょっと危ないですが、その能力の高さは本物ですね。  次はハルキさんですっ、お願いしますっ」



「それじゃあ、早速魅せますかっ」



そういうと、バチバチと音を立てながらハルキの長髪が静電気を帯びて立つ。



「おおっ、雷の魔法かっ」



初めて見る魔法に、感動してしまう。



「サンダ・ボル!」



彼がそういうと、手のひらほどの小さな雷の球が、作られる。 そしてそれが、徐々に槍のように、尖って、

彼が投げたリンゴに見事突き刺さった。




「おっと、ハルキさん、ただでなくても雷の魔法は操作が難しいのに、空中に投げたリンゴをサンダ・ボルが撃ち抜きましたああああ   さて、それでは最後は校外からの参加者、実力不明のノエルさんです。 お願いしますっ」




僕は早速、腰から剣を抜くと、刀身に炎の属性を付与する。




メラメラと炎を纏った(青銅の)剣に、観客達も興味津々なはずだ。




そしてそれを、空へ向けて、振った。  




「レッドドラゴン・ファイヤ」




すると刀から龍が飛び出して、空中へと飛んで行き、結界によって打ち消されるはずだが魔力拡散のイメージによって、炎のドラゴンを二つに分裂させ、弧を描くように飛ばし、対消滅させた。




僕が厨二心を全開にして作り出した技である。



魔法剣ってさ、男のロマンだよねっ。




そう思ってドヤ顔でみんなの方を見る、

きっと羨望の眼差しで僕を見てくれるはずだと、確信していた…のだが




「…」



観客達は起こったことが理解できずに、ただ唖然としていた。




「えと、ノエルさん…今の技は…」



司会の子がドン引きした顔で聞いてくる。



こっちも厨二心全開で、少年のような純粋な気持ちで考えてきたわけで…

そんなふうに聞かれると、乾いた笑いしか出てこない。



「あはは、えっと、炎の魔法?」



「え、えっと、皆さん見ましたか、これが校外生の力です。 えっと、もうなんというか、すごいとしか言いようがありません!!! ちなみにその魔法はどこで学んだのですか?」



「えっと、その…独学…ですかね」



そりゃそうだろ、としか言いようがないのだけれども、

こうして魔法披露宴は終わりを告げましたとさ、まる



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