モンスター登場
「大変だ〜、村がモンスターに襲われただ〜〜〜!!!」
モンスター?
そんなものまでいるの?と思ったけれど、どうやらいるらしい。
ファイヤボルなんてアグレッシプな魔法が存在する世界だし、
それくらいあるだろう。
「じゃあ、ちょっと僕、助けに行ってくるよ」
緊張感もなく、助けを求めてきた人についていこうとする僕を、
お父さんとお母さんが止める。
「ノエル、何を言っているのか分かってるのか? 戦士であるお父さんに任せなさい」
「そうよ、それから魔法使いのお母さんも忘れないでね」
ああそうか、お父さんは戦士だったんだ、と今更ながら思ったけれども、
厨二病を患ってしまった僕は、編み出した技を試したくてうずうずしているじゃないか。
「それなら僕も連れて行ってください。 魔法なら使えます、役に立てますよ」
「だめよ、いくら魔力が大きいからって、学校で学んでもいないのに!!!」
「そうだぞノエル、お前の身が大事なんだ」
うーん、信用されてないみたいだな…
「お兄ちゃんを連れて行ったほうがいいよ。 大丈夫だよ、絶対役に立つから」
そう言ってくれたのは我らがリップル。
僕の最高の妹であり、頼もしい味方だ。
「とにかく大変なんです、助けてください」
村人も自分の村を守るのに必死なわけで、
いつまでもここで時間を無駄にするわけには行かないのだろう。
「うむ、それなら仕方ないか…でも無理だと思ったらすぐにお父さんとお母さんのそばに来るんだぞ?」
「もちろんです」
「うむ、それでは三人で行くとするか」
そうして僕たちは、馬に乗って隣の村へと急ぐ。
「着きました。 それでは、助太刀をお願いします」
「うむ…数が多いな」
現れたのは、狼のようなモンスターと、
2本脚の豚のようなモンスター。
狼は流石に足が早そうだなあ。
「ファイヤボル!」
お母さんのファイヤボルが、豚のようなモンスターの一体に炸裂すると、ギャアアア、という声と共に倒れた。
そして、狼のような魔物がお母さんを襲うために突撃したところを、横にいたお父さんが剣で切り倒す。
「大丈夫か!」
「ええ、あなた」
やっぱりいいコンビだなあ、と思いながら、
僕も活躍しなければならない。
幸い魔物は火に弱そうだし、
炎を走らせる魔法がかなり有効であるように見えた。
「それでは…僕も行きますか」
僕たちを守るような炎の壁を作りましょう。
「ファイヤウォール!」
すると、僕たちの前に巨大な炎の壁が登場して、
突撃しようとしていた狼の群れを、黒焦げにしていく。
「そして…そのまま倒れろ!」
すると、巨大な炎の壁がばたん、と倒れて豚の魔物たちを押しつぶした。
こうして、隣の村の救出作戦は、
思ったよりもあっさりと終わってしまった。