魔法の研究
「まずは自分の周りにあるエネルギーに集中してみるんだ」
僕がそういうと、リップルは目を閉じて、
感覚に集中する。
「自分の体温でもいい、とにかく、自分の体を流れるエネルギーというか、それがわかる?」
「えっと、なんとなく?」
「そう、じゃあ、それを手のひらに集めるようなイメージをして」
「ん」
「燃えるような、炎の球だ。 熱い、触れれば火傷してしまうような、真っ赤な燃える赤…そして、自分の想像するファイヤボルを出してみるんだ」
「ファイヤボル!!!」
すると、僕がやったのよりは確かに小さかったけれど、
紛れもなくそれは、ファイヤボルだった。
「ほら、みた? リップルもできたよ」
「わっ、ホントだ。 お兄ちゃん、私、できたよっ」
この世界で魔法は簡単だ、
イメージを膨らませることができれば、それだけで現実化することができる。
リップルが部屋に帰ってから、僕は色々と魔法のバリエーションを考えてみた。
水、氷、土、雷、光…それこそ、ゲームの世界だ。
流れるような炎をイメージすれば、炎がその通りに走る。
わざと自分の体を傷つけてから、傷口にエネルギーを集中すれば、
たちまち傷が治る。
そう、治癒魔法も使えるらしい。
この世界はまるでゲームの世界じゃないか。
僕はゲーム好きだ。
こんな展開に喜ばないわけはない。
僕は家の手伝いをしながら、
厨二病時代のように魔法の構想が始まった。
そうして、ニヤニヤと必殺技を編み出していると、
遠くで叫び声がした。
「大変だ〜〜、村がモンスターに襲われただ!!」