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「ふうん、まあ、その装備じゃ無理もないわね…」



さっきまでの経緯をエルに話すと、エルは納得した顔をする。



「いやあ、ドラゴンの装備、すごく良かったんですけど、

やはり5000マニラじゃ何も買えませんね」




「は? 5000マニラってかなり大金よ? それに、ドラゴン装備は武具の中では超高価な宝石みたいなものよ?」




エルは当然と言ったような顔…いや、若干怒っている気もする。



「でも、あなたの装備が貧弱なのは事実だし、もしよければ私が装備を選んであげましょうか?

さっきのお店は私も利用してるし。」



「えっ、いいんですかっ」



「…ええ、というかあなた5000マニラもどうやって稼いだのよ」



「あの後一晩泊まったらギルドにスカウトされまして、それで近所の村にレッドオーガーが出たとかで、それを倒した報酬です。」



「レッドオーガーって、あのB+ランクの危険モンスターよ」



「ええ、まあ。 確かにちょっと危なかったですけど…」



「ふうん、レッドオーガーに一人で勝ったってわけ? ふうん…」



「まあ、えへへ…」



「それならやっぱり、あなたはドラゴン装備を手に入れるべきね」



「えっ!?」



エルはそういうと、僕の手に杖を持たせる。



魔法大会で使っていた、氷属性を持つと思われる、

お高そうな杖だ。



「私の杖、貸してあげるわ。  だからほら、それで依頼でもこなしてくればいいじゃない」



エルは笑顔でそういう。



「ほら、早くギルドに行くんでしょう? 早くしないと売り切れちゃうわよ」



そう言って、エルはどこかへ行ってしまう。



「あ、ちょっと!」



そんなことをされても、僕にはエルの住所さえもわからないのだけど。



試しに借りた杖で地面を叩いてみると、地面が凍りついた。



「…それじゃあ、レッドドラゴン装備になるか…」



やはり自分はつくづく、脳筋なのだと心の底から思った。





結論から言えば、氷属性というのは、

想像以上に楽しいものがあった。



広い攻撃範囲、動きを止める凍結状態。



触れるもの全てを凍らせる、

無慈悲な属性付与。



意外に属性の中で最も厄介な力かもしれない。




移動時間さえなければ、僕はもっと早く、

依頼をこなせていただろうに…




僕はざっくり1日で20万マニラは稼いでいた。




「マジで稼いできやがった…正直うちの店の目玉商品として飾っておくつもりだったのに」



「いやー、手に持った時から、僕のことを誘ってましたからね」



「噂には聞いてましたが、お客様がノエル様だとは…なんでも先日の魔法大会では圧倒的な実力を見せつけたと伺ってますよ」



「いえそれほどでも…」



「それにしても、いい人に買われたな…この武具も…俺の自信作だってのに…」



武具屋のおじさんは、涙ながらに装備との別れを惜しむ。



「えっ、この装備っておじさんが作ったんですか?」



「当たり前よ。 この俺がレッドドラゴンの素材を取り寄せて、それで作った武器だ。

まあ、世の中には取り寄せた武器を売る店ってのも当然あるんだが、俺はそうじゃねえ。」



「ということは鍛治もできるので?」



「まあ、そういうこったな!」



誇らしげなおじさんに、僕は鍛治を頼もうと思う。



「よし、それじゃあ、おじさんは僕が素材を持ってきたら、武具を作ってくれますか?」



「は? そりゃまあ、加工料はもらうがな」



「それじゃあ、何かかっこいい素材が手に入ったらここに来ますよ。

それでいずれは伝説級の、杖を作ってもらおうかなと…」



「ほう? そりゃ面白いな。 まあ、お前が倒せればの話だがな」



「…あはは、とりあえず僕はこの杖を返さないといけませんので、それじゃあ、ありがとうございました」




「ふうん、その杖…アイスクレストじゃねえか…ってことは、エルの…」



「ああ、借りてたんで返したいんですが、エルってどこにいるんですか?」



「ふうん、そいつを使いこなすか…まあいい、エルっつったらここのお嬢様だぜ? ほら、外からでも見えるだろ? あのでかい建物…あそこだよ」



「えっ、あの建物ですか?」



「そうだ…じゃあ、装備ともどもよろしくな。 メンテナンスが必要ならまた寄ってくれ!」



「はい、それじゃあ、今度こそ」



そうして僕は武具屋を出た…そして向かう先は…

もちろん、目の前のお屋敷だろう。


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