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魔法大会が終わった後、僕は先日利用していた宿と同じ宿に泊まってから、
家に戻ることにした。
こうして、ようやく、マリイにも会うことができたわけだけれど、
情報を整理すると、僕はこの世界の魔法とは違う方法で魔法を使っているらしい。
正直、魔導書を読んだ時は曼荼羅のような、
つまりそういうものだったと思う。
だから、理屈は同じなのだが、マリイのいう話によれば、
魔法とは自分の魔力を使って放つものらしい。
よくあるRPGのように、MPなるものが存在するようだが、
僕の使う魔法はそうではなく、思考、イメージの想像力によって外のエネルギーを固めるような使い方ができる。
だから、僕はMPを消費せず魔法を使えるから、
つまるところ、莫大な魔力を注ぎ込んだところで、枯渇することはない…ということだろう。
そして、第二に、複数属性持ちは珍しいということらしい。
得意な魔法は存在する…例えば昨日会ったエルという魔法使い…彼女は水や氷を操っていた、
ハルキは雷、キサラギは火だった。
しかし、火炎狼相手にキサラギは逃げることしかしなかったということは、
他の種類の魔法を使うことはできなかったということだろう。
そして何より大事だったのは、僕の防御魔法だ。
僕の防御魔法?は完全に火炎狼の攻撃を無効化していたし、
むしろ弾き飛ばせるほどの防御力を誇っていた。
そして僕は、想像によって、思考によってエネルギーを動かすことができる。
だから、マリイの魔法も、簡単に真似ることができた…というわけだ。
彼女の実力を見ることはできなかったけれども、
僕はこの世界ではある種のチート級のスキルを持っていることは間違い無いと思う。
いや、だからなんだという話なのだけれど、
力を持つと、それを使ってみたくなるというのが、人間の本性であることは間違いないと思う。
もちろん、悪用はしないけれども、アニメや漫画で夢見たようなシーンが、
それこそあるかもしれないと思うと、心が躍ってしまう。
僕はようやく自分の人生の主人公になれるのでは無いか…
いやいや、流石にそれは…と謙遜してみるけれど、やはりにやにやと、頬が緩んでしまうことに変わりはなかった。