オーパーツ100円ショップ
ここは100円でオーパーツが買える店。
気軽に何でも買えるが、注意が必要。
買った後で後悔するものが多いのだ。
まずはこれ、飛行機の形をした小物。古代遺跡から発掘されたものだ。勝手に飛び回るのでヤバい。
他のオーパーツと融合して合体ロボになったりする力もある。
割と危険な奴だ。
次にコレ、水晶のどくろ(ガラス製)。勝手に人を呪うシロモノだ。どう呪うのかは知らない。
なんか認識がどうのとか言ってたけど……真面目に話を聞いていなかった。
と言うのも、俺がこの店に来る目的は売っている商品ではなく……。
「……にこ」
レジに立つ彼女を見ていると、こちらを見返してほほ笑んでくれた。
そう、俺は彼女に恋をしている。
ポニーテールが良く似合う明るい女の子。
名前はまだ聞いていない。
今日は告白するつもりで店へ来たのだ。
「あっ……あの!」
「なんですか?」
「俺と付き合って下さい!」
「いいですよ」
……え?
あっさりとオーケーがもらえたので拍子抜けする。
「ただし、条件があります。
これを飲み込んで三日間無事なら、
付き合ってあげてもいいです」
彼女はポケットからウネウネする黒い管を取り出した。
「これは飲み込んだ人を超人化するオーパーツです。
私、普通の人間には興味ないので。
私のことを好きなら、言うとおりにしてもらえますよね?」
「ごめんなさい」
俺は店を飛び出した。
もう、彼女に顔を合わせることはできないだろう。
無理だと悟ったのだ。
それから、今まで買ったオーパーツを処分することにした。
飛行機とか人型の小物のオーパーツはまとめて裏山に捨てた。
なんか合体して小さな塊になったけど、どうでもいい。
どくろの水晶(ガラス製)は普通にゴミ捨て場に捨てた。
なんか爺がやべぇやべぇ言って持って行ったけど、どうでもいい。
俺は失恋してしまったのだ。
はぁ……恋をするって難しい。
ううん……失恋したせいか、お腹が痛い。
変なモノ食べた記憶なんてないんだけど……。
「ふふふふ……」
明かりの消えた百円ショップで鏡を覗き込む女性。
そこにはあの少年が映っている。
「もう手遅れだよ。
ナノマシン的なオーパーツをお釣りに付着させて、
少しずつ食べさせたからね。
手を洗わない君が悪いんだよ」
にんまりと口元を釣り上げる女性。
そばにある金魚鉢の中で黒い管が蠢く。
教訓、帰ったら手を洗おう。